40代からは大腸内視鏡検査で
がん化する前に適切な対策を
かなもり内科婦人科クリニック
(さいたま市緑区/浦和美園駅)
最終更新日:2025/07/07


- 保険診療
日本人の罹患率、がん死亡率の上位にある「大腸がん」。その予防に大きく役立つ方法が、大腸内視鏡検査だ。大腸がんは、がん化する手前の病変であるポリープを取り除くことで、がん化を阻止することが望める。2025年5月に浦和美園に開業した「かなもり内科婦人科クリニック」は、大腸内視鏡検査を積極的に行うクリニック。金森瑛(かなもり・あきら)院長は、長年大学病院などで研鑽を積んだ消化器内科のスペシャリスト。「大腸がんはポリープの段階で切除すれば予防が望める一方、自覚症状が出た時にはがんはかなり進行しているため検査が重要です」と語る金森先生に、検査に適した年齢やポリープの切除方法、検査の流れなどを解説してもらった。
(取材日2025年6月26日)
目次
大腸内視鏡検査によるポリープの発見と切除でがん化の予防と対処を。便潜血反応検査も活用しよう
- Qなぜ大腸内視鏡検査が必要なのでしょう?
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A
▲日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医の資格を持つ金森院長
大腸内視鏡検査の目的は、大腸がんの早期発見と予防です。内視鏡検査では、「前がん病変」であるポリープの発見ができ、そのほとんどを検査と同時に切除することができます。他の臓器だと、病変として発見された時には既にがんですが、大腸や胃の場合だと、前がん病変から徐々に大きくなってがんに発展していくため、ポリープの段階で切除してしまえば、手がつけられない状態になることを防ぐことも期待できるのです。一方で大腸がんは、かなり進行しないと出血や腸閉塞でおなかが張るなどの自覚症状は出てきません。それを事前に知るためには検査をする他に方法がないのです。
- Q大腸がんが増えている理由と、受診目安の年齢を教えてください。
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A
▲食生活の変化がリスクに。40代からの大腸がん検診が鍵
大腸がんが増えてきた理由は、食生活の欧米化が挙げられます。肉や加工食品を多く摂取すると発症のリスクが上がります。また大腸がんは遺伝も関係するため、ご家族に大腸がんの方がいた場合も注意が必要です。これらに該当する場合は受診を検討してほしいですね。また大腸がんは、40歳を超えるとリスクが上がるため、40代になったら一度検査を受けることをお勧めします。自治体の大腸がん検診が一般的に40歳からとなっているのも、そのような理由からです。また、検査でポリープが見つかった場合は、切除後も1年に1回の受診が望ましいですね。検査で異状がなかった場合は、2~3年に1回の受診で問題ないでしょう。
- Q患者さんの不安に対し、どんな対策を取られていますか?
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A
▲鎮静剤を用い、検査中の苦痛を軽減する工夫も
大腸内視鏡検査を初めて受けられる方からは、検査中に痛みが出るのではといった不安の声もお聞きします。ご希望の方には鎮静剤を使用します。また腹部の手術経験がある方は、腸が癒着しやすく、癒着部に痛みが出やすいため鎮静剤使用をお勧めしています。不安や痛みのせいで、予防のチャンスを逃すのは得策ではありません。なお、鎮静剤の作用の仕方は人それぞれで、睡眠導入薬などを常用している方には作用しづらいということがあります。鎮静剤を希望しない方は、カメラで映し出された腸内の画像をモニターで私と一緒に確認しながら検査を受けていただきます。検査中眠ってしまっても、検査後に画像をお見せして説明するので問題はありません。
- Q予約から検査当日、結果説明までの流れを教えてください。
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A
▲検査後は院内のリカバリールームで休むことができる
検査希望日を、クリニックの予約サイトから入れていただきます。検査前に検査方法の説明日を設けているため、希望日は合わせて2日必要です。検査前日は就寝前に錠剤の下剤を服用、当日は朝7時より液体の下剤2リットルを2時間ほどかけて飲んでいただき、ある程度落ち着いたら検査となります。下剤を飲むためにかける時間は長すぎても短すぎても良くありません。下剤服用後、腸が空っぽになるまでには個人差があります。飲んでいる途中でおおむね便が出きる方もいれば、そうならない方もいます。しかしある程度出れば、後は検査中に水で流しながら内視鏡で対応していくことができるのであまり心配はいりません。
- Q便潜血反応検査と内視鏡検査の使い分けについて教えてください。
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A
▲便潜血検査は大腸がん予防の第一歩
大腸内視鏡検査の前段階として便潜血反応検査というものがあります。2日かけて2回行う便の検査で、2回とも陰性の場合は問題ありませんが、1回でも陽性反応が出たら内視鏡検査の受診をお勧めします。便潜血反応は有用な検査ですが、ポリープのサイズが小さかったりすると検査をくぐり抜けてしまうため100%ではありません。40歳以上のご年齢であったり、ご家族に大腸がんの方がいた場合には、便潜血反応が陰性だったとしても、内視鏡検査受診が望ましいですね。しかし腹部を何度も切った経験のある方や下剤を飲むことが困難なご高齢の方は、内視鏡検査が勧められる年齢であってもまずは便潜血反応検査で様子を見るのが良案かと思います。