眠りの質が命に関わる
睡眠時無呼吸症候群の症状と検査・治療
みちば耳鼻咽喉科クリニック
(交野市/河内磐船駅)
最終更新日:2025/07/15


- 保険診療
睡眠時間は足りているはずなのに、朝すっきり起きられない、日中に眠気や疲れが残っているといった場合、睡眠時無呼吸症候群の可能性がある。この疾患は、何らかの要因で睡眠中に呼吸が止まってしまうもので、放っておくと日中の集中力やパフォーマンスが低下するだけでなく、さまざまな病気を引き起こすリスクがある。早期発見・早期治療が重要だが、最も特徴的な症状が「いびき」とされており、本人は気づかないことも多いという。この疾患について「みちば耳鼻咽喉科クリニック」の院長、道場隆博(みちば・たかひろ)先生は「早期発見のためにも、気になる症状のある人は相談してほしい」と呼びかけている。道場院長に、睡眠時無呼吸症候群の検査方法や治療について詳しく話を聞いた。
(取材日2025年6月24日)
目次
睡眠時無呼吸症候群は、「肥満の中高年」だけではない。すべての人にひそむリスク
- Q睡眠時無呼吸症候群とはどのようなものなのでしょうか?
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A
▲どんな人でも発症する可能性がある「睡眠時無呼吸症候群」
「睡眠時無呼吸症候群」は、眠っている間に一定時間呼吸が止まる、もしくは呼吸が浅くなる疾患で、英名のSleep Apnea Syndromeから「SAS(サス)」とも呼ばれています。SASは、いびきや日中の眠気、集中力の低下、夜間頻尿を引き起こし、放置していると高血圧や糖尿病、心疾患、脳血管疾患にもつながるという報告があり、さらには突然死との関係も指摘されています。ここ10年ほどで認知度は高まっていますが、「太っている中高年がかかるもの」というイメージが先行しているようです。実際には、普通体型や痩せ型の人、さらには中高年だけでなく子どもの発症もあり、注意が必要です。
- Q受診のタイミングについて教えてください。
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A
▲些細なことでも気になった人は、一度受診を
SASの症状に気づいたら、まずは受診することをお勧めします。といっても、SASの特徴であるいびきは、ご自身ではなかなか気がつかないですよね。「朝すっきり起きられない」「日中、何となくだるい、眠い」など、いびき以外のSASの症状に注目していただけたらと思います。さらには「悪夢をよく見る」「夜中に何度もトイレに起きる」「朝起きた時、口が渇いている」など、一見SASと関係なさそうなこともSASが原因ということがありますので、思い当たる人は一度受診してみましょう。他にも「メタボリックシンドロームと言われている」「家族や親戚にSASと診断された人がいる」という方も、SASのリスクは高いと言えます。
- Q耳鼻咽喉科で診てもらうメリットはありますか?
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A
▲耳鼻咽喉科で受診することで、睡眠中の呼吸の改善をめざす
内科など他の診療科でもSASを診療内容として掲げている医院がありますが、耳鼻咽喉科を受診すると、内視鏡で鼻や喉を、直接診られるというメリットがあります。耳鼻咽喉科は、鼻や喉、気道に関する専門的な知識を持っているため、SASの検査を行う前に、鼻の状態や喉の筋肉、脂肪、扁桃の大きさなどを評価することで、さまざまな情報を得ることができます。SASを引き起こす原因として鼻閉(鼻詰まり)や口呼吸が挙げられますが、耳鼻咽喉科であれば、SASの検査や治療に進む前に、内服薬や点鼻薬を使って正常な鼻呼吸へと導くためのアプローチも可能です。これだけで睡眠中の呼吸の改善につながることも望めます。
- QSASの検査はどのように行いますか?
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A
▲なるべく負担の少ない検査を心がける
まずは診察に来ていただき、肥満度の確認や、自覚症状や既往歴、服薬状況などについて伺います。これらで得た情報に応じて、例えば眠るときの姿勢や枕のアドバイスを行ったり、肥満の方でしたらダイエットを促したりして、改善が認められなければ機器を用いた検査をしていただきます。先ほどお話ししたように、鼻閉などがある場合は、そちらの治療を先に行うこともあります。検査は、腕時計タイプの機械を用いる簡易検査が主流となっており、ご自宅で睡眠中の血液中の酸素飽和度を測定することが可能です。検査機器は自宅に郵送され、送り返していただくことで結果が医療機関に届くことになっているので、入院の必要はありません。
- Qこちらでの治療の流れを教えてください。
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A
▲一人ひとりに寄り添い、治療にあたる同院
軽度のSASの場合、寝る時の姿勢や体重管理、生活習慣の改善を指導します。また、マウスピースが役立つ場合もあります。重症度が一定以上の場合、経鼻的持続陽圧呼吸療法(CPAP療法)が選択されます。これは、眠っている間に鼻や口にマスクを装着し、空気の圧力で気道の拡張を促す治療法です。CPAPの機械はレンタル可能で、自宅に郵送してもらうことができます。簡易検査で無呼吸や低呼吸が1時間に40回以上の場合、保険が適用されるため、経済的負担も大きくはないかと思います。最近では、小型タイプのCPAPも登場しており、旅行や出張にも持ち運びやすくなっています。