長引く咳で困っているなら
呼吸器内科を早めに受診して
医療法人福耳会 烏丸今出川みずたに呼吸器内科・外科クリニック
(京都市上京区/今出川駅)
最終更新日:2025/11/12
- 保険診療
風邪にかかった後、咳だけが長引いている。ほかの症状はないのに、咳が続いて生活に影響している。そんなとき、手っ取り早く咳だけを鎮めたいと咳止め薬を飲もうと考える人も少なくないのではないか。「烏丸今出川みずたに呼吸器内科・外科クリニック」の水谷尚雄院長は、咳止め薬はあくまでも対症療法であり、原因に合わせた治療が必要だと考えている。そのため、患者への負担が少なく、原因をしっかりと見極めるための先進機器を導入。漢方薬を取り入れるなど、症状に合わせた治療方法を提案している。「余計な薬は使用しない」を念頭に診療にあたる水谷院長に、長引く咳の原因や受診の目安、検査・治療について聞いた。
(取材日2025年10月23日)
目次
咳が1週間以上続いているなら受診の検討を。先進の検査機器を活用し、原因に合わせた治療を提案
- Q長引く咳の原因は何でしょうか?
-
A
▲長引く咳には別の疾患が潜んでいることも
風邪やインフルエンザなどの感染症にかかった後、症状は治まったのに咳だけが続くということがよくあります。ウイルスによって気管支に炎症を起こすと、修復されるまでの間は咳が出やすい状態が続きます。最初は咳が出ていなかったのに、熱が下がってから咳が続くという場合もあります。「感染後咳嗽(がいそう)」といい、長引く咳の多くは感染症が原因です。さらに長引くようなら、咳喘息や肺の病気、アトピー咳嗽といわれるアレルギーの咳などの可能性も出てきます。
- Qどのくらい咳が続けば呼吸器内科に相談すべきですか?
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A
▲長引く咳で困っている人は、一度相談を
医学的には、3週間以上続けば「遷延性咳嗽」、2ヵ月を超えると「慢性咳嗽」と診断されます。放置していると肺の病気が隠れていたり、喘息を起こしているなら治療が遅れると治りにくくなったりします。咳をしすぎて肋骨が折れることは若い方でもありますし、咳による体力の消耗は生活の質の低下を招きます。風邪は治ったのに咳だけが続いていれば、不安になるはず。1週間ほど様子を見て咳が続いていれば受診の目安に、3週間がたっていれば必ず受診していただきたいですね。
- Qこちらのクリニックではどんな検査をするのですか?
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A
▲原因を見極めるため、各種検査に対応している
呼吸抵抗といって気管支の通りやすさを調べたり、呼気一酸化窒素濃度測定装置で喘息の炎症が起こっていないかを見たりします。血液検査では、白血球数やCRPと呼ばれるタンパク質の量を測定。特に高齢者ではウイルスの感染症にかかった後、弱ったところに別の細菌が炎症を起こして亡くなる方が多くいます。感染が終わって咳だけ続いているのか、別の感染が起こっているのかを見分けるための検査です。ほかに、CTやエックス線で肺の病気がないかを調べ、早くしっかりと原因を見極めることを重視しています。
- Q検査機器が充実していますね。
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A
▲一通りの検査を行い当日中に結果がわかる
呼吸抵抗の測定には肺活量検査が一般的ですが、調子が悪いのに吸ったり吐いたりしなければならず、患者さんへの負担が大きいのが難点。当院では、くわえるだけで測定できる機器を採用しています。CT検査は座ったまま撮影でき、被ばく量が少ないものを導入。呼気一酸化窒素濃度測定装置は、喘息か否かを判断することに有用です。喘息でなければステロイドの吸入は必要ないので、余分な薬の使用を避けられることがメリットです。また、血液検査も10分ほどで数値が出るので、一通りの検査を行い当日中に結果をお伝えすることが可能です。
- Q長引く咳には、どんな治療をするのですか?
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A
▲同法人内の耳鼻咽喉科と連携を図る
原因をしっかりと調べて、症状に合わせた治療をすることが当院のモットー。従来から使われている咳止めは脳の咳中枢に作用するものも多く、いわゆる対症療法です。原因そのものを抑えるわけではなく、眠気や便秘などの副作用もあるため、できる限り使用しない治療をご提案しています。その一つとして、漢方薬を積極的に活用。種類が豊富であり、これまでの経験を生かした選択をしています。また、副鼻腔炎が咳の原因になることがあるので、同法人内の耳鼻咽喉科と連携を図り、必要であれば速やかに紹介しています。

