胃腸の状態を知るための内視鏡検査
無症状でも受けるべき理由とは
横浜青葉 大腸と胃の内視鏡 くろき消化器内科クリニック
(横浜市青葉区/市が尾駅)
最終更新日:2025/06/13


- 保険診療
胃カメラや大腸カメラと呼ばれて広く知られている上部・下部消化管内視鏡検査。胃の不調や便通異常の原因を体の中から探ることで、胃がんや大腸がんなど消化器疾患の早期発見に有用な検査だ。一部には苦痛を伴うイメージもあり、過去の経験から「もう受けたくない」と検査を避けている人もいるだろう。だが日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医である「横浜青葉 大腸と胃の内視鏡 くろき消化器内科クリニック」の黒木優一郎院長によると、最近は検査機器も進化しており、10年20年前と比べると精度向上や負担の軽減が著しいという。今回は黒木院長に、受けるべきタイミングや発見可能な病気など、内視鏡検査について詳しく教えてもらった。
(取材日2025年5月22日)
目次
内視鏡検査を受けるべきタイミングは、胃腸の不調、健診での指摘、40歳以上。最近では検査機器も進化
- Q内視鏡検査を受けてほしい症状やタイミングを教えてください。
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A
▲資料やモニターを用いてわかりやすく説明する
まずは自覚症状のある方。胃痛や胸焼けなどがあれば胃カメラで、便秘や下痢が続く、お尻から出血しているという場合には大腸カメラで、患部の状態を確認し原因を突き止めましょう。次に健診で指摘を受けた方やバリウム検査で異常を指摘された、もしくは便潜血で陽性となった場合、次の段階として内視鏡検査を検討します。そしてこれらに当てはまらなくても、40歳以上で内視鏡検査を受けたことのない方には、一度検査を受けることをお勧めします。なぜなら初期の胃がん・大腸がんやポリープには自覚症状がないことも多いから。私も「念のため」と受けた検査でポリープが見つかったことがあるのですが、痛みなどの症状は何もありませんでした。
- Q内視鏡検査ではどんな病気の発見に役立ちますか?
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A
▲日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医の資格を持つ黒木院長
胃の内視鏡検査では胃がんや胃ポリープの有無のほか、逆流性食道炎や胃潰瘍から胃痛や胸焼けが起きているケースがわかることもあります。もしピロリ菌の存在が確認できた場合には、除菌を行うことが胃がんのリスク軽減につながります。一方、大腸内視鏡検査は、大腸がんや大腸ポリープの早期発見に有用です。また肛門からの出血は大腸の病気のほかに痔などの肛門疾患から起こることもありますし、大腸の症状の裏に指定難病である潰瘍性大腸炎やクローン病といった炎症性腸疾患が潜んでいることもあるんですよ。内視鏡検査や組織検査を行うことで、胃やおなかの不快感の原因究明や、これらの病気の早期発見につなげていきます。
- Q病気が見つかった場合、こちらではどのように治療を進めますか?
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A
▲日帰り大腸ポリープ切除にも対応
ピロリ菌が見つかれば除菌療法を行いますし、ポリープがあれば切除することも可能です。潰瘍性大腸炎やクローン病は、まずはしっかりと病態を把握し、内服薬などの内科的治療が中心となります。逆流性食道炎や胃潰瘍も同じく内服薬を使いながら、食事内容など生活習慣を見直して様子を見ていくことが多いです。胃の不調があるにもかかわらず内視鏡検査でも異常が見つからない機能性ディスペプシアの患者さんには、生活上のアドバイスや薬の処方などを行います。いずれの場合にも専門的な検査や入院を伴う治療が必要な重症例では、高度医療機関と連携して進めています。
- Q先生が内視鏡検査で特に大切にしていることをお聞かせください。
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A
▲広々としたリカバリールーム
当院では、内視鏡検査のハードルを下げるために利便性などさまざまな工夫を取り入れ、検査の精度や安全性については大学病院と同等の高いレベルをめざしています。機能の充実した検査機器の導入もその一環です。精密な検査と正しい診断で、「受けて良かった」と思えるような内視鏡検査を提供していきたいですね。検査やその後の治療については、医師と患者さんが一緒に考えていく「シェアード・ディシジョン・メイキング(共同意思決定)」を大切にしています。これは内視鏡検査に限ったことではありませんが、検査や治療に関してこちらの意見を押しつけることはせず、患者さんの意見も伺いながら決めていくのが当院の方針です。
- Q最近の内視鏡検査機器は進化しているそうですね。
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A
▲高度な検査機器を導入し、質の高い治療を心がけている
最近の内視鏡は細くやわらかく、10年20年ぶりに検査を受ける方は苦痛が少ないことに驚くかもしれません。硬度が変えられるタイプの機器もあり、撮影画像も鮮明です。当院では胃カメラ・大腸カメラともに、撮影箇所のズームアップや色調変更など、病変の発見や正しい診断を支える機能が備わった機器を導入しています。さらに当院の大腸カメラにはAI補助機能が備わっており、ポリープや腫瘍など疑わしき部分をマーク。医師の補助としてAIがダブルチェックの役目を果たしています。また当院で使用しているストレッチャーには安全監視装置がついており、検査後の安静中も体内の酸素濃度や体の動きを装置が随時確認してくれるんですよ。