松村 晋矢 院長の独自取材記事
千里丘内視鏡クリニック
(摂津市/千里丘駅)
最終更新日:2026/03/13
JR千里丘駅西口の再開発エリアのビル内にある「千里丘内視鏡クリニック」は、2025年8月に開院した消化器内科・内視鏡検査専門クリニック。“Less, but Better―絞るからこそ深く、速く、良く”をめざし、胃・食道から大腸、肝臓、胆嚢、膵臓までに限定した専門性の高い医療を提供している。前職で京都中部総合医療センター消化器内科医長を務め、「働き盛りの世代にこそ検査を受けてほしい」との思いから開院した松村晋矢院長。提供する医療の質を追求するのはもちろん、木のぬくもりを感じる院内、眺めの良い待合室、専用トイレを備えた前準備室など、患者の居心地の良さにも配慮する。爽やかな笑顔と優しい人柄が印象的な松村院長に、同院の特徴や得意とする内視鏡検査への思いについて話を聞いた。
(取材日2026年3月3日)
患者負担の少ない内視鏡検査の実践が開院の原動力
とても居心地の良い院内ですね。キツツキのロゴマークも印象的です。

待合室には植物を配置し、アロマをたくなど、リラックスして過ごしていただける空間づくりを心がけています。受付では完全キャッシュレスをめざし、基本的にはタブレットで会計を行う他、内視鏡検査にあたり、更衣室は男女別に設け、3つの前処置専用スペースとそれぞれのトイレを備えました。キツツキのロゴマークは、患者さんに当院を覚えていただきたいという思いから、親しみやすい動物をモチーフにしました。当院のある再開発エリアのコンセプトになぞらえたこと、キツツキが「森のお医者さん」と呼ばれていることも、選んだ理由です。キツツキは、木の内部にすむ虫を取り除いて樹木を守る存在です。おなかの中に潜む病変を見つけ、取り除き、機能寿命を延ばすことにつなげるという点で、内視鏡の役割にも通じるものがあります。「あのキツツキのクリニック」と呼んでいただけたらうれしいですね。
先生のご経歴と開院までの経緯を教えてください。
2011年に島根大学を卒業し、松江赤十字病院で2年の初期研修を行い、その際に初めて内視鏡検査にふれた経験が、消化器内科の道を志すきっかけになりました。その後、京都第一赤十字病院の消化器内科で研鑽を積み、京都府立医科大学の大学院を修了した2021年から、京都中部総合医療センターの医長を務めました。多くの内視鏡検査や治療に携わり「苦痛をできるだけ少なくする検査」を追求してきましたが、大学病院や総合病院では、治療用の太いスコープを通常検査に用いることがあることや担当医が固定されないこと、人間ドックでは鎮静剤が使用できないなど体制上の制約もあります。そうした経験から、より患者さんに寄り添い、楽に検査を受けていただける環境を整えたいと考え、クリニックを開院しました。
消化器内科をご専門に選ばれたのはなぜですか?

消化器内科は、初期研修で最初に担当した診療科でもあり、印象深く、自分の得意な領域だと感じました。実は僕は手が大きく、これが内視鏡を扱う上で有利に働いています。内視鏡の手元には2つの操作ハンドルがあり、通常は片手で両方を操作するのが難しいため、少し持ち替えながら操作します。ところが僕は片手で両方に届くので、持ち替えることなくスムーズに操作することができます。そうしたこともあって、内視鏡を扱うことがより楽しくなりました。内視鏡はとても奥深い上に、近年は「内視鏡でできること」がどんどん増えてきています。以前は、外科手術が必要だった胃がんも、今では多くのケースで内視鏡で取り除くことができます。これまでに数多くの症例に携わってきましたが、患者さんごとに状況が異なり、簡単ではないところが、この分野に惹きつけられる理由かもしれません。自分自身の成長を実感できる領域でもあります。
「内視鏡検査は怖くない」その工夫と情報発信に注力
内視鏡検査を受ける意義について教えてください。

大学病院や総合病に勤務していた頃、内視鏡検査を受けに来るのは70代以上の方が多く、40代はほとんどいないという状況でした。でも、一番受けてほしいのは40代~60代、若い世代や働き盛り世代の方たちです。特に胃内視鏡は40代でも遅いくらいです。胃には慢性胃炎や胃潰瘍、胃がんの主な原因となるピロリ菌がすみつくことがあり、幼少期に親から子へ感染するといわれています。そのため、本来は子どもを持つ前に一度胃内視鏡を受けておくのが理想です。また、大腸がんのリスクも40代から上がるため、大腸内視鏡もこの時期に一度は受けてほしいですね。
内視鏡検査はハードルが高いイメージがあります。
内視鏡検査で一度つらい思いをすると、次の検査を避けてしまい、重要な病気の発見が遅れることも少なくありません。そうしたことを防ぐため、当院ではホームページやSNSを通じて「内視鏡検査は怖くない」ということを発信しています。大きなポイントは鎮静剤の使用です。鎮静剤の種類や使い方もいろいろあるので、そこを工夫して「次も受けたい」と思っていただける検査をめざしています。鎮静剤を使った内視鏡検査では、うとうとと眠っているような状態をめざすのが理想的です。ただし、胃内視鏡の場合は嘔吐反射が強い方もおられるため、もう少し深い鎮静をめざしたほうが良いこともあります。その都度、患者さんの様子を観察しながら調整します。当院では検査を受ける方の約9割が鎮静剤の使用を希望されています。
先生が診療の際に心がけていることは何でしょう?

当院は「Less, but Better―絞るからこそ深く、速く、良く」をめざしています。風邪の診察やワクチン接種など幅広く対応すると多くの患者さんを診る必要があり、一人ひとりにかけられる時間は限られてしまいます。当院は診療領域を消化器内科と内視鏡検査に絞ることで患者数を適切に保ち、その分、お一人お一人に十分な時間を取り、丁寧な説明を心がけています。内視鏡検査では、勤務医時代から「スピードよりも苦痛の軽減」を大切にしてきました。胃を膨らませる空気の入れ方や量、タイミングなど細かな部分まで気を配っています。もし患者さんから「前回より楽だった」と言っていただけたら、何よりうれしいです。
忙しくて時間がない若い世代へ向けた検査体制を確立
設備の特徴についても教えてください。

当院の設備で特徴的なのは、エックス線がないということです。これは、内視鏡クリニックとしても珍しいかもしれません。その理由は、先ほどお話しした「Less, but better」の考え方にもつながります。エックス線がないということは検診業務ができないということでもありますが、その分、消化器内科と内視鏡検査に特化する体制を整えました。具体的には、内視鏡室を2部屋設け、2スコープを同時に稼働できるようにしています。また、腹部エコーのスペースも確保しました。さらに、AIを活用した内視鏡診療にも取り組んでいます。胃内視鏡と大腸内視鏡の計4台すべてにAIを導入し、病変の検出や腫瘍性・非腫瘍性の判別など、診断のサポートに活用しています。
プライベートでは2人のお子さんのお父さんと伺っています。
自分自身が子育て中ということもあり、同じ子育て世代の方々には強い思いがあります。忙しい毎日の中でも受診しやすい環境を整えたいと常に考えています。消化器内科医であれば、子育て中の40代女性が大腸がんで亡くなるというようなケースを経験したことがあると思います。そうした悲しい出来事を減らすためにも、内視鏡検査を受けてもらいたいですね。お子さん連れで来院していただいても構いませんし、スタッフも含め、クリニックとして子育て中の方を支える姿勢を大切にしています。
最後に読者へのメッセージをお願いします。

内視鏡検査を受けたいけれど、忙しくて時間がないという方に諦めてほしくないという思いがあります。当院では、検査前の外来受診が不要で、検査当日の1回の来院で完結する「スマート大腸内視鏡検査」をはじめ、患者さんのスケジュールに寄り添った診療と検査体制を整えています。クチコミをきっかけに、同じ職場から3人が来院されたこともあり、内視鏡検査の必要性が少しずつ広がっていると感じています。日本の内視鏡の質は世界的に見ても優れていて、国民皆保険のもと比較的受けやすい医療です。そうした恵まれた環境を活用しないのは、もったいないことだと思います。今後は検査の質の向上と患者さんの負担軽減、クリニックの仕組みづくりやサービスの改善にも挑戦しながら、長く愛されるクリニックをめざしていきたいと思います。

