佐伯 優子 院長の独自取材記事
さえき耳鼻咽喉科 分院
(明石市/明石駅)
最終更新日:2025/09/12

JR神戸線・明石駅、山陽電鉄本線・山陽明石駅から徒歩1分の駅前ビルにある「さえき耳鼻咽喉科 分院」は、2025年6月に開業。院長の佐伯優子先生は、複数の医療機関で耳鼻咽喉科の診療や手術を担当してきた。佐伯暢生理事長が2019年に開業した「さえき耳鼻咽喉科」本院では副院長を務めている。本院の患者数増加に伴い、ゆとりを持って良質な医療を提供すべく分院をオープンしたという。小児から高齢者まで幅広い層の患者が集まる同院では、専門的な診療を行いつつ、安心感のある通いやすいクリニックをめざす。「患者さまが一番困っていることに、しっかり耳を傾けることを心がけています」と語る佐伯院長に、クリニックの特徴、本院との連携、注力しているアレルギーや補聴器の診療などについて聞いた。
(取材日2025年7月9日)
一番困っていることに、しっかり耳を傾ける医療を
これまでの経歴を教えてください。

神戸大学医学部を卒業したのですが、兵庫医科大学へ見学に行った時、女性が幼児難聴や味覚の外来などの外来診療で活躍しているのを見て、勉強先に選びました。その後は、耳鼻咽喉科やお子さまのアレルギーなどの診療を数多く手がけていた神戸百年記念病院、宝塚市立病院、西脇市立西脇病院などに勤務し、小児耳鼻咽喉科をはじめ、小児の補聴器、耳の手術などを担当しました。さらに、大学院でアレルギーの研究も行いました。耳鼻咽喉科は手術も大事ですが、外来でも治療できる病気が多いため、将来どんなライフステージに立っても、仕事を続けることができると考えました。また、患者さまの年齢が偏ることなく、お子さまから高齢者まで幅広く診られる点にも魅力でしたね。
どのようなきっかけで開業されましたか?
夫である佐伯暢生理事長が2019年に「さえき耳鼻咽喉科」本院を開業し、私は本院で副院長も務めています。本院には遠方からも多くの患者さまが来られています。耳鼻咽喉科の疾患は検査で原因がわかるものもありますが、耳鳴り、喉の詰まり、自律神経から来るめまいなど、じっくり話を聞いてこそ診断がつくものもあります。そのため、分院をつくりゆとりを持ったほうが、より良い診療につながると思いました。本院のモットー「見える診療」「検査機器の充実」はそのままに、モニターを数多くそろえ、患者さまやご家族にCTやファイバースコープなどの画像を見てもらいながら診療を進めています。また、ダニアレルギーやスギ花粉症への舌下免疫療法も数多く行っており、本院のノウハウをそのまま実現できるようスタッフ研修もしっかり行いました。
診療の際、心がけていることはありますか?

患者さまが一番困っていることに、しっかり耳を傾けるよう心がけています。例えば、同じ風邪症状でも、子育て中の人、大切な商談があるなど、人によって状況は違います。しっかり薬を出してほしいという方もいれば、なるべく薬に頼りたくないという方もいますので、話をしっかり聞いて、できるだけ患者さまの希望に合わせた治療を行うようにしています。処置もしっかり希望、苦手など、カルテにメモしながら診療しています。また、お子さまの場合は、親御さまも不眠のことが多いので、親御さまのフォローも行き届くくらいゆとりある診療をしたいですね。
子どもから高齢者までわかりやすい診療を提供する
診療の特徴を教えてください。

まずは患者さまに、ご自身の病気を知ってもらうことが治療の出発点と考えています。耳鼻咽喉科は治療に時間がかかる慢性疾患も多いため、治療に対するモチベーションを維持し、診療がスムーズに進むように「どうして時間がかかるのか」「どうして治りにくいのか」を知ってもらうようにしています。当院では、アレルギーや炎症のある耳や鼻の写真をよくお見せします。このような対応をしているクリニックは珍しいかもしれませんね。お子さまや、病気に詳しくない方でもわかりやすいですし、治療の経過をお見せするときも納得していただきやすいかと思います。また、本院と同じ「見える診療」をするため、先進の検査機器をそろえています。CTもあるので、クリニックレベルで診断、治療できる疾患の幅が広がります。
本院との連携や独自の強みを教えてください。
患者さまの承諾があれば本院のカルテを見られるので、スムーズな流れで同じ診療ができます。本院とは診療時間も休憩時間も異なりますので、幼稚園や学校帰りや買い物帰りなど、都合に合わせて選んでいただけます。また、エントランスにはゆとりがあり、ベビーカーを置くスペースも十分にあります。院内の通路幅は本院よりも広いため、ベビーカーや車いすが入りやすく、天井が高く開放感があるので、お子さまの恐怖心も和らぐのではないでしょうか。なお、近隣の多くの医療機関と連携を取っており、状況に応じて、明石市立市民病院や神戸市立医療センター中央市民病院、兵庫県立こども病院などと連携し緊急性のある疾患にも対応します。
それ以外に工夫されていることはありますか?

発熱患者用の外来にも対応しています。専用の入り口があり、動線を分けて個室で診療しています。また、当院は電話予約のほかにウェブ予約システムを導入していますが、扱いに慣れていない75歳以上の方には、初回のみ予約なしでの受診の上、2回目以降は院内で次回の予約を取ることもできるよう配慮しています。さらに、お子さまには消毒済みのおもちゃを貸し出して、受付から会計まで使っていただけるようにしています。おかげで、皆静かに診察を待ってくれています。お子さまから大人まで、あらゆる患者さまに快適に過ごしていただけるよう努めています。
接遇について意識されていることがあれば教えてください。
お子さまの場合、まず親御さまに「お子さまが泣くのは当たり前だから大丈夫だよ」と理解してもらい、できるだけ短い時間で適切な処置をします。ここは腕の見せどころですね。もちろん、お子さまにも説明して泣かずに処置できたら100点です。何度か通院してくれた子が泣かなくなると、とてもうれしいですね。高齢者の場合、耳が遠い方が多いので、聞き取りやすい声の高さやスピードなどをスタッフ勉強会で確認し、徹底しています。より聞こえにくい患者さまは、その旨をカルテでスタッフ全員に共有。大きなモニターを使用して視覚的に情報をお伝えするなどしています。通院間隔も一律にするのではなく、住所や足の具合など患者さまの背景を見て提案しています。当院のスタッフは気配りや、コミュニケーション能力に長けていると思っています。患者さまにスタッフの対応が良かったと思っていただけたらうれしいですね。
患者と医師・スタッフで取り組む舌下免疫療法
アレルギーの診療にも力を入れていると伺いました。

当院は、まずアレルギーの診断をしっかりします。自覚症状、鼻のカメラ、アレルギー採血結果から、どんな治療が向いているか一緒に考えるのがスタートです。お薬はとてもたくさん種類があるので、希望に合わせて調節するのが得意ですね。アレルギー根本治療の舌下免疫療法が適応になる方もいます。特に最近では幼少時でのアレルギー発症も多く、舌下免疫療法を希望して来院される方も増えました。本院でも舌下免疫療法に力を入れており、経験豊富ですから、当院もその方針・やり方にならって積極的に実施するようにしています。4~5年と長い治療になるため、お薬を処方するだけではなく、症状アンケートやカメラ所見を当院独自で点数化して、治療ができるだけうまくいくように工夫しています。症例数が多いからこそできる方法と思っています。
補聴器の相談も多いのですか?
地域的に高齢者の方も多く、相談は多いです。補聴器に抵抗がある方もまだまだ多いですが、どんな時に困っているかお話をしたり補聴器の必要性を説明すると、希望される方が増えてきました。診察をした上で補聴器の外来に回っていただき、補聴器を貸し出し、数週間~1ヵ月試していただいています。補聴器は慣れや練習が必要で、すぐにはっきりと聞こえるようにはならないこともあるので、補聴器の外来でしばらく密にフォローをします。ご自身の体の一部になる大切な補聴器なので、納得のいくまでご相談ください。
読者へのメッセージをお願いします。

当院は、一人ひとりに合わせた診療を心がけています。薬が苦手であれば最小限にする方法を考えますし、通院する時間が取れなければ調整します。どんなことでも一緒に考えていきますので、耳や鼻、喉、アレルギーに関するお悩みがありましたら、お気軽にご相談ください。