全国のドクター13,943人の想いを取材
クリニック・病院 156,713件の情報を掲載(2025年8月05日現在)

ドクターズ・ファイル会員でできること

予約情報をマイページ上で管理できます!

過去の予約を一覧化

予約内容の確認

予約の変更・キャンセル※

※一部対象外の医療機関もありますので、あらかじめご了承ください

会員登録がお済みでない方は

すでに会員の方は

  1. TOP
  2. 東京都
  3. 港区
  4. 虎ノ門駅
  5. 新橋南桜パーククリニック
  6. 吉田 正樹 院長

吉田 正樹 院長の独自取材記事

新橋南桜パーククリニック

(港区/虎ノ門駅)

最終更新日:2025/08/01

吉田正樹院長 新橋南桜パーククリニック main

虎ノ門駅から歩いて7分、公園の目の前にある「新橋南桜パーククリニック」。2025年5月に開業した同院の院長を務めるのは、地域医療に貢献したいという吉田正樹先生。約40年にわたり東京慈恵会医科大学附属病院で感染症診療に携わってきた感染症の専門家だ。「HIV感染症は、流行が始まった当初より差別や偏見などがありました」と語る吉田院長は、患者が抱える心理的負担にも深い理解を示す。穏やかな語り口調で患者の緊張を和らげることに努め、高圧的なところを見せない親身な診療姿勢が印象的だ。「病気を見ずして病人を見よ」をモットーに、患者の背景まで理解した診療を心がけている。今回は受診のハードルを下げるための取り組みや、HIV感染症への思い、地域医療にかける展望について話を聞いた。

(取材日2025年7月17日)

感染症の専門家として受診のハードルを下げたい

開業に至った経緯を教えてください。

吉田正樹院長 新橋南桜パーククリニック1

私が専門にする、性病を含む感染症でお悩みの方は多いと思います。一方、病院を受診することのハードルは高いのが実情です。感染症は基本的に治ってしまえば通院不要ですが、HIV感染症の方などは定期的な通院が必要です。患者さんには若い方も多く、会社を休んで平日に来院するのが難しいという声も聞いていました。そこで、病院の診療時間外である平日の夜や土曜の診療を担うことができればと考えました。開業にあたりこの地を選んだのは、約40年間勤務した東京慈恵会医科大学附属病院の近くならば、必要に応じて迅速に病院へ紹介することができ、将来的には若い先生を呼んで手伝ってもらうこともできると考えたからです。ソフト面・ハード面ともに受診しやすいクリニックとして、患者さんに寄り添った医療を提供することをめざしています。今まで診てきた患者さんはもちろん、新しい患者さんのサポートにも全力で取り組んでいけたらと思っています。

この場所を選んだ理由を詳しくお聞かせください。

この辺りは働いている方が多いので、仕事帰りに寄れる立地というのが大きな理由です。虎ノ門という都心でありながら、大通りから離れた静かな場所で、目の前には公園があります。春には桜が咲く公園で、クリニック名も公園にちなんだ名称としました。ロゴマークも桜の花びらをイメージしていて、さまざまな背景を持つ患者さんが最終的に当院へたどり着くという意味を込めています。特にHIV感染症の患者さんは、家族や会社に病気を話せない方も多い。そういった一人ひとりと向き合って診ていきたいという思いを、このロゴマークに込めました。

感染症内科を専門にした理由は?

吉田正樹院長 新橋南桜パーククリニック2

医学部卒業後は、第二内科に入局しました。そこでは腎臓、神経、血液、循環器、感染症などを診ていましたが、私は免疫や感染防御に興味があったんです。同じような状況を経ても発症する人としない人がいる、その違いは何なのか。1987年に入局した頃は、ちょうど日本でもエイズが出始めた時期でした。日本でHIV感染者が最初に報告されたのが1985年頃で、大学病院でも早い時期から診療を始めていました。マラリアやデング熱の患者さんは完治がゴールですが、HIV感染症の患者さんは定期的に通院が必要です。そういった経緯から、HIV感染症患者さんを多数診てきました。

HIV感染症は早期発見・早期治療が肝心

HIV感染症の現状について教えてください。

吉田正樹院長 新橋南桜パーククリニック3

昔はエイズを発症すると命にかかわるというイメージがあったかと思います。しかし、研究が進み抗HIV薬を3種類使うことでウイルスをしっかり抑えることがめざせるようになり、治療は劇的に進歩しました。早い時期に見つかってきちんと薬を飲めば、健康な人とほとんど同じように生活することも望めます。今では70代、80代でも治療している方がいます。感染者から他の人に感染させないためには、ウイルスをしっかりと抑えることが重要ということもわかってきました。ただ、まだ根治は見込めず、ウイルスを抑えるための定期的な服薬は必要です。でも、早く診断して早く治療すれば、決して怖い病気ではないと考えています。

性感染症への取り組みについて聞かせてください。

今、梅毒が非常に増えているんです。クラミジアや淋菌などの感染症も診断・治療していますが、これらは症状が出てもしばらくすると症状がなくなることがあり、検査しないとわからない時期があります。梅毒で来院された場合は、必要に応じてHIVの検査もお勧めします。梅毒をきっかけにHIVの感染が見つかるケースもあるんですよ。性感染症は女性なら婦人科、男性なら泌尿器科や皮膚科を受診することが多いですが、とにかく不安があれば受診して検査することが大事です。早く見つければ早く治療できますし、他の人にうつさないということも重要なんです。

港区のアイチェックという取り組みにも携わられたそうですね。

吉田正樹院長 新橋南桜パーククリニック4

アイチェックは匿名でのHIV・性感染症検査事業で、私が東京慈恵会医科大学附属病院にいた当時、港区医師会と港区からお声がけがあって一緒に立ち上げた事業です。もう10年以上の歴史があります。HIV感染症の基礎知識を深めるために、泌尿器科や皮膚科、婦人科の先生方へHIVについて講義することもありました。開業した今、改めてお手伝いをしたいと思っています。検査は匿名で全額公費負担ですから、積極的に受けていただきたい。保健所でやっている匿名検査と同じようなもので、プライバシーも守られます。こういった取り組みを通じて、一人でも多くの方に検査を受けていただき、早期発見につなげたいと考えています。

患者の背景を理解し、寄り添う診療を

診療で心がけていることは何ですか?

吉田正樹院長 新橋南桜パーククリニック5

HIV感染症の患者さんは病気を抱えているだけでなく、差別や偏見があって、自分の病気を家族にも会社の人にも話せないという方が多いんです。そういう中で、医療従事者として病気の治療だけではなく、患者さんの背景まで理解することが大切だと考えています。出身の慈恵の精神で「病気を見ずして病人を見よ」という言葉がありますが、まさにそれを実践したい。他の人には話せないようなことも、病気を知っている医師には話していただければと思います。患者さんにとって、医師が唯一の相談相手になることもある。そういった信頼関係を大切にしながら、一人ひとりと向き合って診療していきたいと思っています。

生活習慣病の診療についても教えてください。

HIV感染症の患者さんは薬をしっかり飲むことで対処できるようになりましたが、問題になるのは生活習慣病なんです。高血圧、脂質異常症、糖尿病などが合併する患者さんも多く、大学でもそういった診療をしてきました。一般の方でも、この辺りで働いていて帰りに寄れるなら、生活習慣病も一緒に診ていきます。高血圧なら減塩が大事ですし、家庭血圧の測定も重要です。血圧が高くても痛いとか苦しいなどの症状は基本的には出ませんが、放置すると脳梗塞や心筋梗塞、脳出血などを起こすリスクがあります。症状が出る前にしっかりコントロールすることが大切です。風邪や新型コロナウイルス感染症、インフルエンザなどの感染症も含めて、幅広く対応していきます。

今後の展望をお聞かせください。

吉田正樹院長 新橋南桜パーククリニック6

患者さんが来やすい時間帯で診療することを心がけています。月・火・金曜日は夜8時まで診療していますし、水曜と土曜の午後も開けています。仕事帰りでも通いやすいクリニックにしていきたい。東京慈恵会医科大学附属病院以外の医療機関とも連携を深めて、クリニックで診られる範囲はしっかり診て、大きな検査や入院が必要な場合は適切な病院を紹介します。将来的には土曜日は1日こちらで診療し、患者さんが増えてくれば大学から若い先生を呼んで手伝ってもらうことも考えています。感染症の専門家として、またかかりつけ医として、地域の皆さんの健康を支えていけるよう、これからも努力していきたいと思います。

Access