相田 健次 院長の独自取材記事
あいだ内科・循環器内科クリニック
(大阪市阿倍野区/大阪阿部野橋駅)
最終更新日:2025/08/29

近鉄南大阪線・大阪阿部野橋駅から徒歩2分、天王寺駅からもアクセスが良好な医療モールにある「あいだ内科・循環器内科クリニック」。長年、急性期病院で循環器疾患の診療に携わってきた相田健次院長が、循環器疾患のフォローと予防医療に力を入れるクリニックとして、2025年7月に開業した。「勤務医時代に携わった患者さんは、どなたも発症してから出会っているんです。もっと早く出会って治療してあげたかったと、よく感じていました」と振り返る。「発症してからでは遅い」と痛感しているからこそ、来院しやすく相談しやすい雰囲気づくりにこだわっているという。そんな、予防医療に強い思いを持つ相田院長に、循環器疾患の芽を摘むための同院の工夫や、診療で大切にしていることなどについて聞いた。
(取材日2025年7月29日)
急性期医療を通して予防医療の重要性を強く感じ開業
まずはご経歴を教えてください。

岡山大学医学部を卒業後、大阪赤十字病院の循環器内科に長く勤めました。循環器内科に進んだのは、心不全や心筋梗塞といった、命に関わる病気を発症された方が治療を受けている姿を目の当たりにしたことがきっかけです。手先を動かすのが好きだったため、手技ができる診療科に進もうと考えていたのですが、中でも循環器内科は自分の行動の結果が手に取るようにわかるため魅力を感じました。特に力を入れて取り組んだことは、狭心症や心筋梗塞のカテーテル治療です。命に直結する病気を治療するという使命感があり、やりがいを感じていましたね。また、現代は心不全パンデミックといわれるほど、心不全を発症する方が多い時代。そういったニーズにも応えられるよう、心不全の治療にも力を入れてきました。
なぜ開業を決意されたのでしょうか?
急性期病院という医療の最前線で長く診療する中で、予防医療の重要性を強く痛感するようになったんです。発症してからでは遅いのだと感じる場面が数多くあり、予防に関わっていくことが大事なのではないかという思いが日に日に大きくなっていきました。いずれは自分のクリニックを持ちたいと考えていましたし、幼少期は母が看護師として勤めていたクリニックで母を待つことが多く、そこで出会った医師との交流がきっかけで医療の道を志したことも関係しているかもしれません。当時のことはぼんやりとしか覚えていませんが、小さいながらに「かっこいい」と思っていたのだと思います。開業場所にこの地を選んだのは、勤めていた大阪赤十字病院から近く、天王寺駅からのアクセスも良かったからです。予防医療に注力する上で、通いやすい立地は重要な要素の一つだと考えています。
どのような患者さんが多く通われていますか?

高校生からご高齢の方まで、幅広い世代の方が通われています。サラリーマン世代の方も多いですね。この辺りの地域の方は健康意識も高く、生活習慣病での受診も多いんです。私としても予防医療に注力していますから、とてもやりがいを感じます。主訴としては、胸部症状を訴えて来られる方が多い印象です。そのほか、風邪などの内科症状で来られる方もいらっしゃいます。今は季節柄あまりいらっしゃいませんが、今後は心不全の方も多くなると予想されますから、クリニック全体でチームとして対応していく意識を持って診療にあたろうと思っています。
循環器疾患の芽となる生活習慣病の治療に注力
生活習慣病の治療に力を入れているそうですね。

循環器疾患、とりわけ心血管疾患は、高血圧や脂質異常症、糖尿病といった生活習慣病が長年積み重なって起こります。その芽を摘むためには、早期に発見し、早期に介入して心臓や脳の血管の病気を予防することが非常に重要です。狭心症や心筋梗塞で生死をさまよう患者さんを目の当たりにしてきて感じることは、「発症してからでは遅い」ということ。重症化する前に何とかできたのではないかと悔やまれますし、どの患者さんも、もっと早く出会って治療してあげたかったと思うのです。ですから、当院では生活習慣病の早期発見と治療に力を入れて、常駐している臨床検査技師や管理栄養士、看護師を含めたチームでのフォロー体制を整えています。
専門のスタッフと協力して循環器疾患の予防に努めていらっしゃるのですね。
専門の異なる複数のスタッフたちと連携を取りながら、「患者さんをチームでフォローする」という意識で予防に取り組んでいます。スタッフは皆やわらかい雰囲気で人柄が良く、それぞれがそれぞれの役割をしっかりと理解して、主体的にいろいろと提案してくれるんです。すごく良いチームだなと感じます。私は何事も雰囲気が大切だと考えていて、スタッフにもよく「自分が来たいクリニックを意識して雰囲気づくりをしましょう」と話しているのですが、クリニック全体で意思統一をして丁寧に対応してくれているので、私も安心して診療ができていますね。
臨床検査技師と管理栄養士が常駐しているのは珍しいのではないでしょうか?

循環器疾患の治療とその予防という観点において、臨床検査技師と管理栄養士が常駐している環境は重要だと考えます。まず、臨床検査技師が常駐していると、すぐに検査を依頼できます。特に心臓は一刻を争うこともありますから、すぐに超音波検査ができる環境が必要だと考えました。もちろん、心臓以外の部位に関しても即日検査が可能ですから、さまざまなニーズに応えられると思います。管理栄養士についても、常駐であれば生活習慣病の患者さんにすぐにアプローチできます。また、予防医療には継続的なフォロー体制が必要です。途中でモチベーションが下がってしまうこともありますから、目標を継続的に達成できているか、定期的な栄養相談で患者さんの状況を確認することが大切だと考えています。
めざすのは、来院しやすく相談しやすいクリニック
診療において大切にしていることを教えてください。

患者さんが話しやすい雰囲気をつくることです。そのためにも、まずはご自身の言葉でお話しいただき、その内容にしっかりと耳を傾けることを意識しています。これは勤務医時代から一貫して心がけていた診療スタイルですね。患者さんの話を遮らず、最後には「何か言いたいことはありませんか?」と必ず確認するようにしています。また、生活習慣病の治療に携わっている立場上、自分も体型管理や健康維持には気を配っていますね。そうでないと、患者さんに示しがつきませんから。私自身はコレステロール値が正常なのですが、勤務医時代は実際にどれくらいコレステロール値が下がるのかを検証するために、5キロほどの距離を毎日自転車で通勤してみたこともあります。自分の体で実践したからこそ、実感を持って患者さんへの説明に活用できます。
今後、どのようなクリニックにしていきたいですか?
誰もが相談しやすいクリニックにしていきたいですね。私が専門としている循環器系の患者さんはもちろん、その予防に直結する生活習慣病や内科疾患など、どんな疾患でも頼っていただくためには、何でも相談しやすいことが大事だと思います。そういう雰囲気づくりをスタッフ全員でできるように心がけていますし、それが結果的には循環器疾患の予防や早期発見につながると考えています。不調を感じているにもかかわらず受診を控える方もいらっしゃいますが、我慢した後に何らかの疾患が発症することもあるんです。ですから、来院しやすく居心地が良い環境にもこだわっています。例えば、内装は白を基調とし、木目は明るい色を選びました。些細なこだわりかもしれませんが、角を落としているのでやわらかい印象になっていると思います。患者さんにとっても働いているスタッフにとっても堅苦しくなく、親しみやすい場所になっていたらうれしいですね。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

高齢化に伴い、循環器疾患は今後ますます増えていくと予想されます。急性期病院での治療が終わった患者さんはかかりつけ医でフォローするのですが、疾患の特殊性もあり、一般の内科クリニックでは対応が難しい面もあるため、地域での循環器内科医の役割が非常に大きくなるでしょう。日本循環器学会循環器専門医として、また阿倍野・天王寺地区の循環器内科クリニックとして、循環器疾患のフォローを中心となって担う、病院の受け皿のような存在になりたいと考えています。当院は、先進の機器を導入し、専門のスタッフとともに予防医療に注力している一方で、内科全般も幅広く診療しています。どんなご相談でも構いませんので、お気軽にお越しください。