松原 遥平 院長の独自取材記事
とわ歯科診療所
(札幌市中央区/バスセンター前駅)
最終更新日:2025/06/06

2025年4月、札幌市の中心部に近い閑静な住宅街にて開業した「とわ歯科診療所」。虫歯や歯周病治療はもちろん、根管治療、審美歯科、矯正、小児歯科、インプラント治療など、幅広く総合的な診療を行っている。院長の松原遥平先生は、勤務医としての診療の傍らで歯科衛生士専門学校の講師を務めていたほどの熱意あふれる歯科医師。「歯科が趣味」と語るほど診療に真摯に向き合いながら、患者一人ひとりの背景や生活にまで目を向け、丁寧に寄り添う姿勢を大切にしている。診療の効率だけを追わず、安全性と安心感を第一に考えるスタイルを重視している。2児の父でもある、そんな松原院長に、開業までの経緯や、日々の診療に込めた想いを聞いた。
(取材日2025年4月23日)
「歯科が趣味」に支えられた勉学の日々
歯科医師をめざしたきっかけを教えてください。

実家が青森で、父が小児科の医師をしていたこともあり、医療への漠然とした憧れは昔からありました。ただ、自分自身が「実際に治療に携わる」ことを考えたとき、目の前の人を直接救えるような仕事がしたいと思うように。それで、歯科医師という道を選びました。口元のトラブルは身体的な悩みだけでなく、精神的なコンプレックスにもつながりやすいものです。そうした悩みを抱える方の力になれるというところに、今も強く魅力を感じています。歯科を選んだ一番の理由は、自分の手で治療を行えること。患者さんの様子を直接目にすることができるのも、当時の自分にとって大きなモチベーションになりました。また、小さい頃は私も虫歯があり近所の歯科医院に通っていました。当時入れた銀歯が今でも残っているのですが、それを見るたび先生のことを思い返します。自分が治療される側だった経験が、今の診療にも生きているのかもしれません。
大学時代から卒業後にかけてはいかがでしたか?
大学でも多くのことを学びましたが、正直に言うと、臨床に出てから学んだことのほうが圧倒的に多かったです。大学時代は座学を中心に、基礎をしっかりと固める期間でした。麻酔に関しては、卒業後に勤務を始めてから札幌医科大学の関連施設で学びました。勤務と並行して休日に札幌の施設へ通い、全身麻酔や静脈内鎮静法など、通常の歯科治療が困難な患者さんに対応するための麻酔管理について学び、現場での麻酔実務にも携わりました。自分で治療計画を立て、実際に患者さんの麻酔管理を行うという実践的な環境で、多くのことを吸収できたと思います。休みは限られていましたが、歯科医療そのものが好きなので負担に感じることはありませんでした。むしろ、いろいろな症例を通じて多くのことを学べたことが楽しかったです。今では「歯科が趣味」と言えるほど、自分の中では大きなモチベーションになっています。
勤務医時代はどのような経験をされたか、詳しく伺います。

札幌にある日之出歯科診療所は、患者数が非常に多い大型の歯科医院でした。私はその中でも大通りの施設に勤務しながら、麻酔の勉強のため真駒内の分院にも通っていました。多くの先生方が在籍し、それぞれが一般歯科に加えて矯正、補綴、入れ歯、歯周病などの専門性を持ち、日々のディスカッションの中で多くの知見を得ることができました。また、治療が困難な患者さんも多く、他院で対応できなかったケースを引き受ける機会もあり、そうした難症例に携わることで実践力が鍛えられたと感じています。麻酔だけでなく矯正にも取り組み、古典的なワイヤーブラケットから、当時出始めていたマウスピース型装置を用いた矯正まで幅広く経験を積むことができました。また勤務の傍ら、夜間の歯科衛生士専門学校で講師も務めており、臨床で得た知識や経験を伝える機会にもなりました。
「安全に、安心して、長く通える場所」をつくるために
開業に至った背景と、クリニックづくりでこだわった点を教えてください。

日之出歯科診療所での勤務を通じて多くの経験を積む中で、「もっと自分の診療方針を自由に表現したい」という思いが強くなり、開業を決意しました。現在のクリニックは、偶然にも歯科医院の居抜き物件として空きが出ていたタイミングと重なり、運命的な出会いだったと感じています。大きな改装はしていませんが、待合室は落ち着いた配色にして間接照明を取り入れ、リラックスできる空間づくりを意識しました。自然光がたっぷり入るように設計し、世代を問わず通いやすく明るい雰囲気づくりも大切にしています。さらに、最終的には患者さんへの良質な医療につながると信じて、スタッフにとっても働きやすい環境を整えています。
歯科医師として感じるやりがいや、診療方針で大切にしていることはありますか?
短期的には、お悩みを抱えていた患者さんが安心して帰ってくださったら本当にうれしくなります。また長期的には、歯磨きが苦手だという方が、自ら進んでケアをされるようになったら、こちらとしてもやりがいになるでしょう。大切にしているのは、自宅でのセルフメンテナンスが自然にできるような「環境づくり」です。そのために、私自身だけでなく、歯科衛生士や歯科助手、歯科技工士などと連携しながら、一人ひとりに合わせたサポートを心がけています。どんな治療も、患者さん自身の意識が伴ってこそ成り立つもの。そのための土台づくりが私たちの役割だと思っています。
チームでの医療・診療の流れにおいて、どんな点を重視されていますか?

治療の流れとしては、まず歯周病の基本的な処置から始め、歯茎の状態を整えてから補綴や矯正などに進むようにしています。歯茎が腫れている状態では、どんなに良いかぶせ物を入れても機能しません。そのため、必要な治療を順序立てて行うだけでなく、「なぜ今この治療が必要なのか」をしっかりと説明することを大切にしています。また、診療中は必ず、器具の受け渡しやバキューム操作などを効率的かつ適切に行うために、歯科医師と歯科衛生士の合計4つの手を用いる「フォーハンド」の体制を徹底しています。これは、私一人では気づけないリスクにもスタッフが気づいて対応できるようにするため。安全で納得感のある診療を実現するために、チーム全体で支え合う体制づくりを重視しています。
「いつでも、誰にでも、安心して受けられる医療」を
「歯科が趣味」とのことでしたが、プライベートでの過ごし方について教えてください。

趣味らしい趣味はないのですが、強いて言えばサウナが好きです。診療後、子どもが寝た後にこっそり行ってリフレッシュしています。札幌にも最近は良い施設が増えているので、気分転換にはぴったりですね。
安全な診療のために、どのような取り組みをされていますか?
私の診療理念は、「より良い医療を、いつでも、誰でも、安全に受けられるようにする」こと。その実現のために、血圧計やモニターなどの設備を整え、治療前には必ずバイタルチェックを行っています。外見上は元気そうでも、測ってみたら血圧が200を超えていた事例もあり、安全のためにはこうした確認が欠かせません。また、診療時には常に歯科衛生士と二人三脚で行うようにしています。これは、私自身が見落としがちなことにもすぐ対応できるようにするためで、「安全であること」が治療の土台だと考えています。効率だけを求めるのではなく、安心して通える場を築くことを、これからも大切にしていきたいです。
今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

開業したばかりということもあり、医院はまだまだ「つくっていく」途中です。これからは、地域の患者さんにとって「ここなら安心して通える」と思っていただけるような存在になることが目標です。そのために、勉強会や専門誌、ウェブセミナーなどを活用して知識を更新し、診療の質を高め続けたいと思っています。患者層としては、30〜60代の女性が多く、前歯の見た目に関するニーズやホワイトニングのご相談も増えていますが、そうした審美的な対応も「機能の安定」があってこそ。ですから、基本的な虫歯治療や歯周ケアを大切にしています。当院ではお口全体を一つの単位として診ていく方針を掲げ、チーム全体でサポートしていきます。まずは気軽に相談いただけたらうれしいです。
自由診療費用の目安
自由診療とはセラミックインレー/5万5000円~、セラミッククラウン/6万6000円~、小児矯正/6万6000円~、マウスピース矯正/24万2000円~、インプラント治療/44万円~、ホワイトニング/1万1000円~