黒潮 武寿 先生の独自取材記事
町屋さくら歯科・矯正歯科
(荒川区/町屋駅)
最終更新日:2025/06/06

東京メトロ千代田線の町屋駅3番出口から歩いて約1分。駅から程近く、大通りに面したアクセス抜群の立地にある「町屋さくら歯科・矯正歯科」は、2025年6月2日開業の歯科医院だ。愛知県を拠点とする医療法人さくら会の分院の一つである同院は、グループの共通テーマである予防歯科をはじめ、歯列矯正や根管治療、インプラント治療など、幅広い治療を行うという。ただ痛いところを治して終わりではなく、患者が一緒に学べるような歯科医院にしたいと語るのは、同院の黒潮武寿(くろしお・たけひさ)先生だ。口の健康はそのまま健康寿命に直結すると話す黒潮先生に、予防歯科の重要性や診療モットー、同院の今後の展望などを聞いた。
(取材日2025年5月22日)
充実の設備で、子どもから高齢者まで幅広い疾患に対応
清潔感のある、明るい雰囲気がすてきですね。内装や院内設備のポイントを教えてください。

患者さんの待ち時間を減らせるよう、5台のユニットを稼働させる予定です。プライバシーに配慮して、各ユニットは半個室のように仕切っています。完全個室もあるので、治療内容や患者さんの状態に応じて使い分けていきたいですね。また、幅広い治療に対応できるよう、歯科用CTやマイクロスコープの導入など、院内設備の充実にも注力しました。マイクロスコープは根管治療をメインに活用する予定ですが、細部まで見えることが治療においては重要ですので、一般的な形成治療や虫歯治療など、使えるものには積極的に導入しようと考えています。また感染症対策として、検査や治療に使用する器具は、高圧蒸気滅菌や超音波洗浄、過酸化水素滅菌などを用いて徹底的に滅菌しています。ですので、安心して来院していただきたいですね。
エントランス近くにある広々としたキッズルームも印象的です。
キッズルームは、待合室から中の様子がうかがえるよう、ガラス張りになっています。キッズルーム以外にも、お子さん連れの方が通いやすいようなさまざまな取り組みを行っています。例えば、診療スペースに複数台のTVモニターを設置しているのですが、治療中のあおむけになった状態でも見られるよう、天井にも設置しているんですよ。また、治療後に回せるカプセルトイも導入予定です。カプセルトイはさくら会のほかの分院ですでに導入しているのですが、お子さんからは結構好評なんです。歯科医院が苦手なお子さんは多いので、少しでも通院の楽しみを増やせたらいいなと思います。あとは当院ならではの特徴として、マスコットロボットの存在があります。「さくら」という名前の自律型のロボットが院内でちょこちょこ動いているので、通院の合間の癒やしとしてかわいがっていただけたらうれしいです。
先生が子どもを診療する際に心がけていることは何ですか?

私もまだ試行錯誤している部分も多いのですが、まずは治療を早く終わらせることを心がけています。お子さんの我慢の限界が来たと感じたら、薬を塗ってすぐに治療を切り上げる。今は治療の材料も昔に比べて格段に進歩していますから、短時間で済ませることができます。幼い頃のトラウマから歯科医院嫌いになり、症状がひどくなってからやっと来院するという患者さんも少なくありません。お子さんの歯科治療は、その子が大人になってからどう歯の健康を向き合うかという、その後の人生に関わる責任あるものだと認識しています。ですので少しでもトラウマにならないように、なるべく痛い思いをさせずに帰してあげるということは常に意識していますね。
コミュニケーションを軸に、本当にためになる医療を
先生が歯科医師を志したきっかけをお聞かせください。

昔から手先を使う細かな作業が好きでしたが、特に歯科医師を志していたわけではありませんでした。やりたいこともなく過ごしていた頃、歯科医師で開業医である父から「将来医院を継がないか?」と声かけられたのがきっかけです。最初は少しやってみようかという軽い気持ちでしたが、勉強を重ねるうちに、歯科の世界の面白さのめり込んでいきました。歯科医療は正解があるようでなく、歯科医師によって治療への考え方やアプローチの方法が異なります。特に私の専門分野である根管治療は、絶対的な判断基準というものがまだ確立されておらず、自ら取捨選択して治療を行っていかなければなりません。どういった方法が自分に合っているのか、どのような治療をめざしていくべきか、模索しながら進む過程は非常に研究のしがいがありますね。これからも勉強を続け、さまざまな知識や技術を身につけていきたいです。
先生が診療の際に大切にしていることを教えてください。
思い込みを捨て、症状の「原因」に着目して考えること、そして患者さんとのコミュニケーションを大切にすることです。特に後者に関して、歯科医師のめざす治療のゴールと患者さんがめざすゴールは、必ずしも一致しません。こちらが良いと思っていても、患者さんが望まない治療であれば、それはこちらのエゴになってしまいます。歯科医師の意見を押しつけるのではなく、患者さんとゴールの擦り合わせを行い、共通の目標に向かって一緒に治療を行っていくことが重要だと考えています。抽象的な表現になってしまいますが、本当に患者さんのためになる治療をしたいという思いは強く持っていますね。10年後、20年後の生活を考えた際に最良となる治療を、患者さんに納得していただいた上で行いたいと考えています。そのためにはやはり、丁寧なコミュニケーションが欠かせません。
今後クリニックで力を入れていきたい治療は何でしょうか?

特定の治療に力を入れるのではなく、すべての治療を原因療法につなげることを目標としています。原因療法とは、症状を一時的に取り除くものではなく、根本的な原因にアプローチし、完治をめざす治療方法です。歯科医院は痛くなってから来院される患者さんが多いですが、痛い部分を取り除いて終わりではなく、なぜその症状が起こったのかという「原因」を患者さん自身が認識することが大切だと考えています。原因がわかれば、症状の発生を抑えることができますよね。歯の健康は、毎日のお手入れなど患者さんの日常の行動に大きく依存します。ただ治療するだけの場所でなく、患者さんも一緒に学べるようなクリニックにしていきたいですね。
治療だけでなく、患者も一緒に学べる歯科医院にしたい
予防歯科に注力されるそうですが、その重要性を教えてください。

健康の基本は適切な栄養を取ることで、それは食べることから始まります。そう考えると、健康な口腔状態でいることが、そのまま健康寿命につながっていくといえるでしょう。近年、糖尿病などのいわゆる生活習慣病とお口の健康は相互関係にあることがわかってきました。口腔状態の悪化が認知症の一要因となることも知られてきています。健康寿命を延ばすためにも、お口の健康を守る予防歯科は重要です。意外に思われるかもしれませんが、予防歯科と歯列矯正は密接な関わりがあります。正しい噛み合わせや歯並びは、毎日のケアのしやすさに直結します。矯正はどうしても審美的な面に意識が向きがちですが、一番の目的は予防歯科の観点から、正しい咬合・歯列をつくることなのです。そういった知識も、少しずつ広めていけたらと思います。
歯の健康を守るために大切なことはどんなことでしょうか。
まずはご自身の口の中の状態を正確に把握することが大切かと思います。当院では、歯科用CTや口腔内スキャナーで患者さんのお口の中を隅々まで撮影して共有し、どういう状況なのか知っていただくことから始めています。歯科医師がお手伝いできるのはクリニックの中だけで、日々の生活で歯の健康を守るのは、患者さんご自身です。口腔状況を正しく理解することで、それに合わせた正しいケアの知識や方法を学べ、実践できます。些細な疑問にもお答えしますので、歯の健康について勉強する場所としても当院を活用していただきたいですね。
今後の展望や読者へのメッセージをお聞かせください。

お子さんから高齢の方まで、どんな方でも来られるような、間口の広い歯科医院にできたらと考えています。キッズスペースも充実しているので、子育て世代の方がご家族で通えるクリニックになったらうれしいですね。また、現代はSNSが発達しさまざまな情報が仕入れやすくなった分、間違った情報も多く紛れ込んでいます。ちょっとした疑問や、情報の正誤の確認にいらしてもらえるだけでも構いません。ふらっと来られるような、地域のかかりつけ歯科医院になれるよう、スタッフ一同頑張っていきたいと考えています。
自由診療費用の目安
自由診療とは矯正/80万円~、インプラント治療/35万1000円~42万4000円
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。