辻本 武尊 院長の独自取材記事
枚方大橋 つじもと整形外科クリニック
(枚方市/枚方公園駅)
最終更新日:2025/10/09

ショッピングセンター内のクリニックモールに2025年9月に開業した「枚方大橋 つじもと整形外科クリニック」。買い物ついでに気軽に立ち寄れる立地ながら、同院で診療を行う院長の辻本武尊(たける)先生は、脊椎脊髄外科の医師として数々の執刀経験を持つエキスパート。北海道大学理学部から医学部へ転身し、14年間北海道で研鑽を積んだ異色の経歴を持つ。「手術をしない選択肢も含めて、患者さん一人ひとりに当院でできる最適な治療を提案したい」と語る辻本院長。ロゴマークに掲げた小鳥が憩う木のように、地域の止まり木となるクリニックをめざすという。開業への想いや診療にかける思いを聞いた。
(取材日2025年9月10日)
地域の止まり木として寄り添う医療を
整形外科医として開業に至るまでの経緯を教えてください。

北海道で脊椎脊髄外科の医師として14年間診療してきましたが、もともと経営に興味があったんです。大学に残って研究を続ける道もありましたが、自分のクリニックで自分の医療を実践したいという思いが強くなりました。「地域貢献」がクリニックのあるべき姿だと考えています。働く方も患者さんも、みんなが「やって良かった」と思えるような場所にしたい。枚方に開業したきっかけは、ショッピングセンター内にクリニックモールができると聞いたことでした。大阪北部で開業地を探していた私にとって、買い物ついでに通える利便性の高さは理想的でした。「近くに整形外科がなくて待っていた」という高齢の方から小中学生まで幅広い世代のお声を頂いています。
理学部から医学部へ転身された理由は?
北海道大理学部3年の終わり頃、試験管を振るような研究より人を相手にする職業が性に合うと気づきました。社会に役立ちたいという思いから、医師か弁護士を考えて理系の自分には医師のほうがなりやすいと。1年間勉強して高知大学医学部に入り直しました。整形外科を選んだのは、実習で患者さんが元気に歩かれる姿を見て「これだ」と思ったから。高校時代からラグビーをやっていてケガも多く、整形外科は身近な存在でした。スポーツで培った体力は今も生きています。開業準備で忙しい中でも週2回のランニングと筋トレは欠かしませんでした。「体が資本」ですから。
クリニックの特徴やロゴに込めた想いを聞かせてください。

広さと動線にこだわりました。車いすでもストレスなく通れる広い待合室、リハビリテーション室も広々と確保しています。相談室はプライバシーに配慮した空間として、リカバリー室は点滴後にリラックスできる場所として設けました。内装は妻のアイデアも多く取り入れています。例えばエックス線室は海をイメージした青い波模様の壁紙で、緊張を和らげる工夫をしています。ロゴの木は脊椎を表す「幹」と地域に「根」を張ることを表現。カラフルな葉は年齢問わずさまざまな患者さん、そして小鳥には地域の皆さんにとっての止まり木になりたいという願いを込めました。「地域のよりどころ、安らぎの場所になりたい」という思いです。130台の駐車場があり、自転車でも車でもアクセスしやすく、買い物ついでに気軽に立ち寄れるクリニックです。
豊富な手術経験と保存的治療の両立
脊椎脊髄疾患を専門とする医師としての強みを教えてください。

脊椎脊髄外科を専門とする医師として研鑽を積み、数々の執刀・手術を経験してきました。脊椎は体の幹となる部分で、ここが悪くなると手足の痛みやしびれ、動きにくさなどさまざまな神経症状が出ます。「体の中でも最も重要な部分の一つ」だと思っています。北海道では頸椎損傷のような重篤な症例も多く診てきました。一生に関わることですから、責任は重大です。手術により症状の改善をめざすことにやりがいを感じています。もし患者さんに「やってもらえて良かった」という言葉をいただくようなことがあれば、この仕事を選んで良かったと思うでしょう。ただ、手術がすべてではありません。むしろクリニックに来られる方は手術を避けたい方が多い。だからこそ、保存的治療の選択肢を大切にしています。
導入された医療機器へのこだわりは?
透視機能つきエックス線を導入しました。リアルタイムで画像を見ながら神経ブロックを行うことで、より安全な治療をめざします。骨密度測定器は、腰椎と大腿骨を測定できる先進のものを用意。骨粗しょう症診断のスタンダードにのっとって、精密な検査で得られた値に基づいて治療方針を決められます。特に女性はホルモンバランスの変化で骨密度が下がりやすいので、定期的な検査をお勧めしています。エコーも導入し、神経ブロックや腱板断裂、手根管症候群の診断にも使います。これらの機器で「小さな大学病院レベル」とまではいきませんが、地域のためになる診療体制を整えました。適切な診断があってこそ、適切な治療方針が立てられるんです。
診療で最も大切にしていることは何ですか?

「患者さんが何に困っているか」をしっかり聞くことです。その上で、できる選択肢を提示する。手術したい方には適切な病院を紹介しますが、多くの方は手術を避けたい。だから「手術以外でできる限りのことを」と考えています。リハビリ、装具、ブロック注射など、保存的治療の選択肢は意外と多いんです。患者さん一人ひとりの生活スタイルやニーズに合わせたオーダーメイドの治療計画を提案します。例えば慢性的な膝痛の方には、運動療法だけでなく自宅での生活指導も大切。「できないことを無理やりできるようにするより、うまく付き合う方法を一緒に考えましょう」という姿勢です。それが本当の意味での患者さんファーストだと思っています。
理学療法士とともに地域医療のハブへ
リハビリテーション体制について教えてください。

現在、理学療法士3人が常駐しています。単に電気を当てる治療だけでなく、専門的な理学療法を提供できる体制です。関節の可動域を広げたり、筋肉の柔軟性を高めたりすることを図り、症状の改善をめざします。「急性期は重点的に、慢性期はうまく付き合いながら」というメリハリも大切。広いリハビリ室を用意したのは、今後さらに理学療法士を増やしていくためです。実は理学療法士の実習施設としても機能できるよう準備しています。学生さんの実地研修を受け入れることで、教育面でも地域に貢献したい。「治療と教育の両立」で、より多くの患者さんに質の高いリハビリを提供できる体制を作っていきます。スタッフも患者さんも動きやすい動線設計にこだわったのも、そのためです。
今後の展望についてお聞かせください。
将来的には介護リハビリ、デイケアなども視野に入れています。「医療のハブ」のような存在になれたらいいですね。医師の仕事は誰かのためになること。特にクリニックは地域の健康を支えるのが使命です。大学病院には研究や高度医療という役割がありますが、クリニックには別の使命がある。「地域の方の健康を支える」というあるべき姿を見失わないようにしたい。すでにさまざまな年代の方が来院されています。皆さん優しくて丁寧な方が多い。当院が入っているショッピングセンターのスーパーに買い物に来るような、普通の生活をされている方々です。そんな地域の皆さんのために、できることを一つずつ積み重ねていく。それが私の考える地域貢献です。
読者へのメッセージをお願いします。

首や腰の痛み、手足のしびれなど、お困りのことがあれば気軽にご相談ください。脊椎専門の医師として適切な診断をし、手術が必要かどうかも含めて一緒に考えます。「手術をしない選択肢」も大切にしていますから、まずは保存的治療から始めましょう。骨粗しょう症の検査も重要です。予防できることは予防し、早期発見できれば治療の選択肢も広がります。買い物ついでに立ち寄れる便利な立地です。院内は完全バリアフリーで車いすの方も立ち寄りやすくしています。小さなお子さんから高齢の方まで、幅広く診させていただきます。ロゴの小鳥のように、地域の皆さんがほっと一息つける「止まり木」のような存在になりたい。それが開業医としての私の願いです。