内視鏡で行うことで負担を軽減
鼻と耳の日帰り手術
耳鼻咽喉科吉田クリニック
(西宮市/門戸厄神駅)
最終更新日:2025/07/07


- 保険診療
近年、内視鏡技術の発達により各分野で低侵襲な内視鏡手術が普及している。内視鏡手術では傷を最小限にできる上、痛みが少なく、日帰りでの手術が可能なため、患者の負担を軽減することができる。しかし、耳の内視鏡手術には高い技術が求められるため、国内で実施しているクリニックはまだまだ少ないという。西宮市にある「耳鼻咽喉科吉田クリニック」は、耳と鼻の日帰り手術を提供しているクリニック。約20年間、基幹病院の耳鼻咽喉科で経験を積んだ吉田尚生院長が、専門的な知識と豊富な手術実績を生かし、先進の医療機器を導入した環境で、内視鏡手術を行っている。吉田院長に同院が力を入れている日帰り手術について詳しく話を聞いた。
(取材日2025年6月10日)
目次
豊富な知識と経験を生かした内視鏡下での日帰り手術で、耳・鼻の症状改善をめざす
- Q⿐詰まりの原因、鼻と耳の関係性について教えてください。
-
A
▲鼻と耳は密接に関係しており、病気を引き起こす可能性もある
⿐詰まりの原因で最も多いのはアレルギー性鼻炎で、鼻の中の粘膜が腫れることによって鼻が詰まります。また、細菌やウイルス感染で起こる副鼻腔炎は、進行すると鼻腔内に粘性の高い鼻水がたまり、これも鼻詰まりの原因に。最近では鼻茸(鼻ポリープ)ができる副鼻腔炎も注目され、こちらも鼻詰まりを引き起こします。あと鼻腔を隔てる鼻中隔が大きく曲がっているせいで空気の流れが悪くなる鼻中隔湾曲症のように、鼻の形そのものが原因となっている場合も。次に、鼻と耳の関係についてですが、両者は耳管を通じてつながっており密接に関係しています。鼻から細菌が進入すると中耳炎になるなど、鼻の病気から耳の病気を発症するケースも多いです。
- Q鼻はどのような症状が⽇帰り⼿術の対象になるのでしょうか。
-
A
▲鼻の手術をすることで、症状の緩和をめざす
鼻に関しては、鼻中隔湾曲症、副鼻腔炎、鼻茸(鼻ポリープ)が日帰り手術の対象です。鼻中隔湾曲症の原因である鼻中隔のゆがみは、成長の過程で起こり、自力で元の状態に戻すことは難しいため、治療の第一選択肢が手術となります。あとは、アレルギー性鼻炎も手術を行う場合があります。最近はスギ花粉やダニのアレルギーに対する舌下免疫療法がありますが、くしゃみ・鼻詰まり・鼻水に関係している神経を切断する後鼻神経切断術という手術を行うことによって症状の緩和を図ります。慢性的な鼻詰まりは、熟睡を妨げ、集中力の低下を招くなど、生活の質を大きく損ねますが、手術で鼻の通りの改善を図ることで、快適に過ごせる状態をめざします。
- Q⽇帰り⼿術の対象となる耳の症状についても伺います。
-
A
▲日帰り手術が可能な同院。負担を抑える処置を心がける
慢性中耳炎や鼓膜に穴が開いている鼓膜穿孔が日帰り手術の対象です。また、先天的な奇形や中耳炎などが原因で音を伝える耳小骨が破壊された伝音難聴の場合も、骨の機能を再建する手術を行います。あと対象となるのは中耳真珠腫ですね。これは鼓膜の一部がへこんで袋状になり、そこに耳垢などがたまって真珠腫という白い塊ができる病気で、進行すると周りの骨や神経が破壊される恐れがあります。手術では真珠腫を取り除くための処置を行い、その後中耳を清掃します。当院では、約20年間、基幹病院の耳鼻咽喉科で培った専門知識と豊富な手術実績を生かし、患者さんの負担をできるだけ抑えるために、鼻と耳の日帰りの内視鏡手術を提供しています。
- Q特に⽿の手術は高度な技術が必要だそうですね。
-
A
▲術者が少ない耳の日帰り手術。安心して受診できる環境を整える
耳の内視鏡手術は、片手で内視鏡を持ちながらもう一方の手で手術を行うため、専門的な経験と技術が求められます。そのため術者が少なく、日本のクリニックで耳の日帰り手術を行っているところは多くありません。しかし、欧米では日帰りが標準的な治療になっています。外科的治療の一端をクリニックが担えれば、大規模病院は重症疾患に専念できるようになるため、今後の医療発展につながると考えました。また、従来病院でしか手術できなかったことをクリニックで実現することは、自分自身の次のステップだと捉えています。当院では、大学病院や大規模病院で採用されている先進機器を導入し、安全性に配慮した精密な手術を行っていきます。
- Qこちらの医院で行っている内視鏡⼿術の特徴を教えてください。
-
A
▲負担を軽減し、安全性の高い手術の提供をめざす
内視鏡手術の特徴は、まず低侵襲で痛みが少ないことです。耳介の後ろの切開が最小限で、術後の痛みや腫れが少なく、また傷が小さいため術後の早い回復が見込めるのが特徴です。そして、耳の穴から細いカメラを入れてのぞき込むので、広い視野を確保することができるのも特徴です。これまでの顕微鏡手術では死角になって見えなかった部分も内視鏡があれば見ることができますし、狭い空間でも鮮明な画像で広範囲を観察できます。デジタル技術の進歩のおかげですが、一方でとても繊細な手術操作が必要になります。当院では、長年経験と熟練した技術を持ち、疾患や解剖を熟知した医師が手術を行い、安全性の高い手術の提供に努めています。