鈴木 覚 院長の独自取材記事
ちば浜野総合診療クリニック
(千葉市中央区/浜野駅)
最終更新日:2025/09/11
2025年9月、JR内房線浜野駅東口から徒歩1分の立地に新たに開業する「ちば浜野総合診療クリニック」。院名が示すとおり、患者の心身の健康問題を包括的にケアする「総合診療」に取り組むクリニックだ。その特徴は、内科、循環器内科、皮膚科、整形外科、リハビリテーション科まで幅広い診療科を標榜し、子どもから高齢者まで、さまざまな年代の診療ニーズに応えること。鈴木覚(すずき・さとる)院長が、さまざまな診療科を経験する中、プライマリケアの重要性を実感して開業に至ったという。居心地の良い院内には、「小さな総合病院」と呼べるほどの設備と機器を備え、患者一人ひとりに寄り添う診療をめざしている。やわらかな笑顔と優しい語り口が印象的な鈴木院長に、理想のクリニック像や同院の診療方針について話を聞いた。
(取材日2025年8月28日)
幅広い診療科を専門的に学び総合診療クリニックを開業
先生のご経歴と開業までの経緯を教えてください。

聖マリアンナ医科大学を卒業後、初期研修を経て同大学病院の循環器内科に入局しました。約2年間、循環器について学び、茨城県の総合病院に移動し、さらに循環器領域の学びを深めていきました。日々の診療は充実したものでしたが、循環器だけでなく「もっといろいろな領域を勉強したい」と思ったことから、都内のクリニックや市中病院で働き、整形外科、皮膚科、小児科、在宅診療などあらゆる分野で研鑽を積みました。さまざまな診療の現場に携わる中で実感したのは、医療の最初の入り口となるプライマリケアの重要性です。そこで、幅広い診療科を深く学んだ経験を生かし「総合診療」を行うクリニックを開業したいと考えました。千葉県は僕の出身地ですし、浜野はクリニックが少ない地域ということもあり、困っている方の力になれればと考え、この地での開業を決めました。
かなり幅広い診療科を学ばれたのですね。
病院で循環器内科の診療をしていると、心臓の問題で入院してくる方がいらっしゃいます。そんな入院患者さんが、指をいつの間にか脱臼していたり、ほかの体の悩みを抱えていたりといったケースも多くありました。そこで、幅広く整形外科や皮膚科、小児科も診ることができたらと考えたのです。当院で小児科は標榜していませんが、月齢6ヵ月以上の小児の発熱、胃腸炎、花粉症、便秘、ニキビ、アトピー性皮膚炎などについても対応します。
院内設備や機器も非常に充実している印象です。

院内は十分な広さを確保し、1階に診察室、2階にはリハビリテーション室と検査室を設けています。総合診療を行うクリニックであること、先ほどもお話ししたように、この地域は医療機関が少なく、首都圏から離れた郊外にあることから、総合病院へ行かなくても当院だけで完結できるよう検査機器の充実を図りました。血液検査と尿検査の結果が、即日その場でわかる機器や天井走行型のエックス線撮影装置もその一つです。エックス線撮影装置は、いろいろな角度から撮れるタイプで、患者さんの検査負担が少ないのが特徴です。高齢者の骨折は医療費もかかりますから、その手前で骨粗しょう症の治療をしておくことがベストだと考え、骨密度検査機も備えました。また、CTも導入しており、当院だけで完結できる医療を提供するための医療機器はそろえたつもりです。
一つのクリニックで治療が完結する理想の医療
どのような患者さんに来ていただきたいとお考えですか?

体調が悪くなったときに「何科に行けばいいのかわからない」という患者さんは結構いらっしゃると思います。そういった方々のお役に立つことが理想です。地域の方はもちろん、駅に近い立地を生かして、少し遠方からも来ていただけるよう日曜・祝日も診療します。患者さんが、当院に来て本当に良かったと思えるようなクリニックでありたいですね。初めて医療機関を受診する方は、体の悩みや不安を抱えていることが多いと思います。そうした不安を和らげられるクリニックをめざしています。そのため、待合室はホテルライクな雰囲気にして、リラックスできる空間を提供できるよう意識して設計しました。診察室は清潔感を重視して白を基調にしています。白にすることで光がたくさん入り、診察がしやすい、患部が見やすいという効果があるんです。
一人の先生にいろいろな診療科を診ていただくメリットは何でしょう?
一人のドクターがいろいろな診療科を診ることで、患者さんはいくつもの病院に行かなくても一つの場所に集約することができます。ドクターも患者さんの全体のことがわかっているので、話も早いですし、楽なのではないでしょうか。僕はこれまで、患者さんがいろいろな医療機関に行く大変さをなくして差し上げたいという思いから、いろいろな科目を学び、一つのクリニックで完結できることをめざしてきました。前職でも総合診療に力を入れていましたが、広さなどの制約で対応できない検査や治療がありました。現在のクリニックではそれらも行えるようになり、理想の医療にさらに近づけたと感じています。
診療で大事にされていることは?

患者さんがどんなことでも伝えやすく、どんな悩みでも話しやすいように、とにかく笑顔で優しく接することを徹底しています。受診する際「こんなことを聞いてはいけないのでは」と思ってしまう患者さんもいらっしゃると思いますが、そういう不安な気持ちにならないよう配慮することを意識しています。病気をただ治すというのではなく、健康に関するお悩みや不安を抱えている患者さんやご家族に寄り添い、健康で自分らしい生活を送っていただける診療方針を一緒に考え提供していきたいですね。
何よりの「やりがい」は、患者からの感謝の言葉
先生が医師を志されたのはなぜですか?

僕の父は歯科医師として開業していますが、本当は医師になりたかったそうです。僕が高校生の時にその話を聞き、父の願いをかなえてあげたいと思い、医師をめざしました。父が歯科医師として診療する姿を間近で見てきて、僕も医療に携わりたいという思いもありましたね。父は歯科医師ですが、医療のことにも詳しくて、患者さんからの医療的な質問にもスラスラ答えていました。そんな父の姿から、体のいろいろな部位や幅広い科目を診る大切さを学びました。最初に循環器を専門に選んだのも、心臓が人体の中心であり、循環器内科は全身を診る診療科だからです。実際に医師になってみて、ハードな仕事だと実感しましたが、患者さんから感謝されることが多く、それが一番のやりがいになっています。
日々、お忙しいと思いますがプライベートの楽しみや健康のためにされていることはありますか?
実は猫を4匹飼っていて、結構な猫好きです(笑)。昔から動物好きではありましたが、特に猫のお世話は好きですね。子どもの頃から猫を飼いたいと思っていたのですが、親が苦手なものでなかなか飼うことができませんでした。社会人になってやっと飼うことができるようになり、日々の癒やしとして活躍してくれています。自身の健康に関しては、医師の仕事は体が資本なので、日々の食事管理やちょっとしたストレッチを生活に取り入れることを意識しています。
最後に、今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

幅広い年代のさまざまな診療ニーズにお応えできる、総合診療のファミリークリニックでありたいですね。内科、循環器内科をはじめ、生活上で悩むことが多い皮膚科、患者さんの数が多い整形外科、そしてリハビリテーション科と、幅広い診療科を診ていきたいと思います。お子さんからご高齢の方まで、皆さんの人生を通して寄り添うかかりつけ医でありたいですね。今後は、理学療法士による作業療法の導入や経験を積んできた在宅医療にも対応し、より理想に近いクリニックをめざします。また、近隣のクリニックと連携し、CTを活用していただくことも視野に入れています。これまで、総合診療を実践する医師として、どんな疾患にも対応できるように研鑽を重ねてきました。「何科にかかればいいのかわからない」「この症状は何だろう」というときにお役に立てると思いますので、気軽に相談に来ていただきたいと思います。

