安原 隆雄 院長の独自取材記事
やすはらクリニック
(丸亀市/丸亀駅)
最終更新日:2025/08/22

2025年5月、国道11号沿いに脳神経外科を掲げるクリニックが誕生し、10万人都市・丸亀の医療シーンに新しい風を起こしている。同院で院長を務めるのは、「頭」と「背骨」のスペシャリストとして、岡山大学病院の前線に立ち続けてきた安原隆雄院長だ。JR予讃線・丸亀駅から車で8分、広大な敷地に30台以上の駐車場を完備する「やすはらクリニック」では、国内先進のMRIをはじめとした、先端の機器設備を導入。豊富な経験、実績に基づく専門的診療に加え、生活習慣病の管理や発熱症状、またオンライン診療にも対応する。力量ある専門スタッフらと手を携え、「全ての患者さんに寄り添い、あきらめない医療を目指します」と力強く宣言する安原院長を取材した。
(取材日2025年7月1日)
患者に寄り添い、最良の医療を提供
先進の設備をそろえて開業されたそうですね。

2024年11月にドイツで発売されたMRIを、国内でも早期に導入しました。AIの処理能力が高いため、より速くより美しく撮影することができますし、希少資源であるヘリウムの使用量もごくわずかです。DWIBS(ドゥイブス)と呼ばれる全身のがん検診については、20分以内に終えることができます。当院の診療放射線技師は優秀で、画質とスピードのバランスを取りながらプロトコルを組んでくれるのです。特定の部位だけでなく、頭から腰までを一度に素早く検査する体制を整えることで、患者さんのメリットの最大化を図りました。またその他にも、新型のCTやブロック治療に使用するエックス線透視診断装置、さらには県内での導入が限られる、80cmという長尺のデジタルエックス線撮影装置などもそろえています。
患者さんの診療内容を教えてください。
若年層も含めて、頭痛の患者さんがとても多いです。中には脳動脈瘤の疑いがあり、中核病院へとつなげた例もありました。赤ちゃんの頭の形のご相談も多く、ヘルメットを装用いただく治療を提供しています。自費診療にはなりますが、価格は皆さんが検討しやすいよう、最低ラインです。あとは、睡眠時無呼吸症候群ですね。当院の検査は患者さんご自身で機器を返送いただく方法ですので、手軽に高精度の検査が可能です。上記以外では認知症の方や、頸椎・腰椎由来の痛みやしびれのある方も目立ちます。頭と背骨の専門的な診療と知識には自信がありましたが、開業にあたってより広く深く学び直しました。患者さんを正しく診断し、適切な施設へ送り届けられればうれしく思います。
診療を行う上で、心がけていることは?

自分の家族に施すような、最良の医療を提供することです。画像診断で異常が見つからなかったとしても、患者さんは困っているわけですから、そのお悩みを解決する方法まで一緒に考えるようにしています。大切なのは、SDM(協同意思決定)です。押しつけがましい診療もしません。当院はスタッフ全員で、「全ての患者さんに寄り添い、あきらめない医療を目指します」。誰もが粘り強く取り組むことこそが、医療には必要だと思うのです。そうやって、一緒に歩んできた患者さん一人ひとりとの思い出、それぞれの物語が、今の私という存在をつくっています。
チームのため、岡山の医療のため献身
医師をめざした経緯をお聞かせください。

母方の祖父が、岡山で長く続く内科医院を開業していました。幼少期は祖父の家で過ごすことが多く、校医としても顔を合わせていたので、「祖父に認められたら」と医師の夢を持ちました。ところが、その祖父が脳梗塞を発症。開業医として誇り高く生きる人でしたが、発症後は厳格な人格も人としての尊厳も失われてしまいました。脳がここまで人を変え人生を変えるのなら、私は脳の研究、脳の再生医療に関わる研究がしたいと思い、岡山大学医学部へ進学しました。大学では漕艇部に所属し、朝晩、週に10回はボートの上で練習に明け暮れる日々。体力と協調性を養いながら勉学にも励み、高校に続き大学も主席で卒業しました。その後はいよいよ脳の研究ができる場所を求めて、入局説明会へ。精神科や病理診断科など、脳に関わる診療科にはすべて足を運びました。
最初から脳神経外科ではなかったのですね。
私は元来不器用な人間で、顕微鏡を両眼でのぞき結像することができなかったため、顕微鏡手術を行う診療科は難しいと考えていました。最終的には、最も明るく自由闊達、そして最も魅力的だった脳神経外科へ入局。その半年後となる1998年の秋には、悩みの種も克服することができました。血管障害を中心に、多くの症例を扱う丸亀市の香川労災病院で研修に入り手術の手伝いを始めたところ、わずか1週間ほどで顕微鏡観察ができるようになったのです。この時にお世話になった先生方には今も大事にしていただき、感謝しかありません。2年間の研修を経て大学病院へ戻った後は、パーキンソン病の再生医療をテーマに学位論文を執筆。アメリカの大学でも、再生医療研究に励みました。2007年からはたくさんの上級医の下、脳腫瘍や脳動脈瘤、もやもや病など数多くの手術に参加し、幅広い領域の知識と技術を得ました。
その頃に、初めて開業を考えられたとか。

自分は誰かの2番手で、一人では手術を完投できないというジレンマから、開業を意識するようになりました。教授にも相談しましたが、「まずは手術を極めなさい」と諭され、北九州市にある新小文字病院の脊椎脊髄外科へ。この国内留学では、脊椎や脊髄に特化した診療と手術を勉強させていただきました。機能障害をもたらす脊椎脊髄疾患の手術は、生活の質の向上が主目的となります。患者さんの生活や人生を取り戻す手術の心構え、本当の意味でのチームワークはこの頃に身につけましたし、当時の仲間にも長く支えてもらっています。不器用な自分でも手術の経験を積み、正しく考えれば結果が出せるという感触をつかみ、大学病院へ帰還。以降12年間は教育・臨床・研究それぞれの分野でしっかりと結果を残し、岡山の医療にこの身を捧げてきました。
培った知識と技術をこの地で役立てたい
改めて、開業を決めた理由をお聞かせください。

後進の育成に注力し、地域医療の問題を解決して岡山に骨を埋めるつもりでしたが、天下分け目の教授戦に敗れ、応援いただいた皆さんの期待を裏切ることになりました。大きなショックと申し訳なさを感じると同時に、組織の中の自分を見つめ直し、「これからは信頼の置ける仲間と自分の力で、一から頑張りたい」「自分が一番ワクワクすることに挑戦してみたい」。そんな展望を持ちました。丸亀市を選んだのは、香川労災病院の先生方との信頼関係があったから。大切な妻の故郷だったから。そして、この地域では私の得意領域のニーズがあると考えたからです。私がこれまで実践してきた診療を、手術以外すべて再現するとともに、これまで以上にサービスや効率を重視した患者さんファーストの体制を構築しながら、私の診療を最大化する。そんなコンセプトをもとに生まれたのが、このクリニックです。
今後の展望は?
開業医になった今、私の最大の願いはこの地域の役に立つことです。たくさんの患者さんに、私の診療を届けたいと思っています。今後はデジタルとアナログを融合した新しく優しい医療を実現すべく、DX化につながる診療スタイルを先取し、オンライン診療の普及促進にも力を注ぎたいです。遠隔医療は時間のない若・中年層にとっても、通院が困難な高齢者にとってもメリットが大きいでしょう。スタッフをさらに大切にし、どこへ行っても通用するようなスキルを獲得してもらうことも展望の一つです。経験豊富な診療放射線技師、熟達した理学・作業療法士、優秀な看護師、優しい事務員、チームみんなで一生懸命やっていこうという気概を持った素晴らしいスタッフばかりですので、これからも一緒に楽しく働いていけたらと思います。
読者へのメッセージをどうぞ。

今、どうすれば患者さんに最良の医療を提供できるのか、常にそれを考え模索しています。私を信じて、ついてきてくださる患者さんを大切にして、皆さんのお役に立ちたいです。地域の方々から長く愛され必要とされながら、スタッフが誇りを持ち、存分に力を発揮できるクリニックを目標に描いています。「全ての患者さんに寄り添い、あきらめない医療を目指します」この言葉こそが、当院の揺るがぬ理念です。頭や背骨の問題をはじめ、皆さんのさまざまな健康問題に真正面から向き合えるよう、一同、心を込めて取り組んでまいります。丸亀市「やすはらクリニック」を、今後ともどうぞよろしくお願いします。
自由診療費用の目安
自由診療とはDWIBS(ドゥイブス)がん検診/2万2000円、ヘルメット治療/40万円