藤田 鉄平 院長の独自取材記事
成瀬てつの内科・循環器クリニック
(町田市/成瀬駅)
最終更新日:2025/07/10

「医療を正しく、楽しく、もっと身近に」をモットーに掲げ、2025年6月に開業したのが「成瀬てつの内科・循環器クリニック」。成瀬駅から徒歩1分の便利な立地にあり、院内は白を基調とした明るく開放的な空間で、ゆったりと座れるソファーが並ぶ待合室が患者を迎える。院長の藤田鉄平先生は2010年に北里大学医学部を卒業後、母校や関連の基幹病院で日本循環器学会認定循環器専門医として多くの臨床を担当。豊富な経験を生かし、特に心不全や弁膜症、成人先天性心疾患の分野で中心的な役割を担ってきた。医師として大切にしているのは、病気を治すことと同じくらい、患者が希望に満ちた未来を描きながら豊かな人生を歩めるよう支えること。インタビューでは、同院のコンセプトや開業の経緯、そして地域への強い想いについて語ってもらった。
(取材日2025年6月18日)
楽しく通える身近な専門クリニック
クリニックのコンセプトを教えてください。

当院では、病気を治療するだけでなく、患者さんが健康に意識を向け、豊かな人生を送れる医療をめざしています。クリニックは「病気になったら行く場所」と思われがちですが、私たちは「病気を防ぐために立ち寄る場所」「健康を保つために通う場所」として、もっと身近に感じていただきたいと考えています。心臓病は高血圧症や糖尿病、脂質異常症、肥満などの生活習慣病と関わりが深く、突然発症するものではありません。こうしたリスクと向き合い、運動や食事管理を無理なく続けられるよう支えることも、私たちの大切な役割です。当院のモットーは「医療を正しく、楽しく、もっと身近に」。専門的な医療を提供するだけでなく、医療を前向きな体験として、生活をより良くするきっかけにしたいと考えています。
院内を設計する際にこだわった点は?
はい。院内の設計では「明るく開放的であること」を最も大切にしました。医療機関に足を運ぶこと自体に不安や緊張を感じる方も多いと思いますが、少しでもリラックスしていただけるような空間にしたかったんです。また、院内に掲示する情報も、できる限り厳選しています。「検診のお知らせ」「熱中症対策」「減塩の勧め」「禁煙の重要性」など、医療情報はつい多くなりがちですが、情報が多すぎると、かえって一つ一つのメッセージが届かなくなってしまう。だからこそ、「今月はこの1つだけを伝える」といったかたちでテーマをしぼり、患者さんに確実に伝わるよう心がけています。情報は「どれだけ出すか」より、「どう届けるか」が大事だと考えています。
マスコットキャラクターが印象的です。

当院のマスコットキャラクター「てつのはーとちゃん」は、実は私自身が最初のラフスケッチを描いたことから始まりました。強くしっかりとした「鉄のような意志」で患者さんの健康を守りつつ、一方で「ハートのような温かさや安心感」を届けられる存在でありたいという願いを込めています。「ハート」には、もちろん私の専門である心臓の意味も込められており、その専門性の高い医療をしっかりと提供していく姿勢を表しています。優しさと元気を感じていただけるような、温かみのある雰囲気が出せたと思っており、とても愛着を持っています。これからも「てつのはーとちゃん」が患者さんの健康を見守るシンボルとして活躍してくれることを願っています。
早期に異変を見つけ、正しい医療を届ける
これまでのご経歴と開業理由を教えてください。

私はこれまで母校の北里大学病院で勤務し、循環器内科の医師として、心不全や弁膜症、成人先天性心疾患など、さまざまな心臓病の診療に携わってきました。特に重症の患者さんを担当することが多く、大学病院ならではの高度な医療の現場を経験しました。ただ、どれほど良い医療でも、病気が進行してからでは限界があると痛感する場面も少なくありませんでした。そうした経験を重ねる中で、「もっと早く、病気になる前に関わりたい」という想いが強くなったのです。大学病院は安心感がありますが、どうしても“最後の砦”的な場所になりがちです。だからこそ、もっと身近なところで早期に異変を見つけ、的確に対応できるクリニックの必要性を感じ、自分の経験を地域で生かそうと決意しました。
勤務医時代の経験が、現在の診療につながっていることはありますか?
大学病院で診ていた心不全という病気には、実はこの病気に特化した専門的な資格がまだありません。だからこそ、診る医師によって治療方針や対応に差が出やすいという現実があります。中には「動かないほうがいい」と指示されて、日常生活を極端に制限してしまった患者さんもいらっしゃいました。しかし私は、その人に合った適切な診断と治療を受ければ、元気に働けるようになることも十分期待できると考えています。勤務医時代は、多くの患者さんを診る中で、「医師の一言」が患者さんの人生を大きく左右することを痛感しました。だからこそ、発する言葉には責任を持ちたいし、本当にその診断や判断が妥当かどうか、慎重に確認してからお伝えするように心がけています。「正しい医療を、きちんと、わかりやすく届ける」。それが、今の診療方針の柱になっています。
患者さんの傾向や受診すべきタイミングについて伺います。

クリニックを開く前は、風邪や高血圧といった一般的な症状の方が多いのかなと思っていたのですが、実際には不整脈や胸の痛み、動悸といった循環器系の症状で来られる方が非常に多いんです。年齢層としては、ご高齢の方と、働き盛りの40代くらいの方が中心です。「なんとなく息切れがする」「ちょっと疲れやすい」「階段がきつくなった」「足がむくむ」など、日常の中で気になることがあれば、ぜひ早めに相談してほしいと思っています。また、検診で高血圧や脂質異常症などを指摘された場合も、心臓に負担がかかっている可能性があるので、一度専門的なチェックを受けておくと安心です。症状が出る前に気づけるかどうかで、その後の人生が大きく変わることもありますから、どうか遠慮なく、軽い症状でもご相談くださいね。
医療を通じて地域の活性化をめざす
診察時に心がけていることは?

まず何よりも大切にしているのは、患者さんのお話を丁寧に聞くことです。例えば、「何を心配して来られたのか」「どんな検査を受けたいと思っているのか」、そういったお気持ちにしっかり耳を傾けます。もちろん、医師として医学的に必要かどうかは私が責任を持って判断しますが、患者さんの思いや不安はしっかり受け止めるようにしています。あとは当たり前のことですが、きちんと診察することもすごく大切にしています。例えば、息切れを訴える方でも実際に診療で胸の音を聞かれていないケースもあるんです。でも、そうした小さな診察の積み重ねの中に、変化のサインが隠れていることもありますので、当院ではわずかな異変も見逃さないよう、丁寧に体を診ることを心がけています。
治療における特徴や工夫はありますか?
当院では、循環器専門医としての知識と経験を生かし、専門性の高い診療を提供しています。そして、それと同じくらい大切にしているのが「早期発見」です。病気に早く気づくことで、治療の選択肢も広がり、体への負担を最小限に抑えたいと考えています。また、「通いやすさ」も診療方針の一つ。平日は19時まで、さらに月に1回は日曜診療も実施しており、学校やお仕事でお忙しい方にも受診していただきやすい体制を整えました。検査体制については、聴診をはじめ、心電図・胸部エックス線・採血・心臓エコーなど、必要な検査を院内で一通り行えるよう備えています。さらに、状態に応じて町田市民病院や昭和医科大学藤が丘病院などの高度医療機関と連携しながら、スムーズな診療を実現しています。
最後に、今後の展望をお願いします。

私が最も大切にしているのは、「医療を通じて地域を元気にする」ことです。患者さんが医療を受けて元気になり、地域の中で生き生きと活動されるようになれば、町全体にも自然と活気が生まれます。そんなふうに、ここ成瀬という町が少しずつ明るく活力ある場所になっていくような医療を届けたいと思っています。成瀬は私にとっても地元に近い親しみのある場所です。地域の行事にも積極的に参加し、クリニック内で市民講座などを開いて、病気や健康についてわかりやすく伝える場もつくりたいと考えています。将来的には「心臓のリハビリテーション」にも取り組む予定です。心臓病と向き合う患者さんが、前向きに安心して暮らせるよう、地域に根差した支援体制を築いていきたいと思います。