小西 博巳 院長の独自取材記事
兵庫住吉駅前 小西レディースクリニック
(神戸市東灘区/住吉駅)
最終更新日:2025/07/31

2025年5月、継承により新体制となった「兵庫住吉駅前 小西レディースクリニック」。小西博巳院長は、大阪医科薬科大学卒業後、2016年から患者の悩みに応えたいという想いで不妊治療一筋に歩んできた。同院で力を入れるのは、これまでの豊富な経験を生かした、一人ひとりに合わせたオーダーメイドの不妊治療だという。培養専門のスタッフとの連携や日帰り手術により、幅広い不妊治療に対応し、治療を続ける患者が通いやすい環境を整えている。また、患者の不安に寄り添いながら適切な治療法を提案するスタンスで、前クリニックの時代から地域に根差してきた信頼関係を大切にしている。「赤ちゃんを授かりたいという願いに誠実に向き合いたいです」と、話す小西院長に、継承の背景や診療方針、患者への想いについて聞いた。
(取材日2025年6月19日)
地域に根差したクリニック継承の思いと小西院長の歩み
クリニックを継承されたきっかけをお聞かせください。

知り合いの医師から前院長の窪田耕三先生をご紹介いただいたのがきっかけです。約1年間の準備期間を経て、今年5月に継承開院しました。窪田先生は長きにわたってこの地域で婦人科医療に携わられ、不妊治療だけでなく一般的な婦人科疾患にも対応してきました。窪田先生が幅広い年齢層の地域の患者さんと深い信頼関係を築き、「不妊治療だけでなく、一般婦人科で困っている人もたくさんおられるので、そこも含めてしっかり見るように」と、おっしゃっていたことが印象的です。当院は不妊治療に特化はしていますが、一般的な婦人科の診療も引き続き行っています。窪田先生がしっかりと築いてくださった土台があるからこそ、安心して継承できました。窪田先生には引き続き、当院で診療を行ってもらっていますので、患者さんには窪田先生か私か、ご希望に応じて選んでいただける体制を取っています。
院長のこれまでのご経験やご経歴を伺えますか?
2016年から不妊治療の道に進み、2025年でちょうど10年目になります。不妊治療は特殊な分野で、数年前までガイドラインもない状態でした。インターネット上にはさまざまな情報が散乱しており、患者さんは何を信じたら良いのかわからず来院されます。研修医時代、不妊に悩まれる患者さんにしっかりお答えできなかった経験から、婦人科の中でも不妊治療に特化する道を選びました。第二協立病院のARTセンターでセンター長を務めた際、何回受精卵を戻しても妊娠されなかった方のことが忘れられません。不妊治療は、細胞の育て方から手術手技、遺伝関係まで幅広い知識が必要で、本当にオールマイティーでないと厳しい分野です。十数年前に受精卵の凍結方法が変わりましたが、それ以来劇的な進歩がないのが現状です。だからこそ「王道の不妊治療」を大切に、一人ひとり患者さんに合わせた治療を行っています。
クリニックの設備や専門のスタッフさんについて教えてください。

当クリニックでは、胚培養の観察環境を整え、専門の胚培養を行うスタッフと連携して治療にあたっています。体外受精では、おなかの中から卵子を取り出し、精子と受精させて赤ちゃんができる過程を体の外で行います。その際、卵子と精子の環境を整えて最大限の能力を発揮させるために注力するのが専門の培養スタッフの役割ですね。培養室は温度管理を徹底し、細菌が入らないよう清潔に管理しています。卵子は非常にデリケートですからね。卵子の育成にはだいたい3日から5日かかり、受精させて育成した後、体内に戻して着床の経過を観察していきます。医師と培養スタッフが密に連携することで、質の高い治療を提供できると考えています。
不妊治療の専門性を生かした質の高い医療を
診療の際、どんなことを心がけていますか?

不妊治療を受けられる患者さんの多くは30~40代の働き盛りの世代ですので、なるべく治療が負担にならないように心がけています。採卵日のみ朝8時45分にお越しいただいていますが、それ以外は基本的に予約できる診療時間内に来院いただけます。初診では十分に時間をかけて患者さんのお話をしっかりと伺いながら、治療プランを立てます。不妊治療は人によって期間がさまざまで、長い方では1年以上かかることもありますね。治療期間の中で、時には厳しい現実もありますが、やるべきことをすべてやり切ったと言えるような医師でありたいと思っています。最後まで患者さんを見守り、トータルサポートができることが大切だと考えています。
貴院の診療の特徴をお聞かせください。
「王道の不妊治療」を大切にしたオーダーメイド治療が特徴です。事前に情報収集をして来院される方も多く多く、「この検査も必要でしょうか」などと不安を抱えていらっしゃいます。そんなときはしっかりとご説明し、患者さんに合わせて治療法をご提案しています。婦人科系の手術に関しては、これまでの経験を生かし、診断をして手術が必要かを判断し、大きな手術が必要な場合は適切な病院にご紹介することも私の役割だと考えています。また、当院では、日帰りでできる手術に対応しています。例えば、卵管鏡下手術は、子宮から出ている卵管が詰まって自然妊娠ができない際に行う手術です。心臓のカテーテルのような風船で卵管を物理的に広げるための手術で、20〜30分程度で終わります。患者さんは麻酔をしている間に終わるので、体への負担も少なくて済むと思います。
初めて不妊治療を考えている方の治療の進め方や相談方法を教えてください。

不妊治療についてまず話だけ聞きたいという方もいらっしゃいますし、パートナー同伴で来院される場合も多いです。男性の検査も行っており、結果によっては男性不妊治療の専門クリニックをご紹介する場合もあります。女性一人で抱え込まず、パートナーと一緒に考えていただきたいと思っています。治療の間隔は、タイミング法が月1回、人工授精が月2回、体外受精は2〜3週間に4回程度を目安にしています。原則として自然妊娠を極力めざしつつも、年齢やさまざまな条件を総合的に判断して、難しいと判断した場合にはタイミング法からステップアップをご提案する場合もあります。現在は保険診療のみで対応しており、一人ひとりの状況に合わせて、適切な方法をご提案するのが私たちの役割です。
地域とともに歩む医療をめざして
今後、クリニックとして挑戦したい分野や展望をお聞かせください。

地域にお住まいの方々に受け入れていただけるよう、まずは地域の方に必要とされるクリニックをめざしています。日々の診療でしっかりと結果を出し、患者さんに信頼していただくことが最優先ですね。婦人科の中でも特に不妊治療に特化したクリニックとして、この地域でしっかりと根を張っていきたいです。開院してまだ1ヵ月余りですので、地域のニーズを把握しながら、必要に応じて勉強会や啓発活動も検討していきたいと思います。まずは窪田先生が歳月をかけて築いてこられた信頼関係を大切にしながら、私の専門性も生かして、より良い医療を提供していきたいです。不妊治療を通じて、子どもを授かりたいと願う方々の夢をかなえるお手伝いができれば、それが何よりの喜びです。
地域医療への貢献について、どのようなことを考えていますか?
私は他科の先生方と連携しながら、婦人科治療の一端を担い地域医療に貢献していきたいと考えています。当クリニックは、不妊治療だけでなく一般婦人科にも対応していますので、女性の健康を総合的にサポートできます。おこがましい考えかもしれませんが、子どもが増えていく地域になるよう、妊娠したい方の夢をサポートするのが私の仕事だと思っています。長年この地域の医療を支えてこられた窪田先生の想いを引き継ぎながら、私なりに地域の発展に貢献していきたいです。
最後に、地域の皆さんへメッセージをお願いします。

この度、窪田先生の後を引き継ぎ、開院いたしました。婦人科の治療について何か聞きたいことがあれば、どんな些細なことでも構いませんので、お気軽にお越しください。「赤ちゃんを授かりたい」と願う方の夢をかなえるためにサポートするのが私の仕事です。その願いに誠実に向き合っていきたいと考えています。不妊治療は決して簡単な道のりではありませんが、確かな技術で一人ひとりに寄り添う医療を心がけてまいります。駅からも近く通いやすい立地ですので、まずはお話だけでもお聞かせください。皆さんとお会いできる日を心よりお待ちしております。一緒にその夢に向かって歩んでいけたらと思います。