豊田 昌徳 院長の独自取材記事
とよだ内科・内視鏡クリニック
(神戸市中央区/三ノ宮駅)
最終更新日:2025/05/14

三ノ宮駅から徒歩5分、三宮・花時計前駅から地下道を通って徒歩1分とアクセス良好な「とよだ内科・内視鏡クリニック」は、2025年4月に開業したクリニック。日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医、日本消化器病学会消化器病専門医の豊田昌徳(まさのり)院長が「大腸がん死ゼロを目指して」という理念を掲げ、誰もが受けやすく苦痛の少ない大腸と胃の内視鏡検査の提供に努めている。大学病院で早期がんの内視鏡診断と治療、がん薬物療法、遺伝性腫瘍診療、がんゲノム医療など消化器がんの診療や研究に携わってきた経験から、早期発見の重要性をよく知る豊田院長。それだけに、消化器がんで亡くなる人を減らしたいという思いは強い。身近なクリニックだからこそできる医療と誠心誠意向き合う豊田院長に、診療方針や今後の展望について聞いた。
(取材日2025年4月28日)
「大腸がん死ゼロを目指して」を掲げ内視鏡検査に尽力
先生のご経歴について教えてください。

1999年に山梨医科大学(現・山梨大学医学部)を卒業し、消化器内科医として研修を積む中、昭和大学横浜市北部病院の消化器センターで、大腸内視鏡検査の専門家である工藤進英先生から指導を受け、内視鏡の道に進みました。神戸大学大学院医学科を修了した後は、新しい内視鏡機器を開発されていた佐野寧先生のもとで働かせていただきながら、がんの薬物療法に携わりました。そこから、幅広いがん診療を学ぶため、神戸大学医学部附属病院の腫瘍・血液内科に10年間勤務し、がん薬物療法や遺伝性の腫瘍の診療、ゲノム検査や治療に取り組んできました。
開業を決められたきっかけは?
消化器がんの診療や研究に幅広く携わる中で、臨床医として悔しい思いをしたのは、進行した状態でがんが発見・診断されることが圧倒的に多いということでした。薬物療法の抗がん剤をはじめ、近年のがん医療の進歩には目覚ましいものがありますが、救えない命も少なくないことを身にしみて感じ、何とかしたいという思いで開業を決めました。特に大腸がんは、早く見つかれば根治が期待できるがんです。しかし、どこで検査を受ければよいかわからない、大きな病院へ行くのはハードルが高いと感じ、検査を躊躇している人が多いことも事実です。クリニックで、大腸がんの内視鏡検査が受けられるということは、とても意義深いことではないかと考え、内視鏡検査が受けやすい環境のクリニックをめざし開業に至りました。
開業の際にこだわったことは何でしょう?

前職の春日野会病院で4年間院長を務めさせていただいた時、アクセスの良さも検査を受ける際の大事なポイントだと感じていました。若い人、働き盛りの人をはじめ、多くの方に内視鏡検査を受けていただくためアクセスの良い三ノ宮を開業の地に選びました。院内で快適に過ごしていただくための工夫と、患者さんがクリニックから帰られる時「ここに来て良かった」と思っていただけるよう「目配り・気配り・心配り」ができるスタッフがそろっています。また、内視鏡検査に関してはAI技術と熟練の内視鏡技術を駆使して、見落としのない検査を心がけています。人間とAIでは、できることが少し違いますから、人間が気づかない点を見つけ、診断を補助してくれるなど、AIはサポーターとして十分に力を発揮してくれています。また、内科では胸部エックス線検査の解析にもAI技術を導入し、肺がんや肺炎などの見落としを防ぐ仕組みを構築しています。
鎮静剤を用いて苦痛に配慮した大腸内視鏡検査に注力
クリニックの診療方針について教えてください。

何よりも大腸内視鏡検査を受ける方が増えることが大切だと考えています。内視鏡検査を広く実施することで、大腸がんで命を落とす人、ひいては大腸がん自体の数が減ることが期待できますから、アクセスの良い立地で、多くの方に「大腸内視鏡検査は、そんなに苦しい思いをせずに受けられるよ」ということを知っていただくことが大事だと思っています。検査を受ける時間がなかなかない、費用が気になる、どんな医師が検査をするかわからないなどの不安があって検査を躊躇されるのだと思いますが、これまで進行がんの患者さんを診させていただいた中で、「もう少し早く検査を受けておけば良かった」とおっしゃる方が非常に多くいらっしゃいました。そうならないためにも、クリニックで気軽に検査を受けられる環境を整えることは、とても重要だと思います。
大腸内視鏡検査を受けるハードルを下げる工夫を教えてください。
まず、丁寧にご説明させていただくということ、もちろん診察も丁寧にさせていただきます。検査はできるだけ鎮静剤を使用します。ウトウトしながら、もしくは眠ったような状態で受けていただき痛みやつらさのない検査を心がけています。大腸内視鏡検査を受ける際に服用する下剤については、家で飲んできていただくか、ご自宅で飲むのが不安な方は当院に来て院内で服用していただくことができます。院内で服用する場合、できるだけ過ごしやすい環境が望ましいので、トイレつきの個室を設けており、こちらでゆっくり飲んでお待ちいただきます。手技的には、鎮静剤を使わなくても問題なく検査できるのですが、患者さんの精神的な安心と苦痛の軽減につなげるため、鎮静剤を使った検査を専門的に行っています。
大腸内視鏡検査を受けるべきタイミングや特徴についても教えてください。

40歳から50歳の間に1度は受けてもらいたいですね。もちろん、症状があればもっと早く受けてもらいたいと思いますが、40代以降はがんの発生率も高くなりますから、その前に一度検査を受けて、ポリープがあるかどうか、がんのリスクが高いかどうかを診ておくことは大切です。また、大腸がんの家族歴があれば症状のないうちに検査を受けてほしいです。ポリープは、10~15ミリ程度の大きさであれば、当院で切除して病理検査で診断します。病理検査については、連携病理診断を導入しています。この方法では、消化器の病理診断を専門とする医師の診断が直接返ってきます。そのため、大きな病院と比べても遜色ないクオリティーの高い病理診断が得られます。
患者への丁寧な説明と検査、診療をクリニックの強みに
診療の際、大事にしていることは何でしょう?

わかりやすい説明と適切な意思疎通です。今、世界各国でカール・ユングのタイプ論に基づいた性格検査が注目されていますが、僕はこの性格診断ツールを適切に使用するため研鑽を積んできました。この性格検査は認知・判断の違いを見るもので、人は同じものを見ても、みんなが同じようには捉えていないことがあるんですね。それは言葉も同じで、こちらが意図した説明が、患者さんには伝わっていないということも起こり得るわけです。そこの認知と判断の違い、ズレをできるだけなくし患者さん側に寄せてお話しするよう努めています。そういう意味では、わかりやすい説明だと感じていただけることが多くあるのではないかと思います。
先生ご自身が健康のために取り組んでいることはありますか?
最近、健康維持のため、子どもたちと一緒にテニスをしています。また、大腸がんは、今や日本で一番多いがんで、女性の死亡原因の1位、男性も2位です。大腸がんを予防するためには、食事と運動がとても大事ですから、開業をきっかけにマラソンにチャレンジしています。抽選に当選すれば今年の神戸マラソンに参加したいので、少しずつ頑張って走り始めているところです。自分自身が実践していなければ、患者さんに食事と運動が大事だと伝えても説得力がないですからね(笑)。
最後に今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

当院では一般内科も診療しており、風邪や生活習慣病なども対応しています。近隣の方々には、かかりつけ医として利用していただき、その中で内視鏡検査についてもご提案できたらと思っています。当院は、「丁寧」な説明、検査、診療に注力し、患者さんに安心していただけるよう最善を尽くしています。クリニックで多くのことに取り組むことには限界がありますが、当院が地域に貢献できるのは、やはりAI機能を駆使した大腸内視鏡検査、胃内視鏡検査、エックス線検査です。「先進的なことに取り組んでいるクリニックだから、一度行ってみてもいいかな」と思っていただき、気軽に健康のことが相談できるクリニックでありたいと思います。