青木 剛 院長の独自取材記事
青木眼科クリニック
(北九州市八幡東区/枝光駅)
最終更新日:2025/07/07

北九州市八幡東区、荒生田の住宅街に位置する「青木眼科クリニック」。先代のクリニックをベースに、2025年4月、現院長である青木剛先生が再び開業した。院内はバリアフリー設計が徹底され、検査から診断、日帰り白内障手術まで幅広い対応が可能。また、小児の屈折検査や近視予防の相談、レーザー治療などもカバーし、地域の幅広い世代のニーズに応える眼科をめざしている。「医療は押しつけではなく、理解と納得を土台に進めるべきものです。信頼関係を築くことが、何より大切だと考えています」と、語る青木院長。診療においては、患者一人ひとりが内容を正しく理解し、納得した上で治療に進めるよう「丁寧な説明」を重視しているという。地域に根差し、気軽に相談できる目のかかりつけ医をめざす青木院長に話を聞いてきた。
(取材日2025年6月12日)
祖母、父のクリニックを引き継いで再開業
今回、「青木眼科クリニック」として再開業された背景を教えてください。

当院は、もともとは父が長年診療しており、私自身もいつか継承するつもりでいました。一度閉院したのは、当時まだ私自身の経験が浅く、しっかりと経験を積んでいきたいという思いから、父の代で一度閉院しました。その後、地域の医療機関で幅広い経験を積み、いよいよ開業をすることを決意しました。以前から通われていた患者さんの中には「早く開けてほしい」とお声がけくださる方もいらっしゃいました。祖母の代から長く続いてきたこの地、このクリニックで、再び地域に貢献できる機会をいただいたことに、感謝の思いでいっぱいです。まだ再開して間もないため、認知度を高めることが当面の目標ではありますが、「この場所に眼科があって良かった」と、思っていただけるクリニックに育てていきたいと考えています。
これまでのご経歴や専門とされている分野について教えてください。
大学卒業後は、久留米大学病院や田川病院、戸畑共立病院など複数の医療機関で研鑽を積んできました。特に、白内障手術を中心に日帰り手術を多く経験し、外来診療から手術までを一貫して担う眼科医療に携わってきました。また、糖尿病網膜症や加齢黄斑変性といった疾患に対するレーザー治療や注射治療の実績もあり、患者さんの生活に直結する視機能の維持、改善に注力してきました。勤務医時代の経験を生かし、当院でも診断から治療までスムーズに対応できる体制を整えています。今後は、小児の近視予防や屈折検査といった分野にも注力し、幅広い世代のニーズに応えていきたいと考えています。
クリニックとしての基本方針や診療体制について教えてください。

当院では、患者さんに安心して受診していただけるよう、わかりやすい説明と納得のいく治療方針の提示を重視しています。検査や治療の目的を一つ一つ丁寧に説明し、選択肢がある場合にはメリット・デメリットをきちんとお伝えした上で、一緒に方針を決めていくスタイルを取っています。また、院内はバリアフリー設計となっており、車いすの方や足元に不安のある高齢者の方にも配慮した造りです。検査機器も充実させており、視力・視野検査をはじめ、OCT(眼底三次元画像解析)、眼圧測定、レーザー装置など、診断から治療までを円滑に行える体制を整えています。地域に根差して診療してきた先代の思いを引き継ぎ、患者さんとの信頼関係を何よりも大切にした医療を実現していきたいですね。
目の疾患は生活の質に大きく関わるからこそ
白内障手術における体制と方針について教えてください。

当院では、白内障手術を日帰りで行っており、手術前の説明から術後のフォローまで一貫して院内で対応できる体制を整えています。目の手術と聞くと、きっと不安なことも多いでしょう。そこで、患者さんには手術の内容や注意点をわかりやすくお伝えし、不安や疑問に丁寧に向き合います。手術は局所麻酔で行い、平均して10分程度と短時間で終了するため、ご高齢の方や基礎疾患をお持ちの方にも対応しやすいのが特徴です。また、術後の見え方やライフスタイルに応じたレンズ選択の相談も時間をかけて行い、患者さんの希望に沿った治療を提供しています。目の手術には不安を感じる方が多いからこそ、信頼関係を築いた上で、安心して受けていただけるよう心がけていますよ。
診療において、大切にしている姿勢や考え方をお聞かせください。
私が診療の中で最も大切にしているのは、患者さんが「納得した上で治療を選べること」です。先ほども述べたとおり治療の方針や流れを一方的に進めるのではなく、患者さんの理解と同意を得ることが不可欠だと考えています。特に目の病気は、症状が自覚しづらいものも多く、不安を感じる方も少なくありません。そうした患者さんにも安心していただけるよう、言葉の選び方や伝え方にも注意を払っています。また、目の健康は、生活の質に直結するものだと思っています。目が正しく見えて健康に過ごせることは、その先の人生に大きく関わるという責任を感じながら、日々の治療に取り組んでいます。
白内障以外の治療についても教えてください。

当院では、白内障手術以外にも、加齢黄斑変性や糖尿病網膜症といった疾患への対応を行っています。これらの疾患は、進行すると視力の低下を招く恐れがあるため、早期発見と定期的な管理が重要です。OCT(眼底三次元画像解析)などの検査機器を用いて網膜の状態を詳細に確認し、必要に応じてレーザー治療や硝子体内注射などを行います。いずれも患者さんとよく相談した上で進めるようにしており、不安や疑問にも丁寧にお答えしています。治療内容だけでなく、その後の生活にも影響することなので、日常生活の中で気をつけるポイントなども併せてお伝えするようにしていますよ。
安心できる「目のかかりつけ医」をめざして
近視予防や小児への対応にも力を入れているそうですね。

小児の視力低下や近視の進行は、日常生活や学習に大きな影響を及ぼすことがあります。当院では、早期発見・早期対応のために、視力や屈折の検査を丁寧に行い、お子さんの成長に合わせたアドバイスを行っています。特に近年は、スマートフォンやタブレットなどの使用が増えたことで、近視の進行が懸念されるケースも多く、生活習慣の見直しや必要に応じた治療の提案もしていますね。お子さんの場合、親御さんから伝えてもなかなか伝わらないようなこともあるんです。そこで第三者である医師の立場から「スマホやタブレットは、目から離して見ようね。休憩を取るのも大事だよ」などのようにお話をすることで、お子さんが理解してくれるきっかけになればと思っています。
設備のこだわりや他院連携についても教えてください。
クリニックのリニューアルに際し、まず機械はできる限り新しい物を取り入れるようにしました。検査にかかる時間が短く済むだけでなく、画像も鮮明に映るようになるので、患者さんにとってメリット尽くしですからね。診断においてもより正しい判断ができるようになると思っています。また、他院連携については、当院で対応できる範囲はできる限り院内で完結するよう努めていますが、より高度な検査や治療が必要と判断した場合には、地域の総合病院や大学病院と連携して適切な医療機関をご紹介しています。紹介にあたっては、患者さんの通いやすさやご希望も考慮し、負担が少なくなるよう配慮しています。
今後、どのようなクリニックをめざしていきたいですか?

眼科は、日常生活に直結する視機能を扱う診療科でありながら、症状を自覚しにくい疾患も多くあります。そのため、困ったときだけでなく、気軽に立ち寄れる「目のかかりつけ医」として地域に根づいていけたらと考えています。開業してからまだ間もないですが、ありがたいことに以前からの患者さんが再び足を運んでくださったり、新しく来てくださる方がいたりと、少しずつ知っていただけているのかなと思います。これからも患者さん一人ひとりに丁寧に向き合い、わかりやすく誠実な診療を積み重ねていくことで、「来て良かった」と、思っていただけるクリニックに育てていきたいですね。