心臓病治療の専門家がこだわる
見逃しのない検査と治療とは
成瀬てつの内科・循環器クリニック
(町田市/成瀬駅)
最終更新日:2025/07/10


- 保険診療
「心臓弁膜症」は、加齢や生活習慣病などを原因として発症する疾患である。この疾患を心配する患者からは、「最近疲れやすい」「息切れしやすい」といった訴えがよく聞かれる。しかし、「年齢のせいだから仕方がない」との自己判断から、専門医療機関の受診をためらう人も。「成瀬てつの内科・循環器クリニック」の藤田鉄平院長は、北里大学医学部を卒業後、母校や関連の基幹病院にて、日本循環器学会循環器専門医として臨床経験を重ね、心不全、心臓弁膜症、成人先天性心疾患の分野に精通した心臓病の専門家である。「心臓弁膜症の診断において大きな役割を果たす心臓超音波検査は、多くの情報を得られるという点でとても有用な検査です」と語る藤田院長に、心臓弁膜症の病態や原因、検査、治療法について詳しく話を聞いた。
(取材日2024年6月19日)
目次
生活に直結する心臓の異変に備え、専門的な検査・治療でしっかりサポート
- Q心臓弁膜症とはどのような病気ですか?
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A
▲日本循環器学会循環器専門医の資格を持つ藤田院長
心臓は全身に血液を送るポンプの役割を担っており、血液を通じて酸素や栄養を臓器に届けています。うまく血液を送れなくなると、全身に酸素が行き渡らず、さまざまな不調が現れます。心臓には4つの「弁」があり、血液が正しく流れるように開閉を繰り返しています。弁が壊れてしまうと、血液が逆流したり、スムーズに流れなくなったりし、心臓に負担がかかって心不全につながることもあります。心臓弁膜症は、弁がうまく開かない「狭窄」タイプと、閉じが甘くなる「逆流」タイプに分かれ、どの弁が原因かによって計8種類に分類されます。放置すると不整脈や脳梗塞のリスクもあるため、早期の診断と適切な治療が重要です。
- Q原因や症状について教えてください。
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A
▲自己判断せず、専門的な知識を持つ医師に相談しよう
心臓弁膜症の第一の原因は加齢です。年齢とともに心臓の弁が少しずつ傷んでくることで発症するケースが多く見られます。また、動脈硬化や高血圧症、脂質異常症(高脂血症)、糖尿病などの生活習慣病、不整脈の影響も関係しています。中には先天的な弁の異常を持つ方もおり、若いうちは症状が出なくても、年齢とともに徐々に悪化することがあります。症状は無症状から始まるのが特徴で、初期にはほとんど自覚がありません。しかし進行すると、息切れ、動悸、足のむくみ、疲れやすさ、胸の痛みなどの症状が現れます。自覚症状がないまま進行するので、年に1回程度は血液検査だけでなく、心臓の検査を受けることが早期発見につながります。
- Qどのような検査を行って診断をするのでしょうか。
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A
▲超音波エコーや心電図など検査機器も充実
心臓弁膜症の診断は、まず医師が聴診器で心臓の音を聞き、異常な雑音がないかを確認します。次に心電図検査で不整脈や心房・心室の肥大の有無を調べ、胸部エックス線で心臓の大きさや肺の状態をチェックします。さらに、血液検査で心臓にかかる負担の程度を示すBNPの数値を測定し評価。これらの基本検査で異常が疑われた場合は、心臓超音波検査(心エコー)を実施します。心エコーでは心臓の動きや弁の開閉状態、逆流の有無や程度、血液の流れ、心臓の大きさなどをリアルタイムで詳しく観察できます。必要に応じて心臓カテーテル検査や心臓CT検査、MRI検査を追加し、これらの検査結果を総合して正確な診断へとつなげます。
- Q心臓弁膜症の治療について教えてください。
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A
▲治療前の説明や術後のケアも丁寧に行う
薬物治療、手術、カテーテル治療の3つの方法があります。それぞれの利点と課題を踏まえ、患者さんの状態や病状の進行度に合わせて治療法を提案します。心臓弁膜症の原因は大きく2つに分かれ、弁の構造異常による器質的な問題と、心臓の筋肉障害が原因で二次的に起こるケースがあります。器質的な場合は薬物治療だけでは改善が難しく、手術やカテーテル治療が第一選択肢になります。一方、二次的な場合は薬物治療で改善を図っていきます。ただし、心臓弁膜症は心臓の筋肉にも負担をかけ、悪循環を引き起こすことがあるため、状態を見極めた上で柔軟に治療法を選択し、適切に対応することが大切です。
- Qこちらではどのようなことを大事にして治療を進めていますか?
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A
▲”医療を正しく、楽しく、もっと身近に”をモットーに診療
当院では、目の前の検査結果だけで判断せず、1年後、5年後を見据えて治療を進めることを大切にしています。たとえ今は症状が重症でなくても、将来的に進行する可能性がある場合は、その見通しを患者さんと共有するよう心がけています。急に「手術が必要です」と告げられても、患者さんが戸惑うのは当然です。ですから、少しずつ変化を一緒に見守りながら、必要な治療や手術のタイミングを前もって話し合い、心の準備ができるよう努めています。また、手術だけでなく、薬による調整や経過観察など、患者さんの生活やご希望も踏まえて、無理のない治療方針を提案しています。信頼関係を大切にしながら、納得のいく医療をめざしています。