島田 成章 院長の独自取材記事
東瀬ヶ崎しまだ歯科クリニック
(さいたま市浦和区/北浦和駅)
最終更新日:2025/07/09

「悪いところだけを治す対症療法ではなく、口腔全体のバランスを考えた根本治療で、患者さんの健康を長く保ちたい」そう話すのは、2025年4月開院「東瀬ヶ崎しまだ歯科クリニック」の島田成章院長だ。大学病院で口腔内全体のバランスが乱れた難症例を数多く手がけた経験を持ち、同院では虫歯や歯周病治療などの一般歯科はもちろん、小児歯科、口腔外科、義歯治療、補綴治療、審美歯科など幅広い診療に対応。特に、口全体のバランスを考えて総合的な治療を行う「オーラルリハビリテーション(全顎治療)」に力を入れている。今回は島田院長に、オーラルリハビリテーションへの思いや診療方針などについて話を聞いた。うまくいかなかった経験も本音で語り、患者にとってより良いアプローチを探し続ける誠実な院長の姿勢が印象的な取材となった。
(取材日2025年6月6日)
大学病院で口腔のバランスを整える総合的な治療を学ぶ
先生はなぜ歯科医師の道に進まれたのでしょう。

私の場合、父も歯科医師、祖父も歯科医師、曽祖父が医師という医療一家で育った影響が大きかったですね。特に祖父からは、「ゆくゆくは歯科医師になってほしい」という期待を感じていました。ある種のプレッシャーがなくはなかったかもしれませんが、それに影響を受けたというよりも、自然な流れとして父と祖父と同じ道を志したという形です。振り返ってみれば、患者さんの健康を支える仕事の大切さを幼い頃から感じていたのかもしれません。そして、歯学部を卒業してからは、主に大学病院で経験を積み、開業に至りました。
大学病院ではどのような診療経験を積まれたのですか?
大学病院では、一般の歯科医院で「これは難しい」と言われて手がつけられなくなった患者さんや、全顎的に崩壊してしまった方が多く来院されていました。そういった方々に対して、オーラルリハビリテーション(全顎治療)という、これについては後ほどきちんとご説明しようと思いますが、口腔全体のバランスを考えた総合的な治療を提供していました。私の勤務先は、時間をかけて理想的な治療ができる環境でしたので、そういった場所で歯科医師としての基礎を固めることができたのは、たいへん貴重な経験でした。その時期に培った技術と知識を地域の方々のために生かしていきたいと考えています。
この場所での開業を決めた理由は?

ご紹介があって、つまりご縁があったんですよ。実際に足を運んでみると、駅前のような人の出入りが激しい場所ではなく、少し離れた住宅街という立地が、じっくりと患者さんと向き合いながら治療を行うのにぴったりだと思ったのですね。私が取り組みたいと考えているような口腔内全体のバランスを整えていく、全顎的な治療を実践するのに適しているな、と。また、当時生まれたばかりの子どもがいたこともあり、子育てしやすい環境であることも決め手になりました。人口も増えている地域ですから、街としてのエネルギーもありますし、長く診療を続けていくことを考えるととても良い場所に開業できたと思います。
オーラルリハビリテーションで末永く噛める歯を
次に、こちらで対応されている診療内容の概要を伺います。

虫歯や歯周病治療などの一般歯科はもちろん、小児歯科、口腔外科、義歯治療、補綴治療、審美歯科など幅広い診療に対応しています。特に補綴治療、つまり義歯や詰め物・かぶせ物を入れる治療ついては自信を持っています。大学病院時代から数多くの症例を経験したことで、「考えなくても手が勝手に動く」レベルまで技術を磨くことができました。ただ、どんな治療でも大切なのは、患者さんにとってベストな選択は何かを一緒に考えることです。自由診療が必ずしもすべての方にとって最良とは限りません。患者さんの生活背景やご希望を踏まえて、最適な治療法を提案するように心がけています。
では改めて、オーラルリハビリテーションについて教えてください。
オーラルリハビリテーションは痛いところだけを治す対症療法ではなく、お口全体のバランスを考え問題の根本解決を図るものです。特に年齢を重ねるとどうしても口内に問題が出る方が増えてきます。そんな時に、ここが痛いから治しました、この歯が揺れてきたから抜きましたという場当たり的な治療を繰り返していると、口の中の整合性が取れなくなってしまう。バランスが崩れてしまうのです。具体的には、お口の中にある詰め物・かぶせ物を再治療し、噛み合わせや見た目の改善を図っていきます。上下の噛み合わせのバランスを整えることを特に重視し、お口全体を正しい形に持っていくことに重きを置いています。時間はかかりますが、治療が完了すれば、その後は大きな変化なく長く良好な状態を保っていただけるところをめざしていきます。理想的には、一生その状態を保てるような治療を提供したいですね。
診療で特に心がけていることは?

患者さんに笑顔になってもらえるように、時には雑談を交えながらコミュニケーションを取ることを大切にしています。それに、一度に情報を伝えすぎて患者さんが混乱しないように、ということも意識していますね。今でこそこんなふうに考えるようになったのですが、昔はあまり抑揚なく淡々と患者さんにお話をしていまして、スタッフから「それじゃあ伝わらないですよ」と注意されたこともありました。それに、実は以前は子どもとの接し方がわからなくて。ですが、自分に子どもができてからだいぶ変わったといいますか、子どもと同じ目線で話せるようになったと感じています。こうした変化も含めて、常に患者さんとより良い信頼関係を築くためのアプローチを私なりに模索し続けています。
実直に、丁寧に、患者と信頼関係を築きたい
患者さんとの信頼関係を大切にされているのですね。

ええ。いきなり患者さんにオーラルリハビリテーションの必要性をお伝えしても、なかなかご理解いただくのは難しいと思うんです。実際に、開業してから「そんなことを言われても……」という反応をいただくこともありました。勤務していた大学病院では重症の患者さんが多く、皆さん最初から長期的な治療になる心づもりがおありでしたが、地域のクリニックは違いますよね。まずは患者さんとの信頼関係を築くことが何より大切だと実感しています。最初から大きな治療を目標にするのではなく、ちょっとした相談に誠実に対応して、小さな信頼を積み重ねていく。そうして初めて、患者さんも「この先生になら任せられる」と思ってくださるのだと学びました。
スタッフさんたちについても教えてください。
スタッフたちの患者さんへの接し方は本当に素晴らしいと思います。きちんとはきはきと話して、笑顔で接してくれている。患者さんも、笑顔の人には話しかけやすいですよね。私などよりもずっと自然にできています。スタッフから、「先生、こういうふうにしたほうがいいですよ」と教わることも。意見を言ってくれるということは、このクリニックを良くしたいと思ってくれている証拠。スタッフに恵まれたと本当に思います。私も素直に受け入れて、より良い診療ができるよう努力しています。これからもスタッフとともに、チーム全体で患者さんをサポートしていく体制づくりをしていきたいと思っています。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

まずは検診でも、ちょっとした違和感を診てほしいというのでも構いませんので、気軽に足を運んでください。症状が出てからだと治療の選択肢が限られてしまうこともありますから、早めの受診が大切です。また、「定期検診に来ているだけで満足」、「治療を終えるだけで満足」するのではなく、その後もご自身で予防ケアを続けていただきたいですね。患者さん一人ひとりが、自分の口の健康について考えることが大切だとお伝えしたいです。当院では「一口腔単位」の考えに基づいて、お口全体のバランスを見ながら治療方針を提案します。いつまでもご自身の歯で噛める喜びを感じていただけるよう、全力でサポートさせていただきます。
自由診療費用の目安
自由診療とはセラミックを用いた補綴治療/6万円~、ホワイトニング/3万3000円~