藤本 直己 院長の独自取材記事
フジクリニック
(大阪市天王寺区/大阪上本町駅)
最終更新日:2025/06/23

複数路線が行き交う大阪上本町駅から徒歩1分。ビジネスパーソンや家族連れでにぎわう通り沿いの、ビル地下1階に開業した「フジクリニック」。院長の藤本直己先生は、さまざまな内視鏡検査に精通した日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医。胃がんや大腸がんの内視鏡検査の普及とともに、幅広い消化器疾患の診療に取り組んでいる。広々とした待合室には観葉植物や調度品が並び、ラグジュアリーでありながら親しみやすい雰囲気が漂う。「患者さんには、笑顔で接することを大切にしている」という藤本院長に、同院の内視鏡検査や、診療にかける思いなどについて詳しく聞いた。
(取材日2025年5月30日)
内視鏡検査には長期的フォローが必要と考え開業
2025年4月に開業されたそうですね。院内の雰囲気もすてきです。

働き盛りの方や、内視鏡検査に気恥ずかしさを感じる女性でも通いやすいクリニックをめざしました。ほとんどの患者さんが忙しい中で検査にお越しになるのですから、少しでも安心してリラックスできる空間を提供できればと考えています。診療は胃がんや大腸がんのための内視鏡検査をメインとしていますが、おなかの不調に関する診療も行っています。内視鏡を専門とするばかりでなく、日本内科学会総合内科専門医や日本消化器病学会消化器病専門医でもありますので、何でも気軽に相談してほしいですね。突然の胃痛で受診された場合も、お食事前であれば当日中の胃カメラ検査にも対応しています。柔軟に対応することで、地域の皆さんのお役に立てるクリニックをめざしています。
なぜ医師をめざしたのですか? 経歴についても教えてください。
医師をめざしたのは「人の役に立つ仕事がしたい」と思ったからです。消化器内科を専門としたのも、内視鏡の技術を磨けば磨くほど、より多くの患者さんを救うことにつながると考えたから。奈良県立医科大学を卒業後、大阪市内にある多根総合病院で消化器内科診療、内視鏡検査、内視鏡治療に従事してきました。胃や大腸はもちろん、肝臓や胆道、膵臓の病気も数多く診療してきました。研修医の頃から10年以上勤め、最終的には消化器内科副部長を務めました。しかし限られた診療時間の中で、患者さんとじっくり向き合うことは難しく「もっと相談に乗ってあげられたら」「親身にお話を聞いてあげられたら」と思うことも多くなっていきました。本来、内視鏡の検査や治療は定期的なフォローが必要で、患者さんとは長いお付き合いとなるものです。もっと患者さんの身近にいられたらという思いから、開業に至りました。
この場所での開業となったのは、なぜですか?

当院では患者さんの負担をできる限り軽減するため、内視鏡検査で静脈麻酔を用います。検査後はお車や自転車の運転はできませんから、駅から近いこの場所に開業しました。大阪上本町駅までは徒歩1分ですし、谷町九丁目駅にも徒歩3分ほどのアクセスの良さです。胃がんや大腸がんのリスクは中年期以降に高まるため、一般的に40歳以降に定期的な検査が呼びかけられています。近隣はマンションが多く建設され、働き盛りの世代が多く暮らす地域でもあるため、当院では忙しい世代も受診しやすいようにと、土曜の検査にも対応しています。自分の培ってきた経験や知識を存分に生かし、胃がんや大腸がんの早期発見につなげていければと思います。
研鑽を重ね、内視鏡検査の質向上に努める
そもそも内視鏡検査では何がわかるのですか?

内視鏡検査は、主に胃がんや大腸がんの診断を行うための検査です。胃がんや大腸がんは日本人の死因の上位を占めていますが、早期で発見して治療すれば回復につなげられる病気です。では、なぜ減らないのかというと、初期にはほとんど自覚症状がないためだといわれています。そのため、リスクが高くなる40歳前後には、内視鏡検査を一度は受けてほしいと思います。また内視鏡検査は胃がんや大腸がんだけでなく、逆流性食道炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、腸炎、憩室出血、潰瘍性大腸炎などの病気の診断にも役立ちます。大腸ポリープがあれば、サイズによりますが同時に除去も可能です。胸やけや胃もたれ、下痢などの症状がある時は安心するためにも、早期に消化器を専門としたクリニックを受診してほしいですね。
こちらのクリニックでは、患者さんの負担軽減をめざしているそうですね。
内視鏡検査は大腸がん・胃がんの早期発見に不可欠な検査であるものの、多くの患者さんにとって不安や苦痛を伴うものです。その負担を一つでも減らせればと、さまざまな工夫を行っています。例えば、苦痛を抑えるために鎮静剤を使用するのもその一つ。また大腸検査で腸を膨らます際には、炭酸ガスを使っておなかの張りや不快感を抑えるようにしています。意外に多いのが、下剤がなかなか飲めなくて苦労される方。量が少なく飲みやすい濃縮タイプの下剤をご用意していますが、時間内に規定量が飲めなかった、うまく洗浄できなかったといった場合も、おなかの中を洗浄しながら検査するなど臨機応変に対応しています。些細なことで検査を敬遠してしまって病気を見過ごすことがないように、検査しやすい環境をつくっていくことも私たちの使命だと思っています。
長年、技術や診断力の向上にも取り組まれてきたとか。

内視鏡検査は検査する側の技術によって、患者さんの負担が大きく左右される検査でもあります。医師となって15年以上たちますが、これまで消化器内視鏡専門医として数多くの検査を行い、できるだけ苦痛を抑えた検査をめざして、検査時間の短縮やカメラの挿入方法などについて修練を積んできました。また検査する上で大切なのが、がんなどの病変を見逃さないこと。豊富な経験に基づき細心の注意を払って診断に努めていますが、万が一の可能性も減らすため、当院ではAIを搭載した高精度内視鏡カメラを導入しています。人間の目では気づきにくい微細な病変まで検出が期待できるので、非常に役立っています。
腸・脳・皮膚の相関関係を理解して、総合的に診療
スタッフさんの力も大きいと聞きました。

内視鏡検査に対して気恥ずかしいと感じる患者さんも、まだまだ大勢いらっしゃいます。特に女性の場合には、スタッフが患者さんに積極的に声をかけてリラックスさせてくれています。当院のスタッフは女性が中心ということもあって、院長の私に話しにくいことも、相談しやすいようですね。以前から一緒に働いてきたスタッフもいるので、私も信頼していますし、また消化器病棟で勤務していたスタッフもいるので、検査内容や治療など消化器疾患に関する知識も深いです。どのようなことも気兼ねなく相談していただければと思います。
腸内環境の整備にも力を入れているそうですね。
医学の分野では「脳腸皮膚相関」という考え方があり、脳と腸と皮膚はお互いに情報を伝え合い、影響し合う関係だといわれています。例えば、腸の調子が悪いとお肌が荒れたり、精神的に不安な状態ではおなかが痛くなったりといったことが起こります。こういった相互作用に以前から注目していて、おなかの調子を整えることで、体や心の健康につなげていくことができればと考えていました。腸を整えることは胃がんや大腸がん、さまざまな病気のリスク回避にもつながります。当院では食事の取り方、栄養バランスへのアドバイスも積極的に行っています。また、合わせて肌管理もアドバイスできたらと、美容皮膚科にも対応しています。下痢や便秘が改善したりニキビが出にくくなったりしたら良いなと思い取り組んでいます。
最後に、メッセージをお願いします。

アットホームな雰囲気の中で「一人ひとりの患者さんを大事に診療する」というのが当院の診療スタイルです。内視鏡検査専門クリニックというと、たくさんの患者さんが毎日入れ替わり検査するような所もありますが、当院は検査に加えて、丁寧に寄り添った医療を提供していきたいと思っています。検査に対する不安や悩みがあれば、まずは相談ください。一つ一つを一緒に解決して、患者さんが安心して検査を受けられるようにしていきたいと思います。そして、長く患者さんの健康を見守っていきたいですね。