伊藤 俊介 院長の独自取材記事
いとう整形外科骨粗しょう症クリニック
(伊勢崎市/国定駅)
最終更新日:2025/08/01

群馬県伊勢崎市西久保町に2025年5月に開院した、「いとう整形外科骨粗しょう症クリニック 」。院長の伊藤俊介先生はラグビー経験者で、スポーツに関わる整形外科に魅力を感じ医師の道を志したという。開業にあたっては、整形外科の少ない地域を選びゼロから建物を設計。ホテルのような居心地の良い雰囲気が特徴で、健康維持や予防のためにも気軽に訪れてもらえる空間をめざしている。診療では、痛みの原因を丁寧に説明し、患者の理解を深めることを重視。特に骨粗しょう症は治療効果の実感が薄いため、モチベーションの維持が重要だという。リハビリテーションの設備も充実し、子どもから高齢者まで、幅広い年齢層の患者に対応。地域のニーズに応じて進化していきたいと語る伊藤院長に、これまでの歩みや、クリニックの特徴について話を聞いた。
(取材日2025年6月26日)
近隣住民に求められる整形外科を、新たな地でスタート
開院されたきっかけや、場所選びの理由を教えてください。

開院にあたって考えていたのは、「治療を受けたくても受けられていない方」の力になりたいということでした。そのためには、まず近隣に整形外科がなく、かつ人口が増えているエリアであることが重要でした。さらに、私自身が伊勢崎の出身であり、地元に還元できる立地であること。この3つの条件を満たす土地を探し、この場所を選びました。もともと畑だった場所ですが、ゼロから建物を建てて開院したのは、地域の方々にとって通いやすい場所にしたかったからです。
クリニック名に「骨粗しょう症クリニック」とありますが、どういった症状で受診される方が多いですか?
名前の通り、骨粗しょう症の方も多くいらしていますが、ほかにご高齢の方では、肩や腰、膝といった関節の痛みを訴えて来院される方が多いですね。朝はそういった方々が中心ですが、夕方になると子どもたちの来院が増えます。中学生のスポーツの大会シーズンには、足首の捻挫や骨折、野球による肩の障害なども増えてきます。最近ではスマートフォンやパソコンの長時間使用で首が前に倒れているお子さんも多く、小学生でも肩こりや首の痛みを訴えて受診されることも多いんですよ。年齢層は幅広く、症状も多様ですね。
開院して間もないですが、患者さんの反応はいかがですか?

開院当初から多くの方に来ていただいていますが、「近くに整形外科がなかったので、建築中から楽しみにしていました」と来てくださる患者さんがいて、ありがたいなと思います。また、近隣の病院からも骨粗しょう症の患者さんのご紹介も多くいただいておりご紹介元の先生の思いも引き継ぎながら診療をしています。また、この地域では外来でリハビリテーションを提供できる医療機関が限られていたので、病院から退院してリハビリテーションの継続が必要な方の受け皿としての役割も担っていければと思います。
スポーツ経験から、整形外科医への道へ
先生ご自身のことも教えてください。整形外科医をめざした理由は?

高校時代からラグビーをやっていたのですが、ラグビーというスポーツはケガをすることも多いことから整形外科が身近にあり、人のためになる仕事だと感じたのが最初のきっかけです。設計や建築の仕事に憧れていた時期もありましたが、理系で人と関われる仕事を考えたときに医師という選択肢が浮かび、自然とそちらに気持ちが向かいました。中でも整形外科はスポーツとの関わりもあり、自分の経験とも重なる部分が多く、進路としてしっくりきたんです。専門分野は背骨で、開業までは他の病院で手術も多く経験しました。
整形外科の仕事は、どんなところに魅力を感じていますか?
整形外科は、症状の改善につながったとき大きな達成感を得られることが期待できる診療科だと考えています。ケガや骨折などに対応することで、患者さんが日常生活に戻ることをめざす過程に寄り添えるのはとてもやりがいがあります。ただ一方で、痛みの原因が複雑なことも多く、腰が痛くても本当の原因は足首だったりする。だからこそ丁寧な診察が重要で、単に診断を伝えるだけでなく、「なぜ痛いのか」を一緒にひもとくことを意識しています。骨は元通りには戻らないので、折れないようにすることを目標に治療することが大事です。ケガにつながらないようにする、というのが一番の治療の目的なんですよね。だから、骨粗しょう症の治療にも力を入れているんです。治療の方法はさまざまなので、まだ折れてない人に検査や治療を勧めながら啓発していきたいですね。
お休みの日はどのように過ごされていますか?

キャンプが趣味で、整形外科の仲間たちと年に数回キャンプに出かけています。家族連れで参加してくるメンバーも多くて、自然の中でテントを張り、たき火を囲んで語らい、夜はそれぞれのテントで眠る。そんな時間が日々の忙しさを忘れさせてくれます。自然の中で過ごすことで心が整い、リフレッシュできるんですよね。
骨粗しょう症はもちろん、ちょっとしたことでも相談を
クリニックの特徴や、工夫している点を教えてください。

「通いやすく、居心地の良い場所にしたい」という思いで、内装は病院らしくない雰囲気にしました。ホテルのようにゆったりくつろげる、居心地の良い雰囲気を演出しています。痛みやケガがあってから来院するのではなく、まだ具体的に困っていることがない方でも、健康のために気軽に立ち寄れるような空間をめざしています。スタッフにもホスピタリティーを大切にするよう伝えており、訪れた方に少しでも気持ちが軽くなって帰っていただけるよう心がけています。リハビリテーション室も広く、筋力トレーニングなどマンツーマンでの運動指導も行っています。約40分間、リハビリテーションスタッフと一緒に運動ができるので、肩や腰、膝の痛みの改善をめざしながら、和気あいあいと楽しんでリフレッシュしていただけるのではないでしょうか。
診療の際に心がけていることはありますか?
診断は、「こういう病気です」と伝えるのは簡単なのですが、本来は「なぜ今痛いのか」「体の中で何が起きているのか」を患者さんに理解してもらうことがとても大事なんです。薬を飲んでいる理由がわかるように、「こういう理由でこの薬を使うんですよ」と丁寧に説明するようにしています。自分の体のことを知ってもらうと、治療に対するモチベーションも変わってきますからね。特に、骨密度はなかなか実感がないので、血圧を下げるための治療と同じように続けることが予防につながる、ということを丁寧にお伝えしています。なかなか改善しなくても、続ける気持ちがとても大切なんです。
最後に、今後の展望と読者の方へのメッセージをお願いします。

骨粗しょう症は、症状が出にくく気づかれにくい病気ですが、骨折を予防するためには早期の治療と予防がとても重要です。特に閉経後や女性ホルモンに影響する投薬治療を受けている方、70歳以上の方には、積極的な検査をお勧めしています。当院では、骨折リスクを評価するツールを活用しながら、まだ骨折していない方にもリスクを伝え、骨密度検査や必要に応じた治療へつなげていきたいと考えています。また、今後は地域のニーズを見ながらリハビリテーション室の拡充なども検討中です。「どこか悪くなったら行く場所」というよりも、「ちょっと相談してみようかな」と気軽に足を運べるクリニックをめざしているので、骨粗しょう症のことが心配な方、リハビリテーションに興味のある方、またケガや痛みが気になる方も、まずはお気軽にご相談ください。スタッフ一同、笑顔で丁寧に対応させていただきます。