正しい知識を身につけることが
口腔の健康を守ることにつながる
町屋さくら歯科・矯正歯科
(荒川区/町屋駅)
最終更新日:2025/06/06


- 保険診療
80歳になっても20本以上自分の歯を残そうという「8020(ハチマルニイマル)運動」を、日本歯科医師会と当時の厚生省が提唱したのは1989年のこと。月日が流れ、歯の健康へ人々の意識が向くにつれて、虫歯や歯周病などの口腔疾患を未然に防ぐ予防歯科の認知も広がってきた。2025年6月2日に新規開業する「町屋さくら歯科・矯正歯科」は、予防歯科に力を入れる医療法人さくら会の分院だ。同院の黒潮武寿(くろしお・たけひさ)先生は、予防歯科では、患者が自身の口腔状態を正しく把握し、必要な知識を身につけていくことが大切だと語る。今後さらにニーズが高まるであろう予防歯科について、同院の取り組みや重視するポイントなどを聞いた。
(取材日2025年5月22日)
目次
予防歯科の基本は、定期的な通院と日々のホームケア。歯科医院で正しいケアの知識を蓄えよう
- Q歯のお手入れを怠ると、どのようなデメリットがありますか?
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A
▲毎日のこまめな口腔ケアが全身の健康をつくるために重要になる
悪化した虫歯の治療は、強い痛みを伴うことが多いです。歯の神経を抜かなければいけない場合、痛みもさらに増しますし、治療期間も伸びます。私自身歯科医院が苦手なので患者さんの気持ちがとてもよくわかるのですが、痛い思いをしないためにも、日々の手入れはしっかりやっていただきたいですね。また、お口の健康を守ることは健康寿命を延ばすことにつながるといわれています。例えば、歯周病は脳梗塞や心筋梗塞、糖尿病といった全身疾患と密接な関わりがあります。また近年、口腔状態の悪化が認知症の発生リスクを高める一要因となることもわかってきました。毎日の口腔ケアが、数十年後の健康をつくるといっても過言ではありません。
- Q予防歯科において重視していることを教えてください。
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A
▲治療前にこまやかに口腔内を検査する
予防歯科の第一歩は、患者さんがご自身の口腔状態を正しく認識することから始まると考えています。そのため当院では、まず初めに歯科用CTや口腔スキャナー、マイクロスコープを用いて口腔内を細かく調べ、検査結果を画像やCGで可視化して患者さんに共有します。お口の状態を実際に目にして、患者さんのお手入れへの意識が高まることも考えられます。そこから患者さん一人ひとりの口腔状態に合わせた治療やメンテナンスがスタートします。健康な歯には日々のケアが欠かせませんが、正しいケアを行うには正しい知識が必要です。クリニックをただ治療する場所でなく、患者さんがお手入れに関する正しい知識を蓄える場にできたらと考えています。
- Qこちらではどのようなフローで予防歯科を進めていくのですか?
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A
▲3ヵ月に1回の定期検診を推奨している
口腔内の検査をした後、虫歯など治療が必要な症状があれば、まずそちらの治療を行います。特に治療が必要ない場合は、メンテナンスが主となります。定期検診の頻度は患者さんによりますが、何か症状が出た時に手遅れになってしまう恐れがあるので、3ヵ月に1回は来ていただきたいですね。また、何のために通っているのか、患者さんの目的意識がはっきりするよう、定期検診では毎回口腔状態を細かく共有するよう努めていきます。クリーニングでは、スケーリングやエアフロ―など、患者さんの口腔状態に合わせて種類を使い分けます。きれいにするのはもちろんですが、汚れがつきにくい歯の状態に持っていくことを重視しています。
- Q虫歯のなりやすさに、歯並びは関係あるのでしょうか。
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A
▲歯列矯正はきれいな歯並びだけでなく虫歯予防にもつながっている
そうですね。正しい噛み合わせや歯並びは、お手入れのしやすさにつながっていきます。歯磨きしやすい歯列だと、おのずと磨き残しが減るので、虫歯になりにくいといえるでしょう。予防歯科を突き詰めると、最終的にたどり着くのは歯列矯正だともいわれています。歯列矯正はどうしても見た目の美しさに意識が向きがちですが、正しい咬合と歯並びをつくりお口の健康を守るという、予防歯科的な側面も大きいんですよ。正しい噛み合わせが口全体の寿命につながるという知識は、まだまだ浸透していないように思います。ですので、予防歯科の診療の際には、必ず歯列との関係性をお話しするようにしています。
- Q子どもの場合、何歳ぐらいから予防歯科を意識すべきですか?
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A
▲小さな不安を感じたら気軽に相談をしてほしいと話す黒潮先生
お子さんの歯が生え始める生後半年頃から、意識していただけたらと思います。当院では小児の予防歯科の場合、歯の健康と同時に、顎周辺の口腔機能の発育チェックも行っています。いわゆる受け口や、食事や会話をしていない時にも口が開いてしまう「ぽかん口」は、適切なトレーニングや処置で防ぐことが可能です。また、先ほどお話ししたように、予防歯科の観点から小児矯正をお勧めするケースも多いですね。大人になってからも矯正はできますが、歯が動かしづらい、抜歯が必要、噛み合わせに慣れないなど、さまざまな弊害が出る可能性があります。小さい頃から噛み合わせを整えていくことが、成長後のお口の健康にもつながります。
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。