齋藤 修也 院長の独自取材記事
RODIN DENTAL OFFICE
(港区/御成門駅)
最終更新日:2025/05/23

東京タワーを間近に望む「RODIN DENTAL OFFICE」。院長の齋藤修也先生と女性歯科医師、専門の訓練を受けたスタッフたちがチームとなって子どもの咬合誘導や早期矯正に注力するクリニックだ。大人の治療スペースとは隔離された子ども専用の部屋に足を踏み入れると、習い事に来たように錯覚する子も多いだろう。齋藤院長が「嫌なものとしてではなく、楽しい習い事として通ってほしい」と語るとおり、親子で通院を継続しやすいようにさまざまな工夫が凝らされている。歯並びを悪くする根本原因にもアプローチし、全身の発育と生涯にわたる健康のために尽力する齋藤院長に同院の診療について聞いた。
(取材日2025年4月22日)
子どもが習い事のように楽しく通える工夫に注力
なぜ、子ども専用の矯正と予防の部屋を作ったのですか。

お子さんに少しも怖い思いをさせたくなかったからです。ユニットの側を通るだけで不安になる子もいるので、大人の治療スペースとは入り口も別にしています。歯科恐怖症でなかなか通院できずに口腔内が大変な状況になっている方は、幼少期に歯科医院で嫌な思いをしているケースも少なくありません。そうならないためにも、楽しく通えるような工夫を重ねました。靴を脱いで入れるふかふかのカーペットの部屋には2人掛けのソファーが1つ。フッ素塗布は歯科衛生士さんの膝枕で行います。仰向けになると天井からぶら下がっている雲のオブジェが目に入るでしょう。他にも大きな歯ブラシのおもちゃで遊んだり、壁に設置したタブレットを操作したり、いろいろと楽しめるような工夫をしています。
小児矯正の他、歯並びを悪くする根本的な原因へのアプローチにも注力していると伺いました。
小児矯正というとワイヤー矯正を連想する方も多いかもしれません。確かにそういった方法で歯列の改善は望めますが、根本的な問題を解消しなくては本当の意味で改善が期待できない例も多々あります。歯並びを悪くする二大原因は口呼吸と間違った舌の使い方です。口呼吸で口の周りの筋肉が緩んでいたり、舌で歯を押す癖があると、全体的なバランスを崩してしまうんですね。そこで、当院では本格的な矯正の前段階として咬合誘導を行っています。咬合誘導装置を昼間に1時間と就寝時に装着し、問題解決を図ります。ワイヤーのように長期間着け続けるストレスはほとんどありません。ただし、装置を使っておしまいではなく、必ずトレーニングも続ける必要があるという点に注意してください。
トレーニングではどのようなことをするのでしょうか。

基本的に1日2回、専用装置を装着して呼吸、舌、飲み込み方、唇、頬などのエクササイズを行います。毎日コツコツと続けるのが大事ですが、お子さんにとって「叱られるので仕方なくやる」というものではモチベーションの維持も難しいでしょう。そこで、当院ではゲームのクエストのように取り組める独自のプログラムを作りました。当院では「エデュケーター」と呼んでいる専門的なトレーニングを積んだ女性スタッフが担当していますが、嫌なものとしてではなく楽しい習い事と認識しているお子さんも多いですね。口呼吸や唇を閉じる練習、舌の筋肉を鍛えるエクササイズなど約20のアクティビティーを自分たちで撮影し編集して映像化もしています。自宅のタブレットでもいつでも確認できるようにして、毎日取り組みやすいようにしました。
健康のために、不正歯列の根本的な原因にアプローチ
咬合誘導は何歳くらいから取り組めるのでしょうか。

だいたい3歳くらいからスタートできます。抱っこや寝かせ方、使う食器は、すべて歯並びに関係しています。姿勢一つとっても歯並びに影響を与えているんですね。口呼吸のままでは風邪をひきやすかったり扁桃腺が腫れやすかったり、睡眠時無呼吸症候群につながれば脳の発達にも影響があるという研究もあります。つまり、歯科からのアプローチではありますが、全身の発育、生涯にわたり健康でいるための習慣を身につけることが期待できるのです。また、個人差もありますが、骨の成長が止まる12歳くらいまでならば始められます。たとえ短期間でも、一生涯にわたる健康のためには取り組む価値は大きいと言えるでしょう。
具体的にはどのようなお子さんが対象になりますか。
例えば、3歳くらいになると反対咬合が気になってくるお子さんもいます。口呼吸、低位舌を改善するだけで対処できる場合も少なくありません。改善が望めないようであれば、補助的な装置を使用することもありますが、装着期間は2〜3ヵ月ほどです。その他、今は特に歯並びに大きな問題がないお子さんにも、良い習慣を身につけるためにぜひ取り組んでほしいと願っています。口腔内の悪い癖は勉強やスポーツすべてのパフォーマンスに影響しますし、全身の健康にもつながるからです。大きくなってからだと長年の間違った習慣を直すのは難しいので、ぜひ小さなうちから取り組んでみてはいかがでしょうか。
オンライン診療にも対応しているそうですね。

オンライン診療を始めるようになったのも、途中で定期受診を諦めてしまう子を一人でもなくしたいと考えたからです。小児矯正の場合、基本的には1ヵ月から2ヵ月に1度の通院が必要ですが、旅行や習い事の都合でどうしても無理な時にはオンライン診療を利用していただくこともできます。転勤などで引っ越した後でもオンライン診療で対応できる場合もあります。子ども専用の部屋に貼ってある大きな日本地図には、治療中のお子さんが住んでいる県にピン留めしているのですが「みんな頑張っているんだ」と、子どもたちのモチベーションアップにもつながっていたらいいなと思います。咬合誘導は、基本的に1年半から2年半で終了しますが、その後状況をチェックするためにも、定期的な通院またはオンライン診療などを続けてほしいですね。
子どもの生涯にわたる全身の健康を守る「口育」を
そもそもなぜ、咬合誘導や小児矯正に力を入れるようになったのですか。

もともとは口腔外科を専門としていて、そこから矯正の道へというキャリアは珍しいかもしれません。ただ、大学病院の歯科にいて、がんなどの全身疾患の患者さんの口腔管理をした経験が大きく影響しています。重症患者さんの中には口腔内が崩壊していて入れ歯も作れないような方も少なくありませんでした。反対咬合の患者さんの骨切り手術も数多く手がけ、「こうなる前にできることはなかったのだろうか」と考え、子どもの頃からの「口育」の大切さに思い至ったんです。一生涯、補綴治療も根管治療も受けずに済み、入れ歯やインプラントが必要ない人生を歩むためには、早期の矯正や咬合誘導が有用です。基本的に通常の矯正よりも時間もコストもかかりませんし、長い目で見たときに全身疾患の予防にもつながりますからね。
将来のためにも、早期のアプローチが大切なのですね。
正しく装置を着けてトレーニングを続ければ、数ヵ月で変化を感じることも期待できます。口呼吸から鼻呼吸ができるようになって、口の周りの筋肉も正しく使えるようになると、雰囲気も変わってくるのではないかと思いますよ。最近、上下顎前突いわゆる「口ゴボ」を気にされている方もいますが、子どもの頃に口元の筋肉のトレーニングをしておくことで、そのようなリスクの回避にもつながるでしょう。それから、顎関節症、肩凝りなどに悩む大人も多いですが、幼少期から噛み合わせや姿勢を整えておくことで、それらの予防につながることも期待できます。咬合誘導や矯正を、ぜひ、お子さんにプレゼントしてみてはいかがでしょうか。
最後に読者へのメッセージをお願いします。

当院では咬合誘導や矯正と併せて、虫歯や歯周病にならないための予防歯科処置も行っています。歯が悪くなる原因は、歯並び、噛み合わせ、姿勢、食生活習慣などさまざまです。いずれも、大人になってから改めることは難しく、従来の矯正でも虫歯の治療でも苦労する方も少なくありません。将来的にインプラント治療やセラミックを用いた補綴治療などの高額な治療が必要にならないためにも、子ども時代にしかできない咬合誘導や早期の矯正を始めてみませんか。本格的な治療と比べて少ない負担・コストで済み、生涯にわたる効果も期待できるというものはなかなかありません。私は究極の予防歯科だと考えています。歯並びに問題がないように見えても、実は呼吸や舌の使い方が間違っているお子さんもいますので、気軽にご相談いただければと思います。
自由診療費用の目安
自由診療とはインプラント治療/50万円~、咬合誘導/30万円~、小児矯正/30万円~