水谷 尚雄 院長の独自取材記事
【2025年8月開院予定】医療法人福耳会 烏丸今出川みずたに呼吸器内科・外科クリニック
(京都市上京区/今出川駅)
最終更新日:2025/05/26

【2025年8月開院予定】※開院前の情報につき、掲載情報が変更になる場合があります。
今出川駅から徒歩3分。2025年8月に開業予定の「烏丸今出川みずたに呼吸器内科・外科クリニック」の院長を務める水谷尚雄先生は、呼吸器外科・呼吸器内科の両科からさまざまな呼吸器疾患を診てきたドクターだ。「新しいクリニックでは病気だけを診るのではなく、病気の予防から未病や日常の体調不良にも向き合うプライマリケアを行う呼吸器内科医として患者がより良く暮らすことをめざしていきたい」と話す。長引く咳や呼吸器疾患はもちろん、生活習慣病やけがの処置にも対応していくという。「自分が培ってきた知識や経験を存分に発揮し、患者さんや地域の人々のために生かしていきたい」と語る水谷院長に、同院の特徴や今後の抱負について話を聞いた。
(取材日2025年5月9日)
心も身体も満たされるような「健康づくり」をサポート
新しく開業されるクリニックのコンセプトをお聞かせください。
当院がめざすのは、「皆さまの健康づくりのお役に立てるクリニック」です。もちろん病気を治療することがメインですが、禁煙や健診などの予防や、肩凝りなど埋もれてしまいがちな日常の不調まで、丁寧に向きあっていきたいと思っています。1948年に発効されたWHO憲章では「健康とは、病気でないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあること」とあります。つまり、「健康」かどうかは患者さんご自身が感じるもの、決めるものであることを肝に銘じて診療していきます。人生100年時代といわれる中で、地域の方々が心から健康を感じられるよう、予防や身体のメンテナンスにまで目を向けた医療を提供していきたいと思っています。
そういったコンセプトに至ったのには、何かきっかけがあったのですか?
私はこれまで呼吸器外科と呼吸器内科の両方の診療に携わってきました。多くの患者さんを診療する中で感じたのは「本当の医療って何だろう?」ということです。例えば、昔は肺がんの手術はろっ骨を切る開胸手術だったので、術後の合併症として肋間神経痛で悩まれる患者さんが少なくありませんでした。当時は「仕方ないもの」と考えていましたが、肺がんという病気は治療できても、痛みが患者さんの仕事や生活に与える影響にもっと向きあうべきだったと感じています。また、医師が行う診療以外にも、鍼灸や整体などに通う方がたくさんおられたり、例えば、好きな音楽やアートに触れて元気をもらうことがあるように、手術やお薬だけが患者さんの健康につながるものではないとも感じています。そのような経験から、病気を治すだけでなく、患者さんの「健康」のために一人ひとりに寄り添って一緒に解決方法を探っていく診療をしたくて開業することにしたのです。
呼吸器の外科と内科、両方のご経験があるのは珍しいですね。
呼吸器外科医として最初に赴任した赤穂中央病院の院長に「呼吸器の診療は、外科と内科と区別せずに診るように」と指導され、呼吸器内科についても診療するようになりました。今でこそ臓器別の診療は一般的になりましたが、当時ではずいぶんと珍しいことでした。おかげで知見は広まり、日本呼吸器外科学会呼吸器外科専門医に加えて、日本呼吸器学会呼吸器専門医の外科・内科の両方の専門医資格を有することができました。その経験から姫路赤十字病院では呼吸器センターの立ち上げにも力を尽くし、初代センター長も務めました。診断・治療から緩和治療まで一貫した診療を経験してきたので、疾患に対する多様なアプローチ法を知っていることは私の強みです。その強みを生かして、肺にやさしい治療をめざしていきます。
呼吸器内科と耳鼻咽喉科が連携し総合的に診療
具体的にはどのような病気を診てもらえるのですか?
新型コロナウイルス感染症以降は時に長引く咳で受診される方が多いです。気管支喘息、タバコによる肺疾患など呼吸器疾患には高い専門性を持って診療を行いますが、かぜ、インフルエンザ、COVID-19などの発熱時の外来、肺マック症などの感染症の診療も行います。実は呼吸器診療を専門としていると、喫煙や睡眠時無呼吸の方に多い肥満の影響から、高血圧や脂質異常などの生活習慣病をお持ちの方がたくさんおられるので、それらの一般内科の診察も併せて行えます。もちろん、外科の経験から、けがの処置にも対応できます。気になる体調の変化があれば、かかりつけ医としてまずは気軽にご相談いただければと思います。
耳鼻咽喉科との連携にも注力されるそうですね。
呼吸して取り込んだ空気は、鼻や喉から気管を通って肺に届きます。この空気の通り道のことを気道=Airwayといいます。医学では「One airway, One disease(疾患)」という言葉があり、鼻から肺までを一つの臓器と考えて、総合的な診療にあたることが大切とされています。もともと気管支喘息の方はアレルギー性鼻炎や副鼻腔炎をお持ちの方も多いのですが、耳鼻咽喉科の指定難病の好酸球性副鼻腔炎が合併していることもあります。しばしば呼吸器内科で診療する病気が、耳鼻咽喉科が診療する病気と深く関係しています。同じ医療法人福耳会が運営する耳鼻咽喉科が、当院から交通の便も良い出町柳と京都駅エリアに2院あるので、迅速かつ密な連携をスムーズに提供していけるでしょう。
診療では漢方も取り入れるそうですね。
患者さんにとって良いものであれば、西洋医学だけではなく東洋医学や伝統医学の知見も取り入れて、総合的に診療するというのが当院の方針です。漢方薬は風邪や長引く咳の治療において昔から親しまれていますが、増加している難治性の肺マック症などの慢性疾患での体力消耗や免疫低下予防にも役立つとされています。漢方は、皆さんが本来お持ちの「治る力」も引き出すイメージで活用しています。
先進の検査を導入し、肺に優しい治療をめざす
高精度な先進検査機器を数多く導入されるそうですね。
伝統医学に偏見はありませんが、診断学は年々進歩しているので、検査に関しては先進機器を活用します。精密な検査でお体の状態を適切に把握して、余計なお薬や治療をかけない分、肺や体に負担が少ない優しい診療ができると考えています。例えば、CTは被ばく量の少ないコーンビームCTを採用しています。一般的なCTは寝転んで撮影しますが、当院のCTは座ったまま撮影できます。それにより重力の肺への影響を少なくし、自然な肺の状態が観察できます。また肺機能検査は息を大きく強く吐くため、呼吸が悪い時はつらい検査ですが、普段の呼吸のままで呼吸抵抗が測れる機器も採用しました。咳喘息の診断にかかせない呼気一酸化窒素(NO)測定装置も備えています。いずれの検査も結果はその日にご説明しますし、これほどの機器をそろえたクリニックは数少ないと思います。
受診のしやすさについてもさまざま工夫されていると伺いました。
地域の健康づくりを支えるには、学生さんやお仕事がある方など、忙しい人にも受診しやすい環境を整えることが大切だと考えました。朝は出勤前の8時からお昼休みの13時まで診療を行い、再診の方や禁煙の外来や睡眠時無呼吸症候群の方にはオンライン診療でも対応していく予定です。また、呼吸器の診察に聴診は重要ですが、服を脱ぐことは誰しも抵抗があるでしょう。当院では衣服の上からでも心音や呼吸音を聞ける電子聴診器を使用します。スピーカーと接続して、患者さんご自身にも聴いていただけます。診察室にはカルテ入力の補助を行うシュライバーというスタッフを配置しますので、医師は患者さんに向き合い、パソコンのカルテしか見ないといったこともありません。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

当院のロゴは、私が尊敬し大きな影響を受けた医師であり作家など多方面でご活躍の稲葉俊郎先生に作成いただいたものです。そこに描かれているように、地域の人々を「生き生き」と輝かせることが私たちの役割だと思っています。今後は禁煙教室や東洋医学のセルフケアに関するイベントなどを通して、開かれたクリニックとして、さらに地域の方々と交流していきたいですね。咳は内科に来られる方で最もよくある症状の一つですが、大きな病気が隠れていることもあります。原因をしっかり調べるには専門のクリニックでないと難しい面もありますから、3週間以上続く時や他院にかかっているけどすっきり治らないといった時には、早めにご相談ください。