丁寧な診察・検査・診断に基づく
専門性の高い関節リウマチの治療
まえだ整形外科リウマチクリニック
(尼崎市/園田駅)
最終更新日:2025/07/15


- 保険診療
朝起きたときに指のこわばりを感じる、関節が腫れて痛いといった症状に心当たりはないだろうか。これらは関節リウマチの代表的な症状。進行すると関節が変形して、日常生活に支障をきたすリスクもある病気だが、近年は治療法が飛躍的に進歩して、早期に発見し適した治療を受けることで、症状のコントロールが期待できるようになった。年齢のせいと諦めたりせず、気になる場合はできるだけ早期に信頼できる医療機関を受診したい。関節リウマチにはどのような症状があり、実際の治療はどう進められるのか。日本リウマチ学会リウマチ専門医の資格を持つ「まえだ整形外科リウマチクリニック」の前田俊恒(まえだ・としひさ)院長に詳しく解説してもらった。
(取材日2025年6月12日)
目次
検診・治療前の素朴な疑問を聞きました!
- Q関節リウマチの特徴や症状について教えてください。
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A
私たちの体には、外からのウイルスの侵入などに対応する免疫システムが備わっています。関節リウマチはこのシステムが誤作動を起こして自身の体を攻撃してしまう自己免疫疾患の一つです。免疫を担う細胞が関節に集まって炎症を起こし、関節症状と呼ばれる関節の変形や痛み、腫れなどの症状が現れます。一方、発熱、全身の倦怠感、体重減少、貧血、めまい、喉や口の中の渇きといった関節外症状と呼ばれる症状を伴うことも少なくありません。微熱が続く、特に思い当たることがないのに体重が減少してきたといった症状を訴える患者さんを調べてみると、関節の症状が見られないのにもかかわらず、関節リウマチであることがわかるケースもあります。
- Q発症しやすい人の特徴などはありますか?
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A
人口の0.5〜1%程度の人が関節リウマチといわれています。50〜60代の方の発症が多い病気ですが、最近は70〜80代という高齢で発症される方も増えています。患者さんの男女比は1対3で女性に多いものの、男性の患者さんもおられるので油断は禁物ですね。病気の根本的な原因はまだ明らかになっていませんが、遺伝的な要因と環境的な要因が発症に関わっていることがわかっています。近い親族に患者さんがいると発症のリスクが高くなりますし、喫煙や歯周病、腸内細菌の状態悪化などは発症の危険因子です。原因が解明されていないので確かな予防法はありませんが、環境的な要因を少なくできれば発症予防につながる可能性はあります。
- Qどのような治療を行うのですか?
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A
日本リウマチ学会の診療ガイドラインに沿って治療を行います。診察、検査の結果、関節リウマチと診断された患者さんに対しては、免疫の働きをセーブすることで関節の炎症、痛み、変形を抑えるメトトレキサートと呼ばれるお薬を処方します。世界中で第一選択薬として用いられているリウマチ治療薬です。一方、肝臓や腎臓の機能に問題があるなど、このお薬が使えない方には、従来型と呼ばれる抗リウマチ薬を使って寛解状態をめざします。3ヵ月程度服用していただき、症状の改善が見られない場合は、生物学的製剤やJAK阻害薬などのお薬に切り替えます。当院はすべての生物学的製剤やJAK阻害薬なども処方可能です。
検診・治療START!ステップで紹介します
- 1医師による問診・診察
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問診票に記入した内容などをもとに、まずは医師による問診・診察が行われる。痛みや腫れといった関節の症状や関節外症状、さらに同院では患者が希望する治療のゴールや通院時にサポートする人の有無といった生活背景、現在、治療を受けている病気の有無などについてもヒアリングが行われ、患者に適した治療方針の検討に生かされる。さらに、関節の状態を調べるために医師による詳しい診察を受ける。
- 2検査・診断
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同院では関節リウマチの検査は、エックス線検査、血液検査に加え、エコー(超音波)検査が使用される。痛みや被曝などの心配がなく、「患者さんと一緒にその場で画像を確認できるのがメリット」と院長。さらに、関節リウマチが疑われる患者には、骨密度の検査も実施される。関節リウマチの患者の約50%は、骨の状態に問題を抱えているといわれており、治療に用いるステロイドが骨の質に影響を与えるリスクがあるからだそう。
- 3薬を使った治療の開始
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医師による問診・診察、各検査の結果、さらに治療に対する患者の要望や生活背景などを総合的に判断し、使用する薬を決め、治療が始まる。同院では、患者に合わせて生物学的製剤やJAK阻害薬を含めたさまざまな種類の治療薬が用意されている。1回目の処方後は1〜2週間後に受診し、症状の変化や副作用の有無について問診を受ける。1〜3ヵ月を目安として再評価が行われ、薬の継続や用量、種類の変更について判断される。
- 4リハビリテーションを受ける
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関節リウマチの患者は、関節のこわばりや痛みなど何らかの関節症状を抱えるケースが多く、同院ではほぼすべての患者に理学療法士によるリハビリテーションが提供される。その内容は、レクリエーション程度の軽いものから、積極的に体を動かすものまで幅広く、理学療法士が患者の体力や症状に合わせて作成したリハビリテーションプログラムに基づいて実施。体を動かすことで、ほかの関節の症状の予防も見込めるそうだ。
- 5定期通院で寛解をめざす
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1回目の薬の処方後のチェック、さらに1〜3ヵ月後の再評価を経て、薬の種類が固定すると、薬の種類やリハビリテーションの頻度に合わせて定期通院を開始する。症状が軽くなったり、一時的に消失したりする「寛解(かんかい)」の状態につながれば、薬の減量なども検討される。同院の場合は、症状の変化や薬による肝臓や腎臓への影響などを調べるために、その後も3ヵ月をめどに定期的にチェックが行われる。