坂井 伸彰 院長の独自取材記事
福岡ペインケアクリニック
(福岡市博多区/中洲川端駅)
最終更新日:2026/01/14
福岡市地下鉄空港線・中洲川端駅から徒歩1分、ビルの7階にある「福岡ペインケアクリニック」は、2025年4月に開院した痛みの治療に特化したクリニックだ。院長の坂井伸彰先生は、循環器内科でカテーテル治療の経験を積んだ後、痛み治療の分野へと進んだドクター。温かみのある色合いの壁紙や観葉植物が配された院内は、病院らしさが抑えられた落ち着いた空間となっている。これまで痛みの症状が改善しなかった患者にとっての最後の砦となることをめざし、坂井院長は一人ひとりの痛みに真摯に向き合っている。「痛みで悩んでいる人に笑顔を取り戻してほしい」と穏やかな口調で丁寧に語る姿が印象的な坂井院長に、診療にかける思いや開業の経緯について聞いた。
(取材日2025年12月24日)
患者の笑顔に感動し、痛みに対する治療を広める道へ
先生が医師になったのはお父さまの影響もあったそうですね。

父は救急の医師をしていて、夜中でも食事中でも呼び出しがあればすぐに病院へと駆け出していきました。私はそんな父の背中を見ながら育ちました。人の役に立つ仕事に一生懸命に向き合う姿は、幼い私の目にはとても眩しく映っていたのを覚えています。父から直接「医師とはこうあるべきだ」と教わったことはありませんでしたが、母がよく「お父さんは人助けをしているのよ」と話してくれていたこともあり、小さい頃からぼんやりと「すごい仕事なんだろうな」と思っていました。そして医師になって3年目、父が長崎で開業しているクリニックで一緒に働く機会があり、そこで初めて父がどんな仕事をしているのかを目の当たりにしたんです。26歳にしてようやく父のやっていることの「すごさ」を実感し、自分もこの道を歩んでいこうと改めて心に決めました。
循環器をご専門としていたところ、痛み治療の道へ進まれたそうですね。
はい。もともとは心臓や脚の血管など全身のカテーテル治療を専門としていました。そんな中、オクノクリニックというカテーテル治療で痛みの改善を図ることに特化したクリニックの診療を診る機会がありました。オクノクリニックに見学に行き、外来で多くの患者さんが喜んでいる姿を見ました。患者さんがこれまで悩まされてきた痛みに、さまざまな治療でアプローチする光景を見て大きく心を動かされ、これは痛み治療の常識を変えるものだと実感しました。それから数年は循環器の仕事を続けていましたが、3年前に痛みに対する治療の道へ進もうと振りきる決断をしたのです。過去に治療を受けて改善しなかった方も改善が期待できるかもしれないと、治療する側の私も今なお感動を覚えることがあります。
福岡で開業された理由をお聞かせいただけますか。

痛みの治療を九州に広めるには、人口の多い福岡が適していると思ったからです。痛みに対する治療の専門家のもとで2年間修行し、その後、独立して地元に技術を持ち帰ろうと考えました。最初は長崎を検討したのですが、今となっては、やはりより多くの方に届けられる福岡に決めて良かったと感じています。当院は、長崎で両親と兄が経営しているながさきハートクリニックが母体となっていまして、私が「福岡でもやりたい」と相談したところ、家族の後押しもあって開業に踏みきることができました。今も月曜と火曜は長崎で診療を行い、水曜から土曜は福岡で患者さんを診ています。2つの拠点を行き来しながら、痛みで困っている方々のお役に立てればと日々取り組んでいます。
長引く痛みに悩む人の「最後の砦」として
どのような患者さんが来院されていますか。

40~60代前後の方が多く、四十肩・五十肩、膝の痛み、腰の痛みといった症状が目立ちます。皆さんに共通しているのは、数年間痛みが続いていて、整形外科や接骨院などでいろいろな手段を試しても改善しなかったということ。ほとんどの方がインターネットで情報を探して当院にたどり着かれています。痛みの相談を受ける中で私がお伝えしているのは、「動き出しが痛い」「押したら痛い」「夜にうずく」という3つの特徴がある場合、炎症血管が原因の可能性が高いということです。当院では、炎症血管からくる痛みの治療に特化していますので、当てはまる患者さまはぜひ一度ご相談ください。
診療で大切にされていることを教えてください。
患者さんと向き合う時間を何より大切にしています。当院ではAIでカルテの書き起こしをしているので、私はほとんどパソコンを見ることなく、患者さんの目を見ながらお話を聞くことができるんです。「それは痛いですね」「つらかったですね」と寄り添いながら会話を重ねることで、患者さんも安心して、症状を話しやすくなると思います。来院される方は症状に関することを事前によく調べている方が多いので、最初の会話でどれくらい理解されているかを確認しながら説明を進めるようにしています。また、院内の雰囲気づくりにもこだわりました。いわゆる「医療機関」という印象にならないよう、温かみのある色合いや間接照明を取り入れ、観葉植物を置いたり木目調の床にしたりと、落ち着ける空間になるよう心がけています。痛みを抱えて不安な気持ちで来られる方に、少しでもリラックスしていただければうれしいですね。
痛みの改善が難しいケースではどのような対応を行っていますか?

当院は、ずっと痛みに悩んでいた方が来る場所です。だからこそ、何かしら対処ができるよう、さまざまな引き出しを持つようにしています。例えば、鉄分が不足していると痛みに敏感になりやすいため、栄養面のアドバイスを行うこともあります。一方で、ヘルニアや脊柱管狭窄症など神経の圧迫が原因の場合は、適切な医療機関をご紹介しています。患者さんにとって、当院でできる最善の道を一緒に探すのが私の役目だと思っているので、治療だけでなく「患者さんの悩みの解消につながる手段はないか」を多角的に考えることを大切にしています。
諦めないで。痛みの相談はいつでも気軽に
印象に残っている患者さんのエピソードはありますか。

最も印象に残っているのは、2年前に出会った水泳を行っている10代の患者さんです。片足を切断されていたのですが、残った足にも負担がかかりすぎて激しい痛みに苦しんでいました。いくつもの整形外科や大学病院を受診しても改善せず、「もう片方の足も切断するしかないのでは」という話まで出ていたそうです。そんな状況で、私のもとへ来てくださいました。患者さんはその後も水泳を続けられ、大会で活躍しております。当院の診療でも、たくさんの患者さんに寄り添い、患者さんが抱えている痛みの緩和をめざして診療を続けていきたいですね。
今後、クリニックをどのような存在にしていきたいですか。
将来的に「痛みで困ったらここに来れば大丈夫」と思っていただけるような、痛みの集約センターのような存在にしていきたいと考えています。麻酔科、整形外科、循環器、放射線科の知識を持った医師や理学療法士など、さまざまな専門家が集まる場所を作りたいんです。「ペインケア」という言葉は海外では一般的な概念ですが、日本ではまだ浸透していません。日本では痛みがあると整形外科、接骨院と別々の場所に行くのが当たり前になっていますが、海外には痛みに関する専門知識が集約された場所があるそうです。当院の名前に「ペインケア」とつけたのも、治療だけでなく栄養に関するアドバイスや気持ちの面も含めた総合的なケアを提供したいという思いからです。現在は少人数体制ですが、今後仲間を増やしながら痛みの総合クリニックを実現していきたいと思っています。
最後に、痛みで悩んでいる方へメッセージをお願いします。

痛みがある状態が続き、落ち込んでいる方は多いと思います。でも、諦めないでほしいです。私がこのクリニックを開いたのは、「痛みで悩んでいる人に笑顔を取り戻してほしい」という思いがあったからです。痛みを抱えて来院された方が、笑顔で帰っていく瞬間が私にとって最大のやりがいであり、この道を切り開いていく原動力になっています。当院では痛みに関することなら何でもご相談をお受けしていますし、お話を聞いた上で何かしらの解決策や治療をご提案できると思っています。四十肩や膝の痛みはもちろん、片頭痛などにも対応していますので、ぜひお気軽にご相談ください。

