病気の早期発見のため40代以降は受けたい内視鏡検査。苦痛軽減のための取り組みに迫る

Q内視鏡検査ではどのようなことがわかるのでしょうか？

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▲先進機器を取りそろえ、早期発見・早期治療に注力

胃、食道などを観察する上部消化管内視鏡検査では、逆流性食道炎や食道がん、慢性胃炎、萎縮性胃炎、胃ポリープ、胃がん、胃・十二指腸潰瘍、十二指腸がん、ヘリコバクター・ピロリ感染症などがわかります。直腸から盲腸までの大腸を観察する下部消化管内視鏡検査では、クローン病や潰瘍性大腸炎といった炎症性腸疾患、大腸ポリープ、大腸がん、大腸憩室症、粘膜下腫瘍、虚血性大腸炎、痔核、急性虫垂炎などがわかります。病変が見つかった場合は組織の一部を採取して、顕微鏡で確認する検査に回すこともあります。大腸がんはほとんどの場合、良性の大腸ポリープから発生するので、早い段階で切除することが大腸がんの予防につながります。

Qどのようなときに内視鏡検査を受けると良いでしょうか？

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▲日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医の浅井院長

何かしらの症状があれば検査をお勧めします。例えば胸やけや胸のつかえ、喉の違和感や痛み、慢性の咳、胃もたれ、食欲不振、黄水（おうすい）という胆汁を含んだ黄色い液が胃からこみ上げてくる、口の中が酸っぱい、あるいは苦い、貧血がある方。また、黒い便が出た、血便がある、便秘や下痢がひどい、過去に胃潰瘍や十二指腸潰瘍になったことがある方などです。健診や人間ドックでピロリ菌を指摘されたり、便潜血検査が陽性であったり、何か異常を指摘されたりした場合はそのままにせず、内視鏡検査を受けていただきたいですね。血縁者に胃がんや大腸がんになった方がおられる場合も意識していただきたいです。

Q自覚症状がなくても受けたほうが良いでしょうか？

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▲検査前の待合室。トイレつきの個室も複数用意されている

がんに罹患するリスクは、一般的に40～50代から高くなるといわれ、その年代で内視鏡検査を一度も受けたことがないという方には受けていただきたいという気持ちがあります。がんをはじめ、病気は初期の段階では自覚症状がないことも多いため、知らないうちに進行してしまうことが心配です。胃がんも大腸がんも、男女とも罹患数としては上位に入っており、大腸がんは女性の死因として最も多いがんです。早期発見のためには症状のない段階から内視鏡検査を受けることが有用な手段となります。病院勤務時代には20～30代のがん患者さんも診てつらい思いをしました。最低限健診は受け、指摘があれば内視鏡検査も受けていただきたいです。

Q検査は大変なイメージがあります。何か工夫はされていますか？

A

▲痛みを軽減した検査を心がけているという

内視鏡検査が苦しいとされる原因の一つは、胃の経口の検査で起こる嘔吐反射です。挿入時にスコープが舌の根元に触れるためですが、嘔吐反射を最小限に抑えられるよう、外径5～6ミリ程度の細い内視鏡を使用しています。また、挿入の際は患者さんの呼吸に合わせて無理のないようにしています。ご高齢になるとそれほど嘔吐反射の心配はないでしょう。当院では経鼻での検査も可能で、こちらは舌の根元に触れることがまずありません。麻酔は鼻にだけしますので、検査中も医師や看護師と会話がしやすいという安心感もあるでしょう。ご希望により、リラックスした状態で検査を受けられるよう、少量の鎮静剤を使用することもできます。

Q大腸の検査についてはいかがですか？

A

▲完全個室となっており、プライバシーに配慮された空間

大腸の場合も、鎮静剤の使用が可能です。不安や恐怖心が強い方、過去に受けた検査が非常につらかった方、腹部の手術経験があり腸が癒着している可能性がある方などに向いています。また、おなかの張りによる苦痛を軽減するため、空気に比べて速やかに腸管内で吸収されやすい炭酸ガスを用いて検査を行っています。さらに、胃と大腸の検査を同日にする場合は、下剤を口から飲まなくても良いように、胃の内視鏡を通して洗浄液を十二指腸に入れるという方法も可能です。苦痛軽減のためには医師の熟練した腕も大事。私は病院での10年以上の経験を生かし、患者さんそれぞれの腸の特性を逐一確かめ、配慮しながらスコープを動かしています。