前田 俊恒 院長の独自取材記事
まえだ整形外科リウマチクリニック
(尼崎市/園田駅)
最終更新日:2025/07/15

園田駅北口から徒歩約1分に2025年5月開業した「まえだ整形外科リウマチクリニック」。駅前のロータリーに面したビル2階にあるクリニックは、バリアフリー設計を採用し、足腰に自信がない人や車いすを利用する人も快適に受診しやすいよう整えられている。院長の前田俊恒先生は、神戸大学や米国スタンフォード大学で、リウマチの研究・診療に従事。リウマチ治療に力を入れる病院で診療経験を積んだ後、患者にもっと寄り添いながら、質の高い専門医療を提供したいとの想いから開業した。院内には充実した検査機器、広いリハビリテーションルームを備え、自身の専門分野であるリウマチを始め、骨粗しょう症など、幅広い整形外科疾患に対応している。前田院長に同院の診療姿勢や力を入れている診療などについて語ってもらった。
(取材日2025年6月12日)
患者に寄り添い、質の高い専門的な診療を提供
医師を志したのはなぜですか?

小さな頃から、将来は人の役に立つ仕事をしたいと思っていましたが、「医師になろう」と明確に意識したのは高校生の時です。身近な人が入院し、医師の支えにより心身ともに救われていく姿を見て心を打たれました。知識や技術に加え、「人に寄り添う力」で病を抱える方の人生を変えていける医師という仕事に、強い魅力と責任を感じました。学生時代にスポーツをしていたことから整形外科を身近に感じ、医療により「動く」「歩く」といった基本的な身体機能の回復が図れることに感動を覚えました。専門としてリウマチを選んだのも、単に病気を治すだけではなく、患者さんがその人らしく日々を過ごしていけるよう支えることに魅力を感じたからです。医師としての道のりは決して平坦ではありませんでしたが、初心を忘れず、「人の人生に前向きな変化を与えられる医師でありたい」という想いを胸に、日々診療しています。
開業までのご経歴を教えてください。
大学卒業後は母校の大学病院や関連病院で、整形外科医として幅広く研鑽を積み、5年目に大学院へ進学しました。関節リウマチを専門に、研究と臨床の両面で経験を重ねました。大学院修了後には、自身の研究や診療をより深めるためアメリカへ留学し、スタンフォード大学で血管炎について基礎から臨床までを学びました。たくさんの専門家たちとの刺激的な交流を通じ視野を広げることができ、とても貴重な経験ができました。帰国後は、大学病院などで外来診療や病棟業務だけでなく手術や多職種連携にも携わり、患者さん一人ひとりに向き合う診療の大切さを実感しました。
開業を決意されたのは何か理由があったのですか?

大学病院などでは、さまざまな患者さんの診療を経験できる環境ではありましたが、もっと患者さんに寄り添い診療がしたいと考えるようになりました。リウマチなどの慢性疾患では、継続的な診療ときめ細かなフォローが欠かせません。自分が得意とする関節リウマチや骨粗しょう症、リハビリテーションなどの診療のニーズが高く、地域の皆さまのお役に立てると判断し、この場所に開業しました。患者さんの生活背景や価値観を共有しながら、人生に寄り添う診療を実現したいという気持ちも強くなりました。これまで培ってきた専門性を生かしながら、より患者さんに近い立場で医療を届けていきたいと思っています。
広々として快適なクリニックですね。
医療機関は「できれば行きたくない場所」と感じる方も多いと思うので、患者さんの受診のハードルを下げ、リラックスできる空間づくりを心がけました。高い天井と自然光が差し込む広々とした待合室は、開放感と居心地の良さを大切に設計しました。リハビリテーションルームも明るくて広く、理学療法士とのマンツーマンでの訓練がしやすいようにしています。ご高齢の方にも安心して通院していただけるよう、院内はバリアフリー設計となっており、車いす対応トイレや女性専用トイレも用意しています。また、時間帯予約の他に、急な受診が必要な方などのために順番予約にも対応しています。どちらもウェブなどからご予約いただけますが、お電話での予約も受けつけています。
患者と話し合い、一緒に治療方針を決めていく
患者さんと接する時に心がけていることを教えてください。

病院に勤務していた頃は難しかった「しっかりと時間を取って患者さんと接すること」を心がけています。疾患のことだけではなく、患者さんの不安や生活上のお困り事にも目を向け、生活背景などを踏まえ寄り添うことで、より適切な診療につながると考えています。患者さんのいろんなお話にじっくり耳を傾けることを大切にしています。疾患や困っていることに対して、どのような治療を進めていくのか、患者さんと相談しながら決めていきます。患者さんが安心して通い続けられるよう、温かく誠実な対応をスタッフ全員で共有し、日々の診療に取り組んでいます。
特に注力している診療について教えてください。
整形外科全般に加え、関節リウマチの診療に力を入れています。リウマチは早期発見・早期治療が非常に重要で、診断の遅れが関節の変形や機能障害につながる可能性もあるため、初期症状を見逃さず、正確に診断できるよう体制を整えています。血液検査に加え、関節エコーやレントゲンなど画像診断も活用し、関節の炎症や変化を適切に評価します。治療では生物学的製剤やJAK阻害薬などの治療薬も適切に選択・使用し、疾患活動性をしっかりと管理しています。また、薬物治療だけでなく理学療法士と連携したリハビリテーションも取り入れ、関節機能を維持・改善するための総合的なケアを行っています。
骨粗しょう症の診療にも注力されているとか。

骨粗しょう症は自覚症状が少なく、骨折をきっかけに見つかることが多いため、骨折による寝たきりや要介護を防ぐためにも早期の発見と治療が重要です。高精度の骨密度測定装置(DEXA法)を導入し、腰椎や大腿骨の骨密度を測定、血液検査による骨代謝の評価も行います。結果に基づいて、患者さんに合った骨形成促進薬などの適切な治療法を提供し、骨折リスクの低減をめざします。運動療法や栄養指導も取り入れ、骨の健康を総合的にサポートし、地域の皆さまの健康寿命の延伸に貢献していきたいと考えています。
エコー検査を活用しているそうですね。
エコー検査は被ばくの心配がなく、針を刺すなどの痛みもない非侵襲的な検査です。その場で関節などの画像を患者さんと一緒に確認し、症状や治療法について説明でき、エックス線では確認できない筋肉や腱の状態も見ることができるのも大きなメリットです。痛みを感じて受診したものの、レントゲン検査で骨に異常がないと、痛み止めや湿布薬を処方されるだけという経験をお持ちの方もいるかと思います。そうした場合もエコー検査を使えば、骨以外の部分もチェックして痛みの原因にアプローチできます。
地域の悩みに丁寧に応えていく
リハビリテーションを積極的に診療に取り入れていますね。

当院ではリハビリテーションを診療の柱とし、整形外科疾患に対して薬や注射に加え、リハビリテーションを組み合わせることで、関節の可動域や筋力、バランス機能の回復を効果的に図っています。理学療法士が常駐し、個別の症状や生活背景に応じた運動指導を実施しています。痛みや筋緊張の緩和、循環促進などを目的とした物理療法機器も充実していります。医師とスタッフが密に連携し、機能回復とQOLの向上をめざすチーム医療を行っています。
今後の展望を聞かせてください。
地域に根差したクリニックとして、より多くの患者さんに信頼される存在をめざしています。骨粗しょう症を含む整形外科疾患、リウマチ、リハビリテーションの3本柱を軸に、リウマチや骨粗しょう症について専門的な知識を持つ看護師と連携し、地域のニーズにしっかりお応えできるよう成長していければと考えています。将来の介護予防やフレイル予防を視野に入れた運動指導にも取り組み、将来的には訪問リハビリテーションなどにも対応していきたいです。
読者や地域の方にメッセージをお願いします。

地域の皆さまにとって、気軽に相談できる身近なかかりつけ医でありたいと考えています。超高齢社会を迎えて、運動機能の維持がますます重要です。専属の理学療法士がおりますので、伴走者と考えて、気軽にご利用いただきたいです。地域のかかりつけ医として、丁寧で親身な対応を心がけ、何か疾患が疑われる場合はもちろん、階段の上り下りがつらくなってきた、以前のようにスムーズに歩けなくなったなど、体の動きで気になることがあれば、お気軽にご相談にいらしてください。