西村 大輔 院長の独自取材記事
赤坂ペインクリニック
(港区/赤坂駅)
最終更新日:2025/12/11
2025年9月、赤坂駅から徒歩1分の場所に、痛みを専門的に診る「赤坂ペインクリニック」が開業した。院長を務める西村大輔先生は、日本ペインクリニック学会ペインクリニック専門医かつ日本専門医機構認定麻酔科専門医の資格を持つ経験豊富な医師。より安全で精密な注射治療を行うための環境を整えたいという思いから、自身が理想とする診療空間の実現をめざし開業に至った。患部へ直接薬を届けるべく注射を用いるペインクリニックの治療法は、内服薬や湿布では対応できない場合の新たな選択肢となり得るという。「痛みに悩む人にペインクリニックという選択肢があることを伝えたい」と意気込み、これまでの診療経験を生かし患者との対話を重視した診療に取り組んでいる西村院長に、開業に至った経緯や取り組んでいる診療などについて話を聞いた。
(取材日2025年11月13日)
豊富な臨床経験を礎に、痛みの理想的な緩和を追求
赤坂で開業に至った経緯を教えてください。

もともと大学病院や、ペインクリニックに力を入れている総合病院に勤めていました。ペインクリニック科の診療を担当していて、その後は神田のクリニックで院長として勤めていました。ただ、診療スペースや設備面から「もう少しこうできれば」という理想を思い描くようになりました。一番大事にしたのは安全性と精度を追求できる環境です。注射は患者さんの体にリスクを伴う医療行為ですから、施術する側が落ち着いて集中できるスペースが必要です。先進設備をそろえ、十分な広さを確保したのはそのためです。ビジネスパーソンが多い赤坂とは、たまたまご縁があり、最寄駅から近いここに開業することを決めました。
法学部を卒業後、医学部に入り直して医師になられたとか。異色の経歴をお持ちですね。
父が外科医でしたが、高校時代は医師という職業に魅力を感じていませんでした。医学部に入るには勉強が大変だとわかっていましたし、そこまでして医学部に入りたいと思っていませんでした。両親も「医者になれ」と言うタイプではなく、自由に育てられましたね。でも大学生活を経て将来を真剣に考えた時、人として評価される職業は何かと考え、医師もその一つだよなと。自分自身の人間性で勝負できる仕事がしたいと思い、浪人を経て医学部を受験し直し、埼玉医科大学に入りました。法学部での大学生活は回り道にも見えますが、今となってはいろんな仕事をしている仲間ができたことは財産だと思っています。医師以外の視点や経験は、現在の診療にも生きていると感じています。
麻酔科、そしてペインクリニック科を選んだ理由を教えてください。

麻酔科を選んだのは、オンオフがしっかりしていて生活のリズムがつくりやすかったというのもありますが、やはりダイナミックに全身管理をするところや、「痛みを取る」ための分野というところにも惹かれました。ただ、手術では、患者さんを寝かせるために麻酔を打つことが仕事なんですよね。特性上、どうしても患者さんとコミュニケーションを取る機会が少ないんです。私は人と話すのが好きなので、外来診療に興味を持つようになりました。そんな時に、麻酔科の中でもペインクリニック科の部門を学んだ時に「これは面白い!」と感じ、専門にすることを決めました。
豊富な経験・技術・対話を重ね、痛みの緩和をサポート
ペインクリニックの治療の特徴について教えてください。

患部に薬を届ける手段として注射を用いることが、ペインクリニックの治療の大きな特徴です。内服薬は消化管から吸収されて全身に回るように、湿布も皮膚から吸収されるよう作られています。そして、神経ブロックや筋膜リリースなど、注射は患部に一番近いところに直接薬を届けやすいです。当院では安全性を重視しながら精密な注射を打つために、先進の設備にこだわっています。「薬を飲んでも良くならない、さあどうする?」といったときの選択肢として、ペインクリニックの「注射で薬を届けてみる」という選択がもっと浸透してほしいですね。
痛みの治療はどのように行うのでしょうか?
痛みの治療を山火事の消火活動に例えることが多いんです。水を一度かけても、しばらく放っておくとまた燃えますよね。水を何度もかけて鎮火させるイメージです。急性痛と慢性痛では治療方針を変えています。1ヵ月から3ヵ月以内の痛みは急性痛、それ以上続くものは慢性痛と呼びます。急性痛は体からの「ここ以上動かすと危ないよ」というサインですが、3ヵ月以上続く慢性痛は、もう警告としての機能を果たしていないので、神経ブロックの適用になることが多いです。基本的には、まず診断し、必要な回復期間を説明した上で、安静にしてもらったり薬を処方したりして様子を見る場合もあります。湿布・市販薬・リハビリテーションが合わなかった時の次の選択肢として、筋肉性・関節性・神経性など痛みの原因に応じ、柔軟に治療法を組み合わせていきます。
診療で心がけていることは何ですか?

「話をよく聞く」ことを最も大切にしています。クリニックに来られる方は、何かしらの不安やストレスなど、マイナスなものを抱えていらっしゃいます。それをマイナスからプラスにしてお帰りいただきたいんです。プラスにできなかったとしても、せめてフラットな状態で帰っていただきたい。痛みを取ることがゴールですが、それ以外にも不安や痛みの軽減、日常生活の質向上のためのサポートも重要です。スタッフにも同じ姿勢を求めていて、痛みというストレスフルなものを抱えて来ている患者さんへの接遇を特に大切にしてもらっています。説明の仕方やフォローの言葉一つで患者さんの受け止め方は大きく変わると思うんですよね。注射は痛みを伴う行為ですから、声をかけながら進める、お待たせてしまったらきちんと謝るなど、当たり前のことほど丁寧に。余裕がないと雑になりやすいので、そんなときほど丁寧に向き合うよう心がけています。
痛みでつらい人に、ペインクリニックという選択肢を
どのような患者さんが多く来院されていますか?

ビジネス街の赤坂という立地から、50代を中心としたビジネスパーソンが多いです。バリバリ働いているけれど、仕事をする上でストレスフルな状態で痛みを抱えている方も多く、そういう方々は、短い滞在時間、即時性を期待します。「とりあえず痛みを取ってくれ」というニーズです。リハビリテーションに通う時間もない。そういった忙しい現役世代に対しては、痛みの原因となっているところに薬を届けて、自分自身の回復力を促してあげるほうが理にかなっています。できるだけ痛みを取りのぞいて、立ったり歩いたりができるようになってもらえるように努めています。
今後の展望についてお聞かせください。
まずはペインクリニック自体の認知度向上をめざしたいですね。SNSやテレビなど一般の方の目にふれやすいメディアでの情報発信をして、痛みで困ったら気軽に相談できる場所があることを広く知っていただきたいと思います。痛みに対して注射という選択肢があること知らない方はまだまだ多いので、啓発していきたいですね。社会的認知度が上がれば、痛みで苦しんでいる人を助けることになり、それが私たちのやりがいにもつながります。当院はテレビ局の裏にありますから、発信の一端を担えればうれしいですね。痛みは放っておいても、生活の質をじわじわ下げていきます。早めに治療して、無理なく火を小さくしていく。そのための選択肢として、ペインクリニックをもっと身近に感じてもらえるよう、引き続き丁寧な診療をしていきたいです。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

「痛みがなかなか取れず、注射という選択をしたことない人はぜひペインクリニックへ」、これが私からのメッセージです。痛みの治療には、安静、薬、注射、リハビリ、手術という5つのパターンがあります。その中で注射という選択肢がまだ抜け落ちてしまうことが多い。湿布を貼って駄目、市販薬を飲んでも駄目、そんな時にペインクリニックを思い出してください。赤坂駅から徒歩1分という立地を生かし、忙しい方でも通いやすい環境を整えています。痛みに悩む方の生活の質を上げるサポートをしたい。そして、安心して頼れる場所として、皆さんの健康に貢献していきたいと思っていますので、ぜひ気軽に相談にいらしてください。
自由診療費用の目安
自由診療とは筋膜リリース注射/1万1000円~

