道場 隆博 院長の独自取材記事
みちば耳鼻咽喉科クリニック
(交野市/河内磐船駅)
最終更新日:2025/07/11

2025年5月7日、学研都市線「河内磐船」駅より徒歩2分、京阪交野線「河内森」駅より徒歩3分の医療ビル6階に「みちば耳鼻咽喉科クリニック」がオープンした。院長の道場隆博(みちば・たかひろ)先生は日本耳鼻咽喉科学会耳鼻咽喉科専門医の資格を持つ、耳鼻咽喉科・頭頸部外科のエキスパートだ。鳥取大学医学部を卒業後、大阪けいさつ病院(旧・NTT西日本大阪病院)や大阪大学、大阪労災病院などで診療を経験。長年、頭頸部がんの診療に携わる中で「患者さんに、もっとじっくり寄り添いたい」と考えるようになり、今回開業する運びとなった。白とブラウンが印象的な開放感のある院内で、穏やかで親しみやすい道場院長に、これまでの経歴や開業についての思い、今後の展望などについて話を聞いた。
(取材日2025年6月24日)
病気と闘う家族を見て、医師を志す
先生が医師を志した経緯をお聞かせいただけますか?

高校時代は野球一筋で、将来なりたい職業はもちろんのこと、行きたい進学先についてもきちんと考えたことはなかったのですが、進路を考える少し前に、家族が肺の病気の診断を受け、「医療」を身近に考えるようになりました。元気だった家族が苦しんでいる姿を見ても何もできなかったことや、治療を受けながらもあっという間に亡くなったことなどが、医師を志したきっかけとなっています。闘病中の家族に対し「少しでも役に立てないか」「自分にできることはないか」と考えるようになり、鳥取大学の医学部に進学しました。
耳鼻咽喉科医を選択されたのはなぜですか?
大学卒業後は鳥取から大阪へ行って大阪けいさつ病院で研修をし、さまざまな診療科をローテーションしていました。麻酔科では多くの手術に携わりましたが、大阪けいさつ病院は頭頸部がんを専門的に治療している病院だったので、耳鼻咽喉科の手術がとても多かったんです。耳鼻咽喉科の手術を見たり、耳鼻咽喉科の先生の話を聞いたりするうちに、先生の診療や人柄の素晴らしさに惹かれて耳鼻咽喉科に進むことに決めました。頭頸部がんはがん全体の5%を占めるとされ、一般的にはあまりなじみのない疾患かもしれませんが、ほかのがんと同様に、手術・放射線治療・化学療法などを、それぞれの病状によって組み合わせて治療していきます。場所が場所なので、食事や会話といった日常生活に必要な機能に治療が影響を及ぼす可能性があり、そういった機能をできる限り温存させられるよう気を配りながら診療にあたっていました。
開業されるまでの経緯をお聞かせください。

研修を終えた後、さまざまな病院の耳鼻咽喉科や頭頸部外科を回り、手術も数多く経験させていただきました。大きな病院で日々たくさんの患者さんを治療するのはやりがいのある仕事でしたし、多くを学びました。しかし、医師10年目になった頃から「もっとじっくり患者さんと向き合って治療したい」「診察から診断、治療まで一貫して関わりたい」と考えるようになりました。いずれは開業して、地域医療に携わりたいと考えながらも、日々、目の前の診療に打ち込むうちに時間が過ぎていった気がします。そんな時、こちらのクリニックが閉院するということでお話をいただき、やっと夢をかなえることができました。ご縁があったんでしょうね。私は今年で医師20年目になりますから、開業したいと思うようになってから10年がたっていました。
どんな患者にも真摯に向き合う
交野市はどんな土地で、どんな患者さんが多いですか?

お話をいただいた当時、交野市について詳しいことは何も知らず「のんびりとした郊外」といったイメージしかなかったのですが、いざ来てみると駅ではたくさんの人が乗り降りしていて「活気のある地域」だと、いい意味でイメージが変わりました。集合住宅や企業の社宅も多いですね。なんとなく自分に合っていていいご縁だったと感じています。オープンして2ヵ月弱になりますが、ご相談としては難聴、耳鳴り、鼻詰まりなどが多いです。鼻汁や中耳炎などの小さなお子さんもたくさん来ていただいています。少し前までは大きな病院にいて「今日は手術が4件」なんて生活をしていたので、今は当時とはまったく違った環境です。患者さんの訴えをじっくり聞き、病状について話し、相談しながら治療方針を決定していく日々はとても楽しいです。
以前もこちらは耳鼻咽喉科だったと伺いました。変わった点、変わらない点について教えていただけますか?
全体のレイアウトや来院時の動線は変わっておりませんので、以前からの患者さんも安心して受診いただけると思います。変わった点としては、CTを導入しました。耳鼻咽喉科でCTというと意外に思われるかもしれませんが、鼻の奥の状態を確認し、診断や治療に役立てるためにCT検査を行うことがあります。中耳炎や副鼻腔炎などの状態を詳しく確認できますし、歯科医院にあるような頭の周りを回って撮る「コンビームCT」ですので、全身用のCTとは異なり、撮影は約1〜2分で終了します。費用負担も抑えられ、被ばく量も一般的なCTの約8分の1以下です。精密検査のために遠くの医療機関に行く必要がなく、検査後はすぐに結果を確認できるため、検査から診断までがスムーズに進みます。
先生が、診療をされる上で大切にされていることを教えてください。

患者さんにきちんと説明し、相談しながら一緒に治療方針を決めていくことです。できるだけ正確に理解していただきたいので、模型を使うなど、説明の仕方も工夫しています。さらには、こちらからの説明を聞いていただくだけでなく、患者さんの思いもできるだけくみ取りたいと思っています。不安を聞いてもらうと安心される患者さんも多いので、一見診断に関係なさそうな訴えもじっくり聞くようにしていますし、診察や検査、処置の際は「今からこういう目的でこういうことをしますね」とお話ししてから行います。それは、相手がお子さんであっても同じです。保護者の方だけでなく、お子さん本人にも「今から喉の奥を診察するから協力してほしい」と伝えてからやるようにしています。最初は嫌々口を開けていた子も、一度できたら次からは自ら協力してくれることが多いですね。
何でも相談できるかかりつけ医として地域に貢献したい
患者さん一人ひとりと信頼関係を築いているのですね。

大学病院で頭頸部がんの患者さんを診ていた頃、リビングウィルについての勉強会や、がんと告知された患者さんのサポートなどについての勉強会などを受けていたんです。治療そのものの説明はもちろんですが、治療後のイメージについても説明し、ビジョンを共有することがとても大事だと学びました。医療者側が一方的に指示するだけでは治療は成り立たない、そんな思いが今の診療に生きているのかもしれません。
犬のロゴマークがとてもかわいいです。
一般的に、耳鼻咽喉科のロゴマークはうさぎや象が多いのですが、私も家族も柴犬が大好きなので、柴犬のマークにしました。デザイナーさんに「マークは柴犬でお願いします」とオーダーして、いくつか候補をいただいた中からこの子にしたんです。理由ですか? 一番かわいかったからですね(笑)。わが家の子どもたちも「これがいい!」と、満場一致で即決しました。
クリニックの今後の展望をお聞かせください。

地域のかかりつけ医として、耳鼻咽喉科を続けていきたいです。私は、耳鼻咽喉科医としてのキャリアは積んでいますが、耳鳴りや難聴などについてはまだまだ未熟だと思っていますので、私自身もさらに学び、成長していきたいです。今後は超音波エコーの検査機器も導入して甲状腺の病気などもフォローしていけたらと思っていますし、アレルギーに対する舌下免疫療法も開始する予定です。春先のスギ花粉症の症状を緩和するためには、シーズンから逆算して8〜12月くらいまでの治療開始を推奨しています。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
このたび、交野市に「みちば耳鼻咽喉科クリニック」を開業させていただくこととなりました。一般的な「耳」「鼻」「喉」の不調はもちろんのこと、いびきや頭痛といった睡眠時無呼吸症候群のご相談や、補聴器の不調、顔面神経麻痺まで幅広く対応しています。また、慢性的な咳も副鼻腔炎などが要因となっていることが多くありますので、呼吸器内科などであまり改善が見られなかった方は一度ご相談いただけたらと思います。気軽に何でも相談できるかかりつけ医として、小さなお子さんからご高齢の方まで、地域の皆さまに信頼していただけるよう努力していきたいと思っています。どうぞよろしくお願いします。