久富 隆太郎 院長の独自取材記事
ひさとみこどもクリニック
(大阪市天王寺区/玉造駅)
最終更新日:2026/01/16
玉造駅から徒歩1分、医療ビルの6階に開業した「ひさとみこどもクリニック」。カメレオンのロゴが印象的な同院で、「ご家族に優しいクリニックでありたい」という思いを胸に診療にあたる久富隆太郎院長は、日本小児科学会小児科専門医であり日本腎臓学会腎臓専門医。大阪市立総合医療センターの総合診療部門で幅広く診てきた経験と、腎臓内科の専門性を併せ持つ。「大きな病院に紹介される皆さんはとても不安を抱えている。もっと早い時点でお話しし安心を届けたい」との思いから開業。3人の子どもを持つ父親として子育ての大変さを実感し、忙しい家族の負担を少しでも軽くしたいと考えている。子どもの個性を大切にする診療方針や、地域医療への思いについて話を聞いた。
(取材日2025年8月22日)
家族の不安に寄り添う町の小児科医として
開業までの経緯を教えてください。

三次病院である大阪市立総合医療センターの小児総合診療部門で経験を積み、軽症から重症まで幅広く診療してきました。その中で、不安を抱えて病院に来られるお子さんや親御さんの姿を目にすることも多く、もっと早い段階でこれからのことをお話しできれば、より安心していただけるのではないか――そう感じるようになりました。ちょうどその頃、脇本産婦人科さんが建てた医療ビルで「小児科に来てほしい」と声をかけていただきました。これもご縁だと思い、これまでの経験を地域に還元したいと考えて開業を決意しました。
総合診療部門での経験は、今の診療にどう生きていますか?
総合診療部門は医療の入り口となる部門で、さまざまな患者さんやご家族と最初に向き合う機会が多くありました。特にお子さんの症状に対して、親御さんはご自身のこと以上に不安を感じておられることが多く、その不安にどう寄り添い、どの段階で何を伝えるかが非常に重要だと学びました。こうした経験から、「これは心配のいらない状態なのか」「注意が必要なのか」を初期の段階で丁寧に説明し、安心していただくことを大切にしています。また、軽症から重症まで幅広く診てきたことで、クリニックで対応できる範囲と、高次医療機関へ紹介すべきタイミングの判断、いわゆるトリアージにも自信があります。現在も高次医療機関と連携し、必要に応じて適切な医療機関へご紹介できる体制を整えています。
なぜ小児科の医師を志したのですか?

子どもが好きという気持ちはもちろんありますが、私が小児科医に抱いていたのは、病気を診るだけでなく、子どもの成長を見守り、ご家族の相談役にもなれる存在でした。未来ある子どもたちが、できるだけ健康で元気に過ごせるよう支えたいという想いから、小児科の道を選びました。子どもの病気は、大人と違い、本人の努力や生活習慣で防げないものも少なくありません。中には生まれつきの病気を抱え、日常生活に制限があったり、継続した治療が必要だったりするお子さんもいます。そうした子どもたちの力になりたいという気持ちは、医師になりたての頃から変わらず持ち続けています。また、若手医師の頃に出会った腎臓内科の先生の影響で、全身と密接に関わる腎臓の奥深さに惹かれました。多くの腎疾患の患者さんと向き合う中で、小児科の中でも腎臓を専門として診ていきたいと考えるようになり、現在まで研鑽を重ねてきました。
感染症からアレルギーまで小児疾患・症状を広くカバー
どのような患者さんが来院されていますか?

発熱や咳などの患者さんが多いですが、湿疹や腹痛、学校検尿異常などいろんな症状で受診される患者さんがおられます。また、お隣の脇本産婦人科さんでお生まれになったお子さんが、初めての予防接種で来られることもあります。基本的に当院ではなんでも診させていただいています。アレルギー性鼻炎やアトピー性皮膚炎、喘息などの疾患にも対応していて、舌下免疫療法も行っています。小児科なので全身をトータルに診ながら舌下免疫療法もできる、というのがメリットですね。診療は高校生まで対応しており、付き添いの保護者さんも同じような症状であれば一緒に診ています。例えばインフルエンザにかかって家族全員が熱を出しているとき、子どもは小児科、大人は内科と分けて行くのは大変ですよね。そういう負担を少しでも減らしたいと思っています。
検査設備にはどのようなこだわりがありますか?
当院の強みの一つは、おなかのエコー検査がしっかりできることです。腎臓の形や大きさを確認できるので、腎臓専門医としても大切にしています。血液検査では微量採血と通常採血の両方が可能です。尿検査については特にこだわっていて、タンパク/クレアチニン比というより詳しい検査ができる試験紙を使っています。そのほかに、胸腹部のエックス線検査や心電図もあるので、こうした設備をそろえることで「大きな病院に行かないと受けられない」と思われがちな検査を、できるだけ院内で完結できるようにしています。その分、患者さんやご家族の負担を少しでも減らせればと考えています。
腎臓専門医として、学校検尿の結果の精査からおねしょの相談まで幅広く対応されているそうですね。

小児腎臓を専門に診る医師は実は多くありません。大阪市立総合医療センターでは腎炎・腎症、慢性腎臓病などを専門的に診ていました。子どもの腎疾患は慢性腎臓病一つをとっても、大人では糖尿病性腎症から透析になる方が多いのですが、子どもは生まれつき腎臓が小さいとか形に異常があるといったケースが多く、大人とは原因がまったく違うんです。また、子どもでは毎年学校検尿が行われます。病気を早く見つけるために重要な検査ですが、広く検査している分、「本当に問題があるのかどうか」をしっかり見極めることが大切なんです。当院で尿検査やエコー検査をして必要な場合だけ紹介すれば、多くは当院で経過を見ることができます。おねしょの相談も多いのですが、腎臓の状態をエコーで確認できるので、原因を見極めた上で適切なアドバイスができます。そうやって、専門性を生かしながら地域のお子さんに寄り添った診療をしていきたいと考えています。
子どもの個性を大切に自由な成長を見守りたい
カメレオンのロゴマークに込めた思いを教えてください。

子どもたちには自由に成長してほしいと思っています。カメレオンっていろんな色に変われるでしょう。自分の色を見つけて個性を伸ばし、それぞれの場所で活躍できる子になってくれたらなと。実はロゴのアイデアは、恐竜と爬虫類が大好きな長男が出してくれました。ちょうど好きな絵本作家の本に、自分の色を探すカメレオンが出てくるんですけど、「カメレオンがいい!」って言われて、まさにクリニックの思いにぴったりだなと感じました。院内もカラフルにしていて、部屋ごとに壁紙の色や柄を変えています。子どもってそういうのをよく見てるんですよね。実は、受付カウンターの下にハリネズミの絵を忍ばしているんですが、大人はほとんど気づきません。でも、キッズスペースからはよく見えるんです。そのほかにも、ちょっとマニアックな動物もいたりして、子ども目線で楽しめる工夫をしています。
診療で大切にしていることは何ですか?
診療で大切にしているのは、「ご家族に優しいクリニック」であることです。仕事や家事で忙しいご家族にとって、子どもが病気になるととても大変ですよね。だからこそ、受診された際の不安をしっかり受け止め、安心して帰っていただける診療を心がけています。また、診察室ではお子さんが緊張せず、伸び伸びと過ごせる雰囲気づくりを大切にしています。新米医師時代に先輩から言われた「医師にとって患者さんは何人かの患者さんのうちの一人だけど、患者さんにとって主治医はあなた一人しかいない」という言葉を胸に、患者さん一人ひとりに丁寧に向き合い続けたいと思っています。
読者へのメッセージをお願いします。

お子さんのことで気になることがあれば、どうぞ気軽にご来院ください。総合診療で培った幅広い経験と、腎臓の専門性を生かし、さまざまな症状や不安に対応していきたいと考えています。どんな小さなことでも、遠慮なくご相談ください。私自身も子育て中であり、育児の大変さや悩みを日々実感しています。少しでもその負担を軽くできるような存在でありたいですね。東京で勤務していた頃、教授が「ご縁」という言葉を大切にしていて、とてもすてきだなと思い、それ以降自分も「ご縁」を大切にしています。ここに来てくださったのも一つのご縁。せっかくのご縁を大切にして、お子さんが元気に笑って過ごせるようお手伝いできればと思っています。

