伊藤 崇 院長の独自取材記事
三枝整形外科 真砂クリニック
(千葉市美浜区/稲毛海岸駅)
最終更新日:2025/07/15

千葉市美浜区真砂1丁目、公園の近くに2025年7月に開業した「三枝整形外科 真砂クリニック」。4階建てで手術室や入院施設、リハビリテーション室などを擁する同クリニックを率いるのが伊藤崇院長だ。稲毛にある本院「三枝整形外科医院」の牧井勇磨理事長とは旧知の仲で、10年ほど前から「いずれは地域に手術や入院ができるクリニックをつくりたいね」と話し合っていたという。伊藤院長は、その間、市原や我孫子にある病院で首から足先まで整形外科疾患の手術に数多く携わり、その技術を磨いてきた。同クリニックでもそれらの経験を生かし、さまざまな整形外科疾患の悩みに応えていきたいと話す。そんな伊藤院長に整形外科医療への思いやクリニックの特徴について聞いた。
(取材日2025年7月2日)
検査から手術、入院、リハビリまで一貫した医療を提供
院長に就任なさった経緯についてお聞かせください。

私が当時勤務していた病院に、理事長の牧井先生が非常勤として診療に来ていました。1年後、牧井先生もその病院の常勤となって数年間一緒に働きました。何人か若手の医師がいたのですが、その中に「三枝整形外科医院」の先代院長の息子さんもいらして継承者を探していたのです。その話を受けて、牧井先生はクリニックの経営に関心があったので、クリニックを継承、開業することにしたのです。その頃から「いずれは手術もできるクリニックを立ち上げたいよね」という話をしていました。それが10年くらい前のことです。その後、個人経営だった「三枝整形外科医院」を法人化し、分院を開業しようと計画変更したのが4年くらい前です。それから3年間、私は別の病院でさまざまな手術に携わってきました。その間、継承物件などを検討してきたのですが、最終的にゼロから立ち上げることになり、私が院長に就任する運びになりました。
10年来の夢がかなったのですね。クリニックづくりにあたってどんなことにこだわったのですか。
あれも入れたい、これも入れたいと思ったのですが、ここは住宅地域なので建ぺい率の制限もあり、なかなか思うようにスペースが取れず苦労しましたが、リハビリテーション室はできるだけ広くしました。加えて、入院施設についてクリニックは19床まで設置できるのですが、15床に抑えてゆったりとした病室にしました。何よりも整形外科としてMRIとCT、DEXA法の骨密度検査機器は重要になりますので、それらは患者さんの動線も考えて2階の診療室フロアに設置しています。それらがないから他に行って検査してきてね、ということがないようにしたいと思ったのです。
改めてこちらのクリニックのコンセプトを教えてください。

あくまでクリニックですので、病院と比べるとできることは限られてきます。ですが、ここに来れば、整形外科疾患について首から下、足先までスタンダードな手術を受けられて、入院、リハビリテーション、さらに退院後のフォローアップまで一貫した整形外科医療を受けられます。その点はこだわりといいますか、私たちが大切にしたい部分です。遠くの大きな病院に行かなくても自宅の近くで手術や入院ができることを近隣の方々に知っていただきたいですね。また、千葉市美浜区は整形外科の入院施設が求められています。その点でも地域の方々のお役に立てるのではないかと思います。
専門用語は使わずわかりやすい説明を心がける
診療の際、どのようなことを大切にしていますか。

患者さんとお話しするときには、できるだけ専門用語は使わないようにしています。患者さんの中には話を聞いているうちに、頭が混乱してしまう場合もあります。そのときもそのままにせず、理解できるよう丁寧にお話ししています。あとは当たり前のことにはなりますが患者さんにうそをつかないことですね。
特に力を入れたい診療などはありますか。
地域のクリニックとして整形外科疾患で困っている方はどのような方でも診ていきますし、スタンダードな治療を適切に行っていきます。ですので、これだけに特化して力を入れたいということはありません。最近診療している中で、背骨の圧迫骨折の方が非常に多いんですね。尻もちをついた後から腰痛が出た、ぎっくり腰かと思った、といった患者さんをMRI検査すると圧迫骨折していたという例が非常に多いのです。そのような圧迫骨折に対しては、痛みを取る目的で骨折部分に特殊な骨セメントを注入して背骨の復元を図る手術方法があります。セメントは10分くらいで固まり、手術時間も短時間です。基本的には翌日から日常生活へ戻っていただけます。圧迫骨折に対してこのような治療があることをぜひ知っていただいて、この地域に浸透させていきたいと考えています。
整形外科の治療ではリハビリも重要ですね。

はい。当クリニックのリハビリテーション室では、理学療法士がマンツーマンで一人ひとりの症状に即したリハビリテーションを提供します。手術・入院されている患者さんは手術翌日からリハビリを開始します。例えば左足を床につけられなくても右足は床につけられる、両手も動かせる、ならばリハビリをやらない理由はないよね、ということでリハビリを始めます。患者さんにとってリハビリはつらい、やりたくないと考えることもあるでしょう。でもそのつらさ、努力と言い換えてもいいかもしれませんが、それは必ずご本人に返ってくると思います。頑張れば頑張るほど良い結果が望めるのです。患者さんには、お金持ちになることや受験合格に例えてお話ししています。仕事が大変でも今頑張ればお金持ちになれるでしょ、勉強を頑張れば受験に合格できるでしょ、それと同じことですよと。
スタンダードな治療を着実に行うことで地域の信頼を
ところで先生はどのようなきっかけで医師をめざしたのですか。

実家が江戸時代から続く代々医者の家系で、祖母は外科、産婦人科で父は脳外科でした。そんな環境で育ちましたので、子どもの頃は自然な感覚で医師になるものだと思っていました。ただ、高校生になると建築士になりたいと考えるようになり、父にそのことを言ったら、「志望大学の建築科の先生方の名前を全部言えるのか」と詰められて(笑)。まだ16、17歳の子どもですからそんなことは全然考えたこともなかったのです。きっとそういうところまで調べて努力している人が建築家の道に進むべきなのだろうと感じ、私は医学の道に進むことを決めました。
整形外科を専門にしたのはなぜですか。
外科系に進みたいという思いはありましたが、父が脳外科医として多忙な日々を送っていた姿を見て育った私は、同じ道には進めないと感じていました。実は、子どもの頃、父と一緒に自宅で夕食を食べたことがないんです。父は、夜少し家に戻ってまた21時くらいから病院に出かけていたのです。そんな生活は自分には難しいだろうと考えました。消化器外科も少し違うように感じて、最終的には、サッカーのケガの治療などでお世話になった経験から整形外科を選びました。ですが、病院勤務の初日、帰宅したのが23時過ぎだったので、一瞬後悔しました(笑)。それでも、今は整形外科の医師になって良かったと思っています。整形外科は一つの科で治療を完結できることが多く、医療の入り口から出口まで一貫して支えられるこの診療科に、大きなやりがいと誇りを感じています。
では最後に今後の展望とメッセージをお願いいたします。

これから地域の中の整形外科クリニックとして、スタンダードな診療を着実にやり続けていきたいと思います。医療機関は患者さんがいて初めて成り立つものです。当たり前の治療を当たり前に行うことで、地域の方々の信頼を得るとともに、お役に立てればと思います。足や腰、関節など整形外科疾患のことで何か困ったことがあればどうぞ相談に来てください。