小児腎臓の専門家による
子どもと家族に寄り添う夜尿症治療
明石駅前いなぐま小児科アレルギー科
(明石市/明石駅)
最終更新日:2025/11/14
- 保険診療
子どもの頃、誰もが成長の過程で経験するおねしょ。ほとんどの場合は成長とともに自然に改善していくが、5歳を過ぎてもまだ続いている場合には、本人や家族にとって大きな悩みになってしまうことも少なくない。そんな親子の声に耳を傾けているという「明石駅前いなぐま小児科アレルギー科」の稲熊洋祐院長。小児腎臓の専門家として豊富な知識と経験を持ち、子どもたちの気持ちに寄り添いながら治療を行っている。「夜尿の原因になる隠れた病気がないかを調べられたら、まずは一つの安心が手に入ります。その後は、お子さまの身体や心の成長に寄り添いながら治療することが大切です」。薬物療法などを通じた体の支援はもちろん、心の支援も重視し、親子の悩みや不安に寄り添う。そんな同院の夜尿症治療について、詳しく話を聞かせてもらった。
(取材日2025年10月31日)
目次
子どもの自己肯定感を高め「治したい」という気持ちを引き出すことが治療の鍵
- Q夜尿症とはどのような疾患ですか?
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A
▲時には資料なども用いつつ、わかりやすい説明を心がけている
夜尿症とは、5歳以上の子どもが夜間の睡眠中に月に1回以上の夜尿を3ヵ月以上繰り返している状態を指します。乳幼児期に見られるおねしょと一見似ていますが、おねしょが成長とともに自然に減っていく発達過程の現象であるのに対し、夜尿症は年齢を重ねても続く可能性があるため、お子さまが自信を失ったり家族が悩んでしまったりすることが少なくありません。しかし、実は決して珍しい病気ではなく、7歳頃でもおよそ10人に1人の割合で見られます。生活習慣の工夫や排尿訓練、必要に応じて薬物療法による対応が可能ですので、学校行事への不安、自己肯定感の低下など生活面に影響が出る場合には、医師に相談することをお勧めします。
- Q夜尿症の原因にはどのようなものがありますか?
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A
▲院内のトイレは広々としており、清潔感にあふれている
夜尿症は、複数の要因が関係しています。主に、膀胱の容量が小さいことや機能の未熟さ、尿をためる抗利尿ホルモンの分泌異常、睡眠が深く目が覚めにくいこと、ストレス・環境変化・生活リズムの乱れなどの心理的要因が影響する場合もあります。さらに、便がたまり膀胱が圧迫されると尿をためにくくなるため、便秘症が夜尿症の増悪因子となることも。その場合、まず便秘症の治療のみ行うこともあります。その他、睡眠時無呼吸症候群・慢性尿路感染症・糖尿病・腎・泌尿器系の異常などが隠れたまれなケースもあるため、必ずスクリーニングします。安心して治療に取り組むために、お子さま本人やご家族と話し合い、原因を見極めることが重要です。
- Q夜尿症の診断や治療にはどのような方法がありますか?
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A
▲子ども自身ともじっくりと向き合いながら治療を行っていく
まずはお子さまと保護者、両方に問診をします。治療の成功には「本人の治したい気持ち」が大切ですから、当院では必ず本人にも話を聞いています。次に尿検査や超音波検査などで腎臓や膀胱に異常がないかを確認し、実際の夜尿の状況を把握するための排尿・排便日誌をつけていただきます。さらに夜間尿量や我慢尿量を測定し、夜尿症のタイプを把握します。隠れた病気がないか確認し、本人に治療の意志があればそこから治療がスタートです。治療は原因や年齢、生活状況に応じて段階的に行い、まずは寝る前のトイレ習慣や、就寝前排尿の徹底、夕食以降の水分制限、そして夜尿のタイプに応じてアラームを使ったトレーニングや薬物療法などを行います。
- Q夜尿症に対する生活指導や家庭でできる対策法は?
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A
▲子どもの「治したい」という気持ちをサポートすることが重要
まず最も大切なのは、夜尿症はよくある症状だと理解することです。夜尿症はお子さまの性格やしつけの問題でなく、生理的・発達的な背景が関与することが多い症状です。焦って叱ったり、夜中に無理やり起こしてトイレに行かせたりすることは治療の妨げとなります。「起こさない・怒らない・焦らない・比べない」を原則として、お子さまの良いところを積極的に褒めましょう。失敗しても「また頑張ろう」と安心感を与え、自己肯定感が高まれば、お子さまの「治したい」という気持ちへとつながります。また生活習慣を整えることも大切です。就寝前には水分摂取を控え、寝る前に必ずトイレに行く習慣をつけ、リラックスできる睡眠環境を整えましょう。
- Q夜尿症で医療機関を受診するべきタイミングは?
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A
▲心配な症状があれば早めに専門家への相談を
5歳以上で週2回以上の夜尿が3ヵ月以上続く場合、お泊まり行事への不安など学校生活や家庭生活に支障が出ている場合、日中の尿漏れや頻尿がある場合、便秘や腹部膨満がある場合、糖尿病、尿路感染症など他の疾患を疑う場合には、小児科や小児腎臓病の専門家への相談をお勧めします。また「お子さまの自尊心が傷ついている」と感じる場合にも、早めに相談すると良いでしょう。夜尿症はそのうち治ると思われがちですが、改善を早めるには適切な評価と治療が重要です。痛い検査や治療ではありませんし、お子さま本人やご家族の安心にもつながります。家庭の事情に合わせて無理なく取り組める方法を一緒に考えますので、気軽に相談してください。

