めぐみ在宅クリニック

小澤竹俊 院長

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厚生労働省の調査によれば、2013年の国内における死亡者数は約127万人、これに対して全国の病院にある病床数は約158万床。この差は今後10年でほぼ「0」になると予想されている。その理由は、団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となる「2025年問題」にある。こうした、疾患による入院がほぼ受け入れられなくなる可能性に対し警鐘を鳴らし続けているのが、横浜市瀬谷区にある「めぐみ在宅クリニック」の院長、小澤竹俊先生。高校生のときに見たマザー・テレサの映画に影響を受け、2006年に在宅医療に特化した同院を設立。最近では、迫り来る高齢者社会に対応できる人材の育成にも力を入れている。「やらなくてはいけないことが100あるとしたら、まだ5しか達成できていません」と話す小澤先生に、同院の取り組みと今後の課題について取材した。

(取材日2014年9月8日)

条件付きの救命はあってはいけない、困った人にこそ助けが必要

―先生の医療に対する原点はどこにあるのでしょうか?


母親が養護教諭、いわゆる「保健室の先生」を努めていましたので、小学校が終わると職場へ遊びに行っていたことを思い出します。やはり、母親の働く姿を目にしていたことが、この道を選んだ大きなきっかけとなっているのでしょう。私自身も、小学校時代はほぼ毎年、保健委員をしていましたしね。そうしたなか、高校生のときに見たマザー・テレサを題材にした映画が、自分の人生を決定づけたようです。彼女の教えは、「あなたの国で最も苦しんでいる人を支えて下さい」という慈悲の心でした。そこで改めて「自分がいることで、どのような人が喜ぶのか」を自問したところ、命に関わる医療に生涯をささげたいという気持ちが強くなったのです。以来、ほかの職業に対する迷いは全く感じず、この道をめざすことにしました。

―大学院に進まれたそうですが、どのようなことを専攻されたのですか?


救命に携わりたかったので、循環器内科を選びました。命に関わるという意味では、どのようなケースでも対応できる総合力が必要です。ただし循環器は、特殊な薬剤や医療機器についての難しい知識が必要とのことでしたので、専門的に学ぶ必要を感じたのです。また、当時から医療過疎の問題に関心があり、特に農村部では心臓の疾患割合が高いと聞いていました。山形県西置賜郡にある「白鷹町立病院」では、地域医療の大切さを学びました。こうした体験を通して実感したのは、「救命に条件があってはならない」ということ。例えば、介護保険未申請や紹介状がないから診ないというのはおかしな話で、医療を受けるのが困難な人こそ、助けを必要としているのです。通院が難しい場合も同様で、このころから在宅診療の必要性を感じてきました。

―その後、独立までの経緯を教えて下さい。


山形県での勤務後は、「横浜甦生病院」のホスピス病棟長を努めていました。それと前後して、健康保険法の改正が行われ、在宅診療の仕組みが整ってきたことを覚えています。国が、やっと自宅での看取りを前向きに考え出したと言っても過言ではないでしょう。ところが現場では、いまだ「9時から5時までが診療時間」という考えから、完全に抜け切れていなかったのです。ですから当初は、同院に籍を置きながら、夜間だけ在宅診療を行うような仕組みを考えていました。そこで、当時の医師会会長に相談したところ、「そんな面倒くさいことをするなら、いっそのこと独立しろ」と勧められましてね。準備期間はわずか4ヶ月しかありませんでしたが、何とか開院することができました。現在、月、火、木曜日の午前中は外来も扱っていますが、それ以外は24時間体制で在宅診療に力を入れています。

記事更新日:2016/01/24

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