金川 英寿 院長の独自取材記事
かながわ耳鼻咽喉科
(北九州市門司区/門司駅)
最終更新日:2025/11/11
門司駅からほど近い住宅街に、2025年9月に「かながわ耳鼻咽喉科」が開院した。院長の金川英寿(かながわ・えいじゅ)先生は、4歳からピアノを習い音楽の道を志していたが、中学時代の挫折を経て医師をめざしたという独特の経歴を持つ。「ピアノで培った繊細な指先の感覚は、手術にも生きているんです」と語る金川院長。総合病院で部長として多くの手術を手がけてきた日本耳鼻咽喉科学会耳鼻咽喉科専門医で、めまいや嚥下にも詳しく、幅広い症状に対応する。真摯な姿勢で医療に向き合う金川院長に、地域医療への思いや診療方針について聞いた。
(取材日2025年8月28日)
音楽から医療へ、異色の転身が生む強み
このエリアに開業を決められた経緯を教えてください。

山口大学卒業後、下関の総合病院で約10年間勤務していたのですが、この門司は下関の隣駅なんです。プライベートでもよく訪れていました。そんな中、この地域に住む友人から「地域密着のクリニックの存在はありがたい」という話を聞いたのが大きなきっかけになりました。総合病院で部長として働いていた40歳頃は、当直や組織での働き方に疑問を感じ始めていた時期でもあったんです。「医療が足りない所にクリニックをつくるのが一番いいのではないか」と考えて開業を決意しました。木のぬくもりを感じる内装にこだわり、年齢関係なく受診しやすい空間づくりを心がけました。地域に貢献できるクリニックをめざしていきたいですね。
医師を志されたきっかけは何だったのでしょうか?
実は4歳からピアノを習い、小学6年生の頃には「ピアノで飯を食べていく」というくらい本気でプロをめざしていました。しかし中学3年生の中国四国大会で賞を取れず、大泣きしたほどの挫折を経験したんです。「自分は世の中に必要ない人間なのではないか」と思い悩んでいました。そんな時、病気で倒れた曽祖母から「頭の回転がいいから医者になって人の役に立つ道がいいのでは」と言われたんです。こんな自分でも人の役に立てるならと、方向転換して医学の道をめざすことにしました。挫折があったからこそ、今の自分があると思っています。
耳鼻咽喉科を選ばれた理由と、これまでのご経歴について教えてください。

音楽が好きだったので、聴力や発声など音楽に関わる耳鼻咽喉科を選びました。大学時代はジャズ研究会にも所属していたんです。専門医取得後は手術を専門に研鑽を積み、総合病院では毎週何例も手術を行いました。家族の手術も執刀しました。面白いことに、ピアノで培った指先の繊細な感覚は手術にも生きているんです。メスでどのくらいの深さまで切るかという微妙なコントロールは、ピアノの強弱をつける感覚と似ています。手術は自分の作品を作るような感覚。考えなくても手が勝手に動くほど経験を積んできました。今後はその技術を地域医療に生かしていきたいと考えています。
専門的な知識を生かした幅広い診療体制
子育て世代が通いやすい工夫もされているそうですね。

当院では、耳鼻咽喉科は小児科の次に子どもの患者さんが多く、かと思えば若い世代から、めまいで悩む高齢者まで本当に幅広い年齢層が来院されます。そのため、どの世代の方も安心して通えるアットホームな雰囲気を大切にしました。まずキッズルームを設けて子育て世代も受診しやすい環境を整えました。また、聴力検査室にはピアノを設置しているんです。これは喉の手術後に高い音が出なくなった方の回復度を音階で確認したり、歌やミュージカルなどの習い事をしている子どもたちの診療にも活用しています。発熱患者専用の出入り口と待合室も設け、感染症対策も徹底しています。
専門的な診療についても教えていただけますか?
私はめまい、嚥下、音声言語に関する専門的な知識を持っており、一般的な耳鼻咽喉科診療以外にも専門的な治療が可能です。睡眠時無呼吸症候群でいびきに悩む方、めまいで困っている方、飲み込みが困難な高齢の方など、幅広く対応しています。顔面まひも耳鼻咽喉科の専門分野なんです。意外と知られていませんが、めまいや顔面まひは耳鼻咽喉科が専門で、これまでの経験を生かして診療にあたっています。もちろん耳垢を取ってほしいだけ、風邪をひいたから診てもらいたいという方も大歓迎です。どんな些細なことでも気軽に受診してほしいですね。
検査設備や治療法についてはいかがでしょうか?

耳・鼻・喉専用のCTを導入しており、隠れた副鼻腔炎や鼻の骨の異常、場合によっては鼻のがんまで発見できます。内視鏡検査や頸部超音波検査も可能です。アレルギー治療では、スギとダニの舌下免疫療法も実施しています。舌の下に花粉を凝縮した薬剤を置いて体を慣らしていく治療法で、根気強く続けることが大切です。私は手術が得意だったこともあり、薬よりも処置に力を入れているのが特徴です。口の中や舌の診察も行っていますので、さまざまな口腔内の症状にも対応可能です。
門司の頼れる耳鼻咽喉科クリニックをめざして
診療で大切にされていることは何ですか?

極力専門用語を使わず、画像を使いながら時間をかけて説明することを心がけています。医師同士でも専門用語だけでは理解されないことがあるくらいですから、患者さんにはなおさらわかりやすい言葉で伝える必要があります。どんな些細な悩みでもその裏には隠れた病気があったり、治らないと思っていた症状でも治療法が見つかることは結構あるんです。患者さん一人ひとりと懇切丁寧に接していきたいですね。最近第1子が生まれたこともあり、子育て世代の方とお話しできるのも楽しみにしています。同じ境遇として共感できることも多いと思います。
地域とのふれあいも大切にされたいそうですね。
40歳を過ぎて人生の折り返し地点に立った時、中学生の頃に感じた「人の役に立ちたい」という気持ちが再び強くなってきました。総合病院で手術ばかりしていた頃とは違い、今は「この門司という地域にこのクリニックがあって良かった」と思ってもらえるような社会貢献がしたいんです。地域の方と仲良くなって、頼ってもらえる存在になりたい。まずは外来診療をしっかりと行い、地域の皆さんとの信頼関係を築いていきたいと考えています。
最後に読者へのメッセージをお願いします。

どんな些細なことでも構いません。耳・鼻・喉の症状で少しでも違和感を感じたら、気軽に受診してください。私はめまいや嚥下、音声言語に関する専門知識を持っている他、日本耳鼻咽喉科学会耳鼻咽喉科専門医として、幅広い症状に対応できます。小さなお子さんから高齢者まで、どの世代の方も安心して通えるクリニックをめざしています。広々とした駐車場も完備していますので車でも通いやすいと思います。地域の皆さんとのふれあいも大事にしながら診療していきます。まずは一度、お気軽にご相談ください。

