大久保 知美 院長、大久保 信司 副院長、大久保 敦 先生の独自取材記事
大久保メディカルクリニック
(印西市/千葉ニュータウン中央駅)
最終更新日:2025/07/15

かつて宿場町として栄えた木下(きおろし)と、伸びゆく千葉ニュータウンのどちらからもアクセスできる「大久保メディカルクリニック」。大久保知美院長が、父である大久保信司副院長、夫である大久保敦先生とともに2025年6月に開業したクリニックだ。それぞれが異なる専門性を持ち、消化器内科、循環器内科、整形外科などの幅広い診療を提供している。例えば、胸の痛みを訴えて受診して、心臓、胃、肋骨いずれに問題があったとしてもシームレスに対応できる体制となっている。家族というだけではなく金沢医科大学の同窓生という絆でも結ばれている3人。自然と醸し出されるアットホームな雰囲気に緊張がほぐれる患者も多いだろう。真新しい院内で開業までの経緯や診療にかける思いなどを詳しく聞いた。
(取材日2025年6月28日)
内視鏡、エコー検査、骨密度検査などの各種検査に対応
なぜ、この場所で開業したのでしょうか。

【知美院長】かつて祖父が印西市の木下で「大久保医院」を営んでいて、長期休みは必ず印西の祖父母の自宅で過ごしていました。祖父母が力を合わせ地域の方々のために一生懸命に働いていた姿を今でもよく覚えています。父が後を継がなかったので「それなら、いつか私が」という思いをずっと温めていました。印西市の中でも人口が多い千葉ニュータウン駅付近で開業する選択もあったかもしれません。でも、医療過疎が進む木下がどうしても気がかりで、木下と千葉ニュータウンのちょうど真ん中にある鹿黒南(かぐろみなみ)を開業の地に選びました。
【信司副院長】「大久保医院」は自宅も兼ねた町の診療所で、父は幅広い診療を行っていました。もともと産婦人科の医師だったので入院施設も3床あり、私の勉強部屋まで産声が聞こえてくることもありましたね。
現在、どのような患者さんが来ていますか?
【知美院長】20代から90代まで、さまざまな患者さんがいらっしゃいます。何も説明しなくても「大久保」の名前を見ただけで「大久保医院」ゆかりの者だと気づいてくださる方も少なくありません。「私は生まれた時、おじいちゃんに取り上げてもらったんですよ」と懐かしそうに教えてくれた方もいました。「おじいさんには、本当にお世話になりました」などのお言葉をいただくと、ここに開業して良かったと心から思います。祖父は92歳まで診療にあたっていましたが、晩年は休み休みだったので、実質20年ほどの空白期間があるはずです。それなのに、こんなにもたくさんの方が祖父のことを覚えてくれていて、親しみを持ってクリニックに来てくれているのだと思うと身が引き締まりますね。
こちらではどのような診療が受けられますか?

【知美院長】父は循環器内科、主人は整形外科、私は消化器内科と異なる専門性を持ち、幅広い診療を行っているのが当院の特色です。特にご高齢の方などは内科と整形外科、両方の悩みを抱えているケースも多々あります。当院なら複数の診療科を同じ日に受診することも可能なので、クリニックをはしごする手間もありません。なるべく1箇所で診療ができれば患者さんの通院の負担も減ります。
【敦先生】消化器内視鏡の検査室もありリハビリテーションルームもあるのは、クリニックとしては珍しいかもしれませんね。リハビリテーションルームには理学療法士が常駐していて、一人ひとりのニーズに合わせたきめ細かなリハビリテーションを行っているのも当院の強みといえるでしょう。
質の高いプライマリケアで地域医療に貢献したい
知美院長はなぜ、消化器内科を専門にしたのですか?

【知美院長】日本医科大学千葉北総病院で初期研修を受けていなければ、この道に進まなかったかもしれません。実は、初期研修先を検討して同院を見学中に東日本大震災に遭遇しました。その時の完璧な災害対応に感動し「ここで初期研修を受ける」と決めたんです。そこで、消化器内科医の魅力を教えてくれた素晴らしい先生方との出会いに恵まれました。消化器内科は胃や大腸だけでなく食道、肝臓、膵臓など、ほかの内科よりもたくさんの臓器を扱います。良性から悪性まで幅広く診療にあたることも魅力的でした。中でも消化器内視鏡検査はがんの早期発見・早期治療に役立つという点に心をつかまれ、しっかりと研鑽を積んできました。日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医をはじめ数々の専門医の資格を生かし、地域の皆さまのお役に立てればと思っています。
敦先生が整形外科の道を選んだ理由も教えてください。
【敦先生】子どもの頃から野球をしていて、スポーツを医療で支える仕事に就きたいと考えていました。大学時代は野球部主将も務めました。現在、日本医科大学付属病院で勤務しており、専門は肩関節です。野球で肩をけがした選手を関節鏡下で手術することもあります。一方、当院では理学療法士と密に連携しながらリハビリテーションに取り組めることを新鮮に感じています。整形外科では、患者さんの痛みを取り、動かせなかった部位を動かせるよう治療やリハビリテーションを行います。印西市の皆さんが元気に毎日を過ごせるよう、サポートしていけたらと思っています。
長年、循環器内科に従事してきた信司副院長の存在も心強いですね。

【信司副院長】金沢医科大学病院では循環器の救急医療に従事しました。日々、心不全や心筋梗塞で担ぎ込まれて来る方々を診ているうちに「そもそも、こうなるのを防ぎたい」と考えるようになったんです。それを機に、東京医科大学や関連病院の循環器内科外来でプライマリケアに注力。継承こそしませんでしたが、父がずっと地域のプライマリケアを支えていた姿が頭の片隅にあったのかもしれません。当院では循環器疾患のリスクを高める睡眠時無呼吸症候群の検査と治療にも力を入れていきたいと思っています。欧米人は太った中年男性の罹患率が高いのですが、下顎の発達不良から舌根沈下を起こしやすい日本人は痩せ型でも女性でもリスクはあります。家族からいびきを指摘されたときなどは、できるだけ早く受診してください。
一人ひとりの思いをくみ寄り添う医療
患者さんと接する際、何を大切にしていますか?

【信司副院長】大学で学生たちにも話すのですが、医療とは「患者を中心に医療スタッフたちが回るメリーゴーラウンドである」ことを忘れないようにすることです。チーム全員で目線をそろえて患者さんを見守るようにしています。
【知美院長】患者さんは何かしら不安を抱えて受診しています。具合が悪い中に一生懸命クリニックまで足を運んでくれたのですから、少しでも「来て良かった!」と思っていただけるよう、最善を尽くしています。
【敦先生】患者さんごとに医療に求めているものは違います。よくお話を聞いた上で、一人ひとりと向き合う診療を大切にしています。
個性豊かな3人が集うアットホームなクリニックですね。
【知美院長】大学病院時代の父はいつも忙しく、子どもの頃に遊んでもらった記憶もありません。だからこそ、開業して一緒に診療するのが夢だったんです。開業の準備で途中、くじけそうになった時も、夫が「夢をかなえるためにも前に向かって進もう!」と励ましてくれたからこそ、こうして実現できました。まだまだ未熟な私たちなので、父がいてくれて本当に心強いです。
【信司副院長】院長にはいつも「声が大きすぎる」などと叱られっぱなしですね。彼女は主婦をしながら父の病院を支え近所の方々に慕われていた私の母にそっくりなんです。そういえば、母にもよく怒られていました(笑)。
【敦先生】いつもは仲良し父娘なのに、クリニックのことになると意見を言い合ってとことんぶつかっていますね。でも、家族だからこそ遠慮なく意見交換できるのも、私たちの強みなのではないでしょうか。
最後に、地域の方々へのメッセージをお願いします。

【敦先生】ご高齢の方のフレイル予防はもちろん、部活動などでスポーツを頑張っているお子さん方のけが予防などにも取り組んでいきたいと思っています。理学療法士によるリハビリテーションをぜひ一度体験してみてください。
【知美院長】たくさんの方々に愛され、地域に根づく医療機関にしたいと思っています。お体の不安なことや心配なこと何でもお気軽にご相談ください。
【信司副院長】院長は2019年から印西市の小学校の校医も務めるなど、地域医療に貢献しています。現在の小学生たちが大人になるまで、地域の健康を見守っていくことでしょう。その先までも、皆さんとともに歩み続けるクリニックでありたいと思っています。どんな小さなことでも気軽にご相談ください。