上田 昭一 院長の独自取材記事
芦屋うえだ整形外科クリニック
(芦屋市/打出駅)
最終更新日:2025/10/14

「芦屋うえだ整形外科クリニック」の上田昭一院長は、生まれ育った芦屋への愛着から、2025年6月に地元での開業を実現させた。中高大と陸上競技に打ち込み、自身も整形外科にかかった経験を持つ。「地域の皆さまの健康寿命を1年でも伸ばしたい」という使命感から、手術を避けたい患者のニーズに応えるため、末梢神経ラジオ波焼灼療法に使用する機器やMRIなど先端の機器を導入。幅広く質の高い診療をめざし「やれることはすべてやりたい」と語る上田院長に、開業への思いや診療方針について聞いた。
(取材日2025年9月24日)
地元であらゆる整形外科疾患に向き合う
地元芦屋での開業に至った経緯を教えてください。

私は芦屋で生まれ育ち、久留米大学卒業後は大阪公立大学の関連病院で研修を重ねてきました。医師になった当初から、愛着のある地元に戻って地域医療に貢献したいという思いをずっと持っていたんです。この辺りは静かで公園もあり、とても住みやすい地域です。これまで勤務医の頃は、骨折治療や膝の人工関節手術を中心に、脊椎疾患、リウマチ性疾患、スポーツ外傷、手外科疾患など幅広い診療に携わってきましたが、「地元の皆さまの健康寿命を延ばすことに貢献したい」と開業を決意しました。開業医として手術以外のこと、検査やリハビリテーションを充実させ、どんなことでもまずは診られるように、すべての整形外科疾患を網羅できる体制を整えたいと考えました。
整形外科を専門に選ばれた理由は?
中学・高校・大学と陸上競技部で中距離の800メートル、1500メートルを走っていました。スタミナとスピードどちらも必要な種目で、けがも多かったんです。高校時代から整形外科の先生にお世話になり、リハビリに通う機会もありました。そうした経験から、自分自身も整形外科に関わりたいと自然に思うようになりました。大学時代もけがで通院していたので、整形外科を選ぶことに迷いはありませんでしたね。患者としての経験があり、痛みや不安、そして回復への希望も、身をもって知っているからこそ、運動器疾患で困っている方々の気持ちに寄り添えると思っています。
どのような患者さんが来院されていますか?

高齢社会を反映して6〜7割は高齢者の方です。腰・肩・膝・股関節・首の痛み、手足のしびれなど、ほぼ全身の症状を抱えて来られます。一方で、この辺りは子育て世代も多く、子どもはスポーツ外傷や転倒骨折をよく診ています。働く世代の腰痛や肩痛も多いですね。地域の特徴として、テニスやゴルフをされる高齢の方が多いのも印象的で、地域の皆さんがスポーツを健康的に続けられるようにサポートしています。開業医は患者さんが最初に受診する場所です。専門分野に特化するのではなく、一般整形からリウマチ、小児、スポーツまで、あらゆる整形外科疾患に対応しているので、まずは気軽に受診していただけたらと思います。
先端医療で手術回避の選択肢を広げる
こだわりの院内設備について教えてください。

MRIを導入し、総合病院に行かずとも即日検査ができる体制を整えています。MRIは、エックス線ではわからない骨折や、骨以外の靱帯・軟骨・椎間板・神経などを診ることができ、長引く痛みや組織の損傷が疑われる場合もとても役立ちます。筒形ではなくオープンタイプのMRIを導入したのは、音が静かで狭いところが苦手な方やお子さん、ご高齢の方にも安心していただけると考えたからです。患者さんの負担を最小限に、選択肢を最大限に提供したいです。また、リハビリ室は100平方メートル以上の広さで、体外衝撃波治療器や超音波治療器、低周波・干渉波・パルスを組み合わせた理学療法機器、測定機能つき自力運動訓練装置などをゆったりと配置しています。超音波治療器は靱帯や腱、関節の痛み緩和のためだけでなく、骨折治療用のものも導入しています。予防的な治療も含めて、地域の方々がスポーツや散歩、旅行を長く楽しめるよう全身を支えています。
末梢神経ラジオ波焼灼療法のための機器も導入しているそうですね。
「どうしても手術は嫌だ」という患者さんの声に応えたい。その思いから先端の医療機器を導入しました。特に末梢神経ラジオ波焼灼療法については、まだ導入されているところは少ないと思います。変形性膝関節症による膝の痛みに対してラジオ波という高周波を使って治療を行うもので、局所麻酔下でエコーを見ながら行います。片膝なら20分、両膝なら40分程度。人工関節は最終手段として、その前にできることがあるはずだと考えました。入院することなく治療できるため、高齢で手術ができない方や、手術を希望されない方にとっては、受けやすい治療といえます。今までは薬や注射、リハビリテーションなどで良くならない場合、手術しかありませんでしたが、この治療法によって痛みの軽減を望め、QOLの改善をめざすことができます。
健康寿命延伸への取り組みについてお聞かせください。

「なるべく手術に至らないよう、健康寿命を1年でも延ばしたい」。これが私の信念です。やれることはすべてやりたいと考えています。骨粗しょう症の治療にも力を入れ、全身型骨密度測定器を導入しました。骨粗しょう症予防・治療ガイドラインで推奨されるDXA法を用いて、骨粗しょう症を診断します。女性であれば閉経により女性ホルモンが低下する50代以降、男性であれば70歳以上は、検査が必須だと考えます。骨粗しょう症の診断がつけば、患者さんとご相談しながら投薬などで治療し、治療対象ではないけれど骨密度が減ってきている方には食事や運動、日光浴など生活指導を行います。高齢者の骨折は要介護になる確率が高くなるため、将来のけが予防のためにも検査はとても重要ですし、早くから適切な対処をすれば骨密度の改善もめざせます。
診療で心がけていることは?
患者さんの話をまずよく聞くことです。何を望んでいるかを注意深く聞くようにしています。高齢の方には絵を描いたり文字を書いたりして、ゆっくり丁寧に説明します。例えば、痛み止めに抵抗がある患者さんもいらっしゃるので、無理に痛み止めを出すことはしません。医学的に必要だと思っても、患者さんが望んでいないものを無理やり提供してもミスマッチになってしまいます。本当に必要かどうか、欲しいかどうかを一つ一つ確認して、患者さんのニーズに合わせた診療を心がけています。
チーム医療で地域の健康を支え続ける
スタッフとリハビリテーション体制について教えてください。

コミュニケーションを大切にしながら、チーム医療を実践しています。理学療法士は現在5人在籍。皆さん爽やかで元気があって、「理学療法士さんが良いから」と言って来てくださる患者さんも多いです。看護師や受付スタッフも優しく丁寧に対応してくれています。特に私が指導したわけではないのに、自然とクリニックの理念「親切・丁寧・元気」を実践してくれているスタッフに感謝しています。患者さんには明るく元気に帰っていただきたいという思いから、院内は明るめの色と温かみのある木目を使用しました。
今後の展望についてお聞かせください。
理学療法士や作業療法士を増員してリハビリテーションをさらに拡充したいと考えています。患者さんのニーズに十分応えられるよう、体制を強化していきたいですね。医療は日進月歩。それについていけるよう日々研鑽したいと思っています。実際、開業にあたって末梢神経ラジオ波焼灼療法や難治性の足底腱膜炎に対する体外衝撃波治療など、勤務医時代には扱う機会がなかった技術も習得しました。これからも学び続けて先進の技術と知識をアップデートし、健康寿命を伸ばすことに貢献していきたいですね。現状でやれることは網羅したつもりですが、まだまだ新しい分野が出てくる可能性もあります。常にアンテナを張って、進化し続けるクリニックでありたいです。
読者さんへのメッセージをお願いします。

治療後の患者さんの姿を見るのが何よりうれしいです。ただ、それは決して医師のおかげではなく、患者さんが努力された結果です。リハビリテーションを頑張って動かす努力をされている、そのプロセスに寄り添えることが私のやりがいです。これからも学んできたことを生かし、先端の治療と知識をアップデートしながら患者さんの健康寿命に少しでも寄与したいと思っています。些細な痛みや心配事でも、いつでも気軽に受診していただきたいですし、しっかりと対応させていただきます。一緒に健康な毎日をめざしていけたらと思います。