必要な時には薬の力を
簡単ではない「肥満症治療」と向き合う
茅ヶ崎駅前・糖尿病甲状腺 おおくぼ内科クリニック
(茅ヶ崎市/茅ケ崎駅)
最終更新日:2025/07/15


- 保険診療
食環境が豊潤な日本では食べ過ぎに陥りやすく、生活習慣の乱れも加わり肥満症になる人が多い傾向にある。多種多様な生活習慣病や循環器疾患、さらに膝などへ負荷がかかり整形外科疾患の原因にもなる肥満症。健康寿命延伸のためには減量が不可欠だ。しかしながら、「茅ヶ崎駅前・糖尿病甲状腺 おおくぼ内科クリニック」の大久保和哉院長は、個人の努力のみで肥満症を改善するのが難しい方には、プロのサポートが必要だと話す。大久保院長は、肥満症と密接な関係性がある糖尿病を専門とするドクター。肥満症は糖尿病発症などのリスクを高めるため、同クリニックでも薬物療法など、専門的な治療選択肢も視野に入れた治療に取り組んでいる。そこで今回、肥満と肥満症の違いや同クリニックでの治療内容について、大久保院長に詳しく話を聞いた。
(取材日2025年6月17日)
目次
糖尿病、高血圧、動脈硬化などのリスクが高まる肥満症は、専門の医師に相談することが改善の第一歩
- Q「肥満」と「肥満症」の違いは何でしょう?
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A
▲院内は、さわやかな色合いに統一
体重が増え過ぎた状態で、体重kg÷身長mの2乗から導き出されるBMIで25以上が肥満とされます。生活習慣病などの合併症など、肥満が健康に悪影響を及ぼしている状態の肥満を、肥満症といいます。「肥満は万病の元」と言ってもいいくらい、危険な病気の原因となりうるので、皆さんご存知とは思いますが早期治療が望ましいです。
- Q肥満症を放置した場合のリスクを教えてください。
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A
▲総合病院でも使われる高性能の検査機器を院内に準備
合併症としては高血圧や脂質異常症、糖尿病、高尿酸血症や痛風、脂肪肝といった、いわゆる生活習慣病に加え、心筋梗塞・脳梗塞などの血管病変、気道が狭まる睡眠時無呼吸症候群、月経異常、さらに骨や関節に負荷がかかり関節痛や変形性関節症などを引き起こすこともあります。動きにくさなど生活の質が低下する場合にも、治療を考えるべきでしょう。
- Q肥満の進行を防ぐために気をつけるべきことはありますか?
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A
▲甲状腺腫瘍や動脈硬化、がんのスクリーニングで超音波検査を活用
スマートフォンの普及やデスクワーク中心の仕事で、以前にも増して運動習慣のない働き盛りの方が増えています。また、仕事や家庭でストレスを抱える人、夜勤がある不規則な職場環境に疲弊している人も少なくありません。誰もが肥満になりやすい社会といえるかもしれません。
- Q治療はどのように行うのですか?
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A
▲事前問診などで患者の生活背景もしっかりヒアリングする
皆さんもご存知の通り、体重を減らすには摂取カロリーを減らし消費カロリーを増やすことですが、現実はそう簡単ではありません。患者さんをみていると、既にご自身でかなりの努力をしたり民間療法を試したけどリバウンドされた方が大勢いる印象で、膝が痛くて運動を増やせない方も多いですし、年齢が進むと代謝が落ちて痩せにくい体質にもなってしまいます。そこで、適応のある方にはお薬の力をかりる薬物療法をお勧めしています。また、都合のよい時間に自宅で受けられるオンライン栄養相談も活用しています。過度な糖質制限は危険なので、軽い糖質制限とバランスの良い食事を提案しています。
- Q治療を行う上で大切にしていることを教えてください。
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A
▲患者の状況を見極めた上でその人に合った治療を
大きく分けて3つあります。1つ目は、肥満には生活習慣や食べ過ぎが原因ではない二次性肥満というのがあります。これはホルモン異常、服用している薬が原因であることが多いです。ホルモン異常の原因として比較的多いのは甲状腺ホルモン異常やクッシング症候群などです。それらをできるだけ見極めた上で治療に入ることを当院では大切にしています。2つ目は、腹腔鏡下スリーブ状胃切除術による外科的治療など、必要に応じて外部の専門病院への紹介・提携も行っていること。3つ目は、薬物療法を行う場合、国内外の新しいデータに基づいて、より高い効果が見込まれる治療を提案することです。