濵砂 良一 院長の独自取材記事
室町泌尿器科クリニック
(北九州市小倉北区/西小倉駅)
最終更新日:2026/03/31
JR鹿児島本線・西小倉駅から徒歩6分。勝山通り沿いに2025年5月に開業した「室町泌尿器科クリニック」は、前立腺肥大症や前立腺がんなどの泌尿器系疾患から、膀胱炎といった排尿に関するトラブル、そして性感染症まで幅広く対応している。めざすのは「安心で専門性の高い治療」。患者一人ひとりに寄り添い、それぞれの悩みに合わせた治療を提案している。診療を行うのは感染症を中心に泌尿器科領域で研鑽を重ねてきた濵砂良一(はますな・りょういち)院長。マイコプラズマ・ジェニタリウムという細菌の数少ない研究者でもあり、膀胱炎治療のガイドライン作成にも携わったプロフェッショナルだ。「小倉北区は泌尿器科専門の開業医が少ない地域なので、悩む人たちの力になれたら」と話す濵砂院長に、同院の特徴をたっぷりと聞いた。
(取材日2025年6月2日)
泌尿器専門の身近なクリニックとして悩む人の助けに
まずは開業にあたっての意気込みからお聞かせください。

大学病院や基幹病院で長く働いてきましたから、医師としてずっと急性期の患者さんを診療していきたいという気持ちが強いんです。患者さんの目の前に立って、それぞれの悩み事に向き合いたいと、65歳の定年を前に開業を決意しました。勤務していた産業医科大学や新小倉病院は北九州市にありましたし、小倉北区は泌尿器科を専門的に診るクリニックが少ないので、診療ニーズが高いのではないかと考えていました。実際に繁華街も近いエリアになりますから、潜在的なニーズはあると実感しています。泌尿器疾患で困っている人、性感染症で悩んでいる人の受け皿となるクリニックにしていきたいと考えています。
具体的にどのような診療に取り組まれていくのでしょうか?
まずは、排尿障害や血尿など排尿に関する症状ですね。これらは、前立腺肥大症や尿道狭窄、尿路結石といった疾患の可能性や、場合によっては泌尿器に関連するがんのケースもあり得ます。また、「陰囊腫大」もよく診る症状の一つです。睾丸を包む袋が大きくなることで、違和感を覚えたり、炎症が起きて痛みが出たりすることがあります。中には精巣がんが原因で腫大することもありますので、専門の医師による診療が欠かせません。こうした疾患を診るのは大きな病院が一般的で、当院のように専門的に診られるクリニックはかなり少ないため、頼っていただきたいですね。身近なクリニックであればすぐに診断につなげやすいのが大きなメリットだと思います。患者さんの症状が手術適応のものかを見極めたり、必要に応じて病院をご紹介したりするのもクリニックの大切な役割です。
地域のクリニックならではの役割があるのですね。

そうですね。例えば前立腺がんであれば、病院で診断がついたり手術をしたりした後のフォローアップとしてホルモン療法を行っています。他にも、尿管に結石があるけれど今は痛くはないという場合、経過観察をしていくこともできます。また、皮膚科領域を診られることも当院の特徴です。特に、陰囊や性器周囲の痛みやかゆみといった皮膚疾患はぜひご相談ください。泌尿器科ですから、そうした部位を診るための診察台を備えていますので、症状が進行する前に診察し治療していきたいと考えています。加えて、一般的な皮膚疾患もある程度診療可能です。地域のかかりつけ医として、広くご相談いただけたらと思います。
尿のトラブルから性感染症まで幅広く対応
膀胱炎治療にも注力されていますが、女性が罹患しやすい病気だと伺いました。

膀胱炎は感染症で、ほとんどの場合は自分が保菌していた細菌が尿道から入って感染します。男性の尿道が15センチほどであるのに対し、女性は3センチほどしかなく、細菌が侵入しやすいといえます。抗菌薬ですぐに治療できることから軽く見られがちな病気ですが、中には何度も罹患することがあり、実際、繰り返す膀胱炎に悩む女性は多いのが現状です。薬を処方すれば終わりではなく、一人ひとりの生活スタイルをベースに予防法まで一緒に考えていく必要があります。膀胱炎は性交渉で感染することはありませんが、女性の場合尿道の位置や長さから関連性はあるため、そうした部分も含めて説明するようにしています。膀胱炎については、私自身、専門家としてガイドラインの作成にも携わったので、ぜひご相談いただきたい疾患です。
尿漏れなどの悩みも、泌尿器科に相談して良いのでしょうか?
もちろんです。基本的に失禁や尿漏れなどは泌尿器科に来ていただく疾患です。近年、大きな病院では、泌尿器科と婦人科の境界領域にある病気に対応するため、女性専用のウロギネ科(ウロギネコロジー)が普及し始めています。しかし「どれくらいの失禁量だったら手術が必要か」など、泌尿器科の専門家でなければ判断しづらいところはあると思います。ほかにも膀胱脱という高齢者に多い病気は、経験がなければ見つけにくいもの。そうした病気を見つけることも、私たちのような町のクリニックが担う重要な役割だと考えています。
感染症に関しては留学して研究もされたそうですね。

もともと感染症に興味があり、デンマークの国立血清研究所でマイコプラズマ・ジェニタリウムという細菌の研究に従事したのです。難しいとされた培養方法を学び、帰国後も研究を続けてきました。現在の課題は薬剤耐性が高く、これまでの薬が通用しにくくなっていること。性交渉で感染すると難治性の尿道炎になる可能性もあり、気をつけるべき感染症でしょう。また、膀胱炎や腎盂腎炎といった尿路感染症の原因となる大腸菌の中には抗生物質を分解してしまうESBL産生菌もあり、やはり治療の選択が難しくなっています。加えて、性感染症については梅毒の大流行も問題です。しっかりと見つけて治療し、感染拡大を防ぎたいですね。性感染症も他科だと見逃されるケースがあり、泌尿器科医として力になれるとうれしいです。新型コロナウイルス感染症やインフルエンザ、肺炎などの治療にも携わってきたので、内科的な観点からもアプローチできると思っています。
じっくりと時間をかけて患者の「困った」を探る
恥ずかしいからと泌尿器科の受診を控えてしまう人も少なくありませんよね。

泌尿器科の疾患に罹患したからといって、咳をするわけでもありませんし、顔が赤くなるわけでもないので、周囲からは病気だとわかりませんよね。尿道炎だろうと、性感染症だろうと、患者さんは本当に勇気を持って受診されているんだと思います。そのため予防をせずに性感染症に罹患していたとしても、決して患者さんをとがめることはありませんから安心してください。受診いただいた際にはじっくりと時間をかけてお話を聞き、患者さんが一番つらい部分がどこなのかを理解することが一番大切だと思っています。男性の患者さんの場合は看護師を入れずに私だけで診察をしますし、逆に女性の場合には必ず看護師に入ってもらって診察をするなど、できる限り恥ずかしくないように配慮しています。
どのような症状があれば泌尿器科を受診したほうが良いでしょうか?
疾患にもよりますが、排尿時の違和感や痛みですね。膀胱炎や腎盂腎炎が見つかる可能性があります。また血尿が出たときはすぐに受診すること。何らかの病気が見つかるケースが多いので、放置せずに受診しましょう。命に関わる病気はがんだけではなく、性感染症の淋病は全身に細菌が感染し敗血症になることもあります。また、梅毒も放置していると心臓など全身に感染し認知症のリスクを高めるほか、梅毒由来の動脈瘤で亡くなることもゼロではありません。泌尿器科の病気も早期発見、早期治療が肝心なので、受け皿を広くしています。なお、当院には患者さんを隔離できる「発熱室」がありますので、感染症による発熱が疑われる方も安心してご来院ください。
最後に今後の展望を含めて読者の皆さんにメッセージをお願いします。

開業したばかりですから、皆さんに名前を覚えてもらって、ちょっとした疾患でも相談に来てもらえるようなクリニックにしたいですね。そのためにはクリニックでできることを増やしていかなければなりません。膀胱がんの治療や前立腺がんのホルモン治療などは実施できる体制にありますし、基幹病院との橋渡し役として機能していくことが大切だと思っています。泌尿器科を受診したくても、恥ずかしくてクリニックに行きたくないという人は少なくありません。スタッフはもちろんクリニックの印象を含め、患者さんが恥ずかしくないような雰囲気づくりにも取り組んでいきますので、排尿や陰部についての悩みがあるときには気軽にご相談ください。

