上平 大輔 院長の独自取材記事
新宿目白 胃・大腸内視鏡と肛門 うえひら消化器クリニック
(新宿区/目白駅)
最終更新日:2025/09/26

目白駅から徒歩3分、商店街から一歩入ると、木目とグレーの落ち着いた空間が広がる「新宿目白 胃・大腸内視鏡と肛門 うえひら消化器クリニック」。2025年に開業した上平大輔院長は、17歳から目白に住み続ける地元愛にあふれた消化器外科医だ。中学時代のけががきっかけで医師を志し、東京都立大久保病院勤務時の虫垂炎手術で消化器外科の道を決意。消化器がん治療の前線で多くの患者と向き合ってきた。「救えない患者さんをたくさん見て、予防医療の大切さを痛感しました」と語る上平院長。内視鏡検査や肛門疾患という受診しにくい診療を、技術と環境づくりでハードルを下げたいという想いで開業を決意。スポーツマンらしい爽やかさと、患者の話にじっくり耳を傾ける優しさを併せ持つ上平院長に、地域医療にかける想いを聞いた。
(取材日2025年9月4日)
地元愛と運命的な出会いが導いた開業
こちらで開業された経緯を教えてください。

私は17歳から目白に住んでいて、人の流れやどんな様子の街なのかということをよく知っていました。去年の11月にバスケットボールをしていたらアキレス腱を切ってしまい、車通勤をしていた時にこの道を通りがかったんです。妻と「いいビルができたね、あんなところで開業できたらいいね」と話していたら、私の誕生日にちょうどここが竣工して、その日にテナント募集が貼り出されました。もうその場で電話して即決しました。まさに運命的な出会いでしたね。地元で、おなかからお尻まで診る消化器外科クリニックとして、地域の皆さんの健康をおなかの中からお守りする。そういうコンセプトで開業できたことをうれしく思っています。
先生が医師を志したきっかけや消化器外科を選んだ理由を教えてください。
中学生の時、バスケで膝の内側側副靭帯をけがしました。一度は「もうバスケはできないよ」と言われ、とてつもなくショックを受けていたのですが、オリンピック帯同経験のあるスポーツ整形の先生と出会い、「もう一度バスケができるようになるから大丈夫だよ、一緒に治療しようね」と声をかけてくださり、半年足らずで競技へ復帰しました。その時の純粋な感謝の気持が忘れられず、自分も同じ道に進みたいと医師をめざしました。消化器外科を選んだのは、東京都立大久保病院での研修時に、虫垂炎の手術を2件執刀させてもらった時でした。何とも言えない緊張感と、それでいて集中していて冷静だけど楽しいという感覚。その瞬間に消化器外科医になることを決めました。そこからは無我夢中でいろいろなことがしてみたい、英語を使って仕事がしてみたいと思い、ニューヨークやシンガポールへの留学も経験するなどさまざまな研鑽を積んできました。
開業を決意された理由は何でしょうか?

長年消化器がん治療に携わる中で、大腸がんや胃がんの患者さんを診断から手術、抗がん剤、緩和ケアまでトータルで診てきました。救うことができずに、つらい思いをする方たちもいらっしゃいました。どうしたらつらい思いをする方を減らせるかと考えた時、なるべく多くの方に内視鏡検査を毎年きちんと受けてもらうことが一番だと思ったんです。あとはお尻の疾患で悩んでいるけれど受診をためらっている方も多いですよね。排便習慣や拭き方まで指導できる医師として、病院ではできなかった形で患者さんに還元したいと考えていました。そのため受診に対するハードルが下がるように、内装にもとてもこだわりました。良い意味でクリニックっぽくない、少しでも気分が上がるような空間にできるよう、木目調で温かみや親しみやすさがありながら、落ち着いていて高級感もある雰囲気にしました。
技術と環境で実現する痛みに配慮した診療
内視鏡検査における工夫を教えてください。

内視鏡検査は術者によって苦痛の大きさが変わってきます。ここではなるべく苦痛を少なく受けてもらえる検査ができると自負しています。鎮静剤や鎮痛剤を使って苦痛を極力少なくすることはもちろん、下剤も4種類用意していて、それぞれ特徴を説明した後、患者さんに選んでいただきます。検査食も2種類から選択可能です。決まった物を渡されるより、選択肢があったほうが患者さんの不安な気持ちも少し紛れるのではないでしょうか。また、院内でも下剤を飲めるように個室を2室設置し、併せてトイレも2室用意しているので、周りを気にすることなく検査の準備が可能になっています。検査時に鎮静剤を使用した場合は、検査後そのままストレッチャーで横になった状態休めるように動線を組んでいるので、検査前から検査後に至るまで患者さんの不安や負担を極力抑えられるように工夫しています。
お尻の診療でのプライバシー配慮について教えてください。
おなかでもお尻でも、誰が何で来ているかがわからないように配慮しています。診察室も完全個室で、バックヤード側もしっかりドアが閉まるプライベート空間になっています。必ず看護師立会いのもとで診察し、診察時以外は必ずお尻にタオルをかけた状態にしていますので、恥ずかしさを感じないように配慮しています。また、診察の際は「これから診るので触りますよ」と一つ一つお声がけしてから行います。「お尻はとてもデリケートな場所で、何かを患うのは他の場所と何も変わらない。恥ずかしいことじゃ全然ないんですよ」とお話しします。極力恥ずかしさを感じさせないような工夫と声がけも心がけています。
肛門疾患の診療ではどんなことを大切にしていますか?

実は切れ痔は若い女性の方にも多いんです。皆さんお肌のケアはするけれど、肛門も同じくらいデリケートなのになかなか労わらないですよね。私は肛門も同じくらい労ってあげてもいいと思っています。切れ痔の人は一生懸命拭く方が多いので、拭き方から指導します。また便秘が原因のことも多く、まず便秘を改善させないと繰り返してしまうことになります。5年、10年ずっと繰り返してきたという方もいらっしゃいます。自分だけで解決しようと思っても同じ習慣を繰り返してしまっていては治らないですから、早めに来ていただいたほうがいいですね。長く患っていると慢性化して手術が必要になることもありますから。
地域の人たちを「おなかから守る」存在に
腸内環境を整えることも重視されているそうですね。

最近では腸活という言葉もよく聞かれますが、腸内細菌のバランスを整えることは健康寿命を延ばすことにもつながり、免疫や美容とも関連があるといわれているので重視しています。疾患のリスクや便秘の改善のためにはどんな食生活がいいか、足りない部分をどの食品で補えるかといったところまでアドバイスしています。
診療の際に心がけていることは何ですか?
時間がかかってしまうこともありますが、患者さんの話を聞くようにしています。話したくていらっしゃる方もいっぱいいると思いますし、話していただくことでこちらが原因に気づくこともあれば、患者さんご自身で気がつくこともあります。特にお尻の場合は、話を聞く中で患者さんなぜ症状に悩まされているのかが見えてきます。やはり信頼関係がないと何も任せられないと思いますし、話を聞くことは大切にしています。さらに、話を聞いた上で、排便習慣や拭き方、食生活、生活習慣のアドバイスまで行います。ここまで真剣に話すことは他のクリニックだとあまりないかもしれませんが、正しい情報をお伝えすることも大切にしています。
最後に読者へのメッセージをお願いします。

地域の一員として地元の皆さんのおなかの中から健康をお守りする、そういうクリニックでありたいです。おなかでもお尻でも、ちょっとしたことでいいんです。そういえばうえひらのところに行ってみようかな、そう思ってもらえる場所になれば本望です。また、私自身、毎朝5時台に起きて走ったり、冬は競技スキー、子どもの少年野球の手伝いなど、動いているのが好きな性格なのもあって体を動かすことの大切さもよくわかっています。健康維持の相談も含めて、何か困ったことがあれば気軽に来ていただければと思います。始まったばかりのクリニックですが、これからも地域のために頑張っていきます。