松村 和哉 院長の独自取材記事
ピースこどもクリニック
(大和市/中央林間駅)
最終更新日:2025/06/12

子どもと親、それぞれの話をよく聞き、気持ちに寄り添うことを大切にする「ピースこどもクリニック」。小田急線・中央林間駅から徒歩1分という好アクセスの地に、2025年5月に開業した小児科クリニックだ。院内に一歩足を踏み入れると、パステルカラーを基調とした優しいデザインの空間が広がるため、訪れる親子の緊張の緩和につながるだろう。院長を務める松村和哉先生は、研修医時代に子どもたちの笑顔に魅了されたことをきっかけに、小児科医の道を選んだという。現在は開業医として、地域の子どもたちの健康を守るために日々の診療に取り組む松村院長に、医師としての歩みや診療への思い、そして今後の展望について話を聞いた。
(取材日2025年5月21日)
父の助言をきっかけに、人の役に立つために医師の道へ
まずは、松村院長が医師をめざしたきっかけを教えてください。

もともとは父が会社を経営していたので、漠然と「将来は会社を継ぐのかな」と考えていました。ところが高校生の頃、父の会社を継承するために必要な分野である物理がまったくできませんでした(笑)。一方生物学には興味があったことから、高校では化学と生物学を専攻することに。その時の選択によって父の会社を継承するのは難しくなりましたが、父から「広い意味では医学も生物学だよね」というアドバイスをもらい、医師という選択肢に興味を持ちました。もともと人のために役に立ちたいという思いもあったので、関心のある生物学を学べるのに加えて、人の役にも立てる医師に魅力を感じましたね。
小児科医になろうと思ったきっかけは何だったのでしょうか?
学生時代は脳神経外科に興味を持っていました。しかし、研修医としてさまざまな診療科を回る中で、小児科の診療に携わった経験が転機となりました。子どもたちはとても正直で、具合が悪いときはぐったりしたり不機嫌だったりしますが、回復してくると、途端にニコニコと笑って元気いっぱいになります。来院時には不安そうだった親御さんも、子どもが元気を取り戻すと、表情がぱっと明るくなり、自然と笑顔がこぼれる。そんな親子の表情の変化をすぐそばで見守れる小児科医に魅力を感じ、「自分もこうした場に関わりたい」と思うようになりました。
開業しようと思われた経緯をお聞かせください。

「医師人生は一度きりだから、いろいろな経験をしてみたい」、そんな思いを胸にこれまで約20年間病院勤務を続けてきました。病院では多くの症例と向き合い、チーム医療の中で貴重な経験を積むことができましたが、一方で「もっとじっくり一人ひとりの患者さんと向き合いたい」という思いも次第に強くなっていきました。ちょうど医師人生の折り返し地点とも言える時期に差しかかったとき、この先はより患者さんとの距離が近く、柔軟な診療体制をつくれる環境で医療を続けたいと考えるようになり、開業を決意しました。急な体調変化にもできるかぎり対応し、必要なときにしっかり時間をかけて診ることができる。それが開業医ならではの強みだと思っています。今後はこの場所で、小児科医として地域の子どもたちとご家族をしっかり支えていけたらと思っています。
小児科全般に加えて、腎臓疾患の専門的な診療も可能
診療時に大切にされていることはありますか?

限られた診療時間の中で、親御さんのお話を丁寧にお聞きし、お子さんの様子をしっかりと確認し、こちらの見立てをわかりやすく説明することを心がけています。また患者さんに十分納得して、安心感を持ってお帰りいただきたいとも考えています。そのことから当院では、診療の最後に必ず「何か質問はありませんか?」「心配なことはありますか?」とお声がけさせていただいています。親御さんの中には「こんなことを聞いていいのかな……?」と躊躇して言い出せない方も多いので、こちらから積極的に声をかけるようにしています。検査については、多すぎず少なすぎずを心がけていますね。必要な検査を適切なタイミングで行うことで、患者さんの理解を深めて不安を取り除き、安心につなげることができると考えてのことです。
こちらではどのような診療に対応されていますか?
当院では小児科全般に対応しています。熱や咳、鼻水といった症状が出る感染症や、アトピー性皮膚炎や喘息、アレルギー性鼻炎などのアレルギー疾患も診ていますよ。他にも乳幼児健診や予防接種も行っています。もし専門的な検査・治療が必要だと判断した場合は、状況に合わせて適切な医療機関をご紹介しますのでご安心ください。ちなみに開業した時期が新年度の始まりということもあり、現在は保育園や学校に通い始めて間もない子どもたちの体調不良の相談が多いですね。登園・登校するたびに熱が出たり、鼻水や咳が長引いたりするケースが目立ちます。こうした日常的な健康問題にも丁寧に対応していますので、少しでも気になることがあれば、気軽にご相談ください。
松村先生は腎臓疾患を専門にされているとお伺いしました。

そうですね。私は小児腎臓疾患を専門としています。小児腎臓疾患のほとんどは病院で管理されていることが多いですが、その「入り口」としての役割を果たせると思っています。例えばおしっこの色が普段と違って赤いとか濁っているとか、排尿時に痛みがあるといった症状があれば、ぜひご相談ください。他にも夜尿症、いわゆるおねしょでお困りの方もお待ちしています。この分野を専門にしようと思ったのは、勤務医時代に出会ったネフローゼ症候群の患者さんがきっかけですね。その子の治療に関わる中で、腎臓疾患の奥深さと、専門性の重要さを実感しました。
腎臓疾患の診療の他に、力を入れている分野は何ですか?
予防を図れる病気はしっかりと予防したいという思いから、予防医療に注力していますね。ただ子どもの場合、手洗いやマスクといった予防策の徹底は難しいもの。そこで当院では、ワクチン接種の重要性を親御さんにお伝えするように心がけています。近年は、ワクチンの接種で予防を期待できる病気はたくさんありますからね。最近の親御さんは予防接種をきちんとされている方が多いと感じています。受診の際には必ずお子さんの接種状況を確認し、まだできていないものがあれば積極的にお声をかけるようにしています。一方、病気を経験することで免疫がついていくという側面もあります。そのことも踏まえて、バランスを考えた予防医療を大切にしています。
寄り添った診療で、地域の子どもたちの健康を守る
こちらのスタッフさんについてもお聞かせください。

当院のスタッフは、全員が患者さん思いの方ばかりです。例えば待ち時間や診療の後に、私から指示をしなくてもスタッフ自らお子さんや親御さんにお声をかけて、「何か心配なことはないですか?」と聞いたり、私の説明を補足したりしてくれています。「子どもと親、それぞれの話をよく聞き、気持ちに寄り添う」という当院の診療理念を自然と行動に反映してくれるスタッフたちに、とても感謝しています。
松村院長やスタッフさんをはじめ、こちらのクリニックからは「優しさ」を感じます。
ありがとうございます。当院は医師もスタッフも、そして院内の雰囲気も、「優しくあること」を大切にしています。院内は患者さんに落ち着いて過ごしていただけるように、やわらかな色合いであるパステルカラーを基調とした、安らぎを感じるデザインにしました。院名やロゴマークにも、たくさんの思いを込めました。院名には平和という意味を持つ「ピース」を。ロゴマークには、福が来るや苦労しないといった意味として「福来郎」「不苦労」とも呼ばれるフクロウの一種であるミミズクと、平和の象徴であるオリーブを採用しました。また、親御さんの「他の患者さんから感染したらどうしよう」という不安に配慮し、隔離待合室と隔離診察室を設けました。少しでも安心につながったら幸いです。
最後に、今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

この地域は子どもが多い一方で、小児科クリニックが足りていない印象があります。そのことから、まだ開業したばかりの当院としては、まずは「新しい小児科クリニックができたんだよ」と地域の方々に知っていただくことが当面の目標です。そして将来的には、地域の子どもと親御さんにとって、いつでも何でも頼れるかかりつけ小児科として根づいていきたいですね。お子さんに関する不安や疑問があれば、どんな些細なことでもぜひ気軽にご相談ください。お待ちしています。