片岡 佳樹 院長の独自取材記事
かたおか内科外科クリニック
(京都市上京区/出町柳駅)
最終更新日:2025/07/18

日常生活で起こる風邪などの体の不調やケガ、できものの悩みから生活習慣病まで、何でも気軽に相談できるクリニック。そんな存在をめざして2025年4月、京都市上京区の河原町今出川交差点から南へ約3分、便利な立地に誕生したのが「かたおか内科外科クリニック」だ。院長を務める片岡佳樹先生は大学病院や関連病院で外科手術やがんの研究に携わったほか、内科診療についても豊富な経験を持つ。地域のプライマリケアを実践すべく、自身のクリニック開業へと踏み切った。穏やかな口調の中にも患者や医療に対する情熱が感じられる片岡院長に、クリニックへ込めた思いや診療の特徴を、自身の経歴とともにじっくりと語ってもらった。
(取材日2025年7月2日)
内科・外科を問わず地域のプライマリケアを幅広く対応
まずは、ご開業までの経緯をお聞かせください。

私のもともとの専門は消化管外科で、出身である島根大学(旧・島根医科大学)やその関連病院、京都大学医学部などで、主に盲腸などの手術や胃がんの研究を行っていました。その後、長岡京市にある病院の健診センター長を務めたのち、内科診療にも携わっておりました。内科診療での経験は、病院で手術を主に担当してきた私には新鮮な経験でした。体に問題があるにもかかわらず、悪い習慣がやめられない。検査で引っかかっても、受診や治療につなげられない人が多いのが現実です。病気が進行する前になんとかする。そうした予防的な役割に重点を置き、せっかく培った外科の知識や技術を総合的に生かしたいと考えて開業を決めた次第です。
河原町通に面した、とても便利な場所ですね。
はい。2階には耳鼻咽喉科のクリニックがありますが、その院長先生が大学の同級生で、最初はこの1階を手術室にしていたそうです。ところがそのスペースを移すことになり、「下が空いているんだけど、どう?」と私に声をかけてくれました。1階で歩道に面していますし、広さも十分。ビルのエントランスがあることで、雨の日や暑い日、寒い日に、ちょっと一息ついてからお入りいただけます。インテリアは白壁と淡色のフローリングで、シンプルかつ明るい雰囲気にしてみました。診療スペースには診察室や処置室のほか、胸部CTつきのエックス線室を用意。ほかにもエコーや心電計、血圧脈波検査装置などを一通りそろえ、感染症や発熱のある方の隔離室を用意して院内感染の防止にも配慮しています。
どのような症状の診療に対応していますか?

当院を一言で表現すれば、地域のプライマリケアを担う「かかりつけ医」ですね。急な発熱や咳、生活習慣病といった内科症状から、ちょっと転んで擦りむいた、やけどをしたなどの日常的なケガ、できものや湿疹、帯状疱疹といった皮膚疾患まで幅広く診療します。外科処置に関しては簡単なものだけでなく、粉瘤や脂肪腫などの日帰り手術にも対応。さらには自宅や施設への訪問、予防接種など、皆さんの健康サポートになるあらゆる相談に乗ります。なるべく当院で対応できるように幅広く研鑽を積んでいますが、さらに専門的な医療が必要と判断した場合は速やかに連携病院へおつなぎいたします。よく耳にするのは、何科を受診したらいいかがわからないという悩み。どのような症状であっても、まずは診察させていただきますので安心してお越しください。
患者のニーズを察し、必要な診療を柔軟に提供する
診察時に大切にしていることを教えてください。

患者さんの多くは主訴とは別に、だいたい何かしらの問題を抱えているもの。そこで診察の最後に一言、「ほかに何かありませんか?」と必ず添えるようにしています。もし医師には言い出せなくても、診察室を出てから看護師にご相談してもらえれば、きっと皆さんのニーズを掘り起こすことができるでしょう。もう一つ心がけているのは、できる限り先進の知識を取り入れて医療の進歩に遅れを取らないことです。こちらは独学だけで追従しようとすると大変ですから、仲間の先生やスタッフたちと情報交換をしながらアップデートに励んでいます。ちなみに妻が看護師でここで一緒に手伝ってくれていますが、私があまり知らない領域のことにも敏感で、大いに診療のヒントにさせてもらっています。美容にも詳しいので、ご興味があれば気軽にお声がけください。
皆さんに知ってもらいたい診療や施術はありますか?
近年、潜在的なニーズが非常に高いと感じるのは「原発性腋窩(えきか)多汗症」。いわゆる「脇汗」の悩みですね。脇の下に汗をかきやすく、服にしみ出して外から目立ってしまう。夏場になって、そうした精神的なストレスを抱えている人が特に女性に目立ちます。その対策として十数年前から保険が適用されている治療がボツリヌス毒素製剤の注射で、脇の下に1回打てば4〜9ヵ月間ほど、つまり夏に入る前に受ければ秋まで発汗量の抑制が期待できます。冬場はあまり心配する必要はありませんから、1年に1回を恒例にして施術を受けられることをお勧めします。「脇汗に困っている」というシンプルな受診理由で構いませんので、気軽にご相談いただければと思います。
あまり知られていない、いろいろな治療や制度があるのですね。

例えばJICA(国際協力機構)という独立行政法人がありますが、そちらが発行しているメディカルカードの交付を受けた外国人留学生や研修員が医療を受けられる仕組みがあります。これは近くにある同志社大学の保険管理室にごあいさつした際にたまたま知ったのですが、留学生が医療機関でカードを見せても断られる例が多く、ぜひ対応してくれないかと。そこでJICAに確認すると、請求などの仕組みを教えてくれました。京都には同大学以外にも海外からの学生さんが大勢おられ、時には体調などの問題で、病院やクリニックに駆け込むこともあるでしょう。当院では国籍や年齢は一切問いません。会話に関しては多言語に対応すべく、翻訳ツールを使って対応させていただきます。
人々の健やかな生活をできる限り応援したい
先生が医療の道をめざしたきっかけは?

父が小児科の医師だったこともありますが、何より自分自身が病気になりたくない。どうすれば病気にならずに済むかという興味から医療の道をめざそうと決めました。外科を選んだのは、やはり手術や外科処置が一つのステータスと感じたからです。内科的な知識は後から勉強すれば得られますが、手技に関しては外科に行かなければ得られません。そう考えて外科医としての研鑽に励みましたが、内心ではいろんな医療に幅広く携わりたいという思いがずっと頭にありました。今は外科も内科もかなり細分化されており、これはこっち、あれはあっちと、別々に受診しなければならない患者さんの不便さが忍ばれます。昔の診療所の医師は何でも診ていたはずなので、それに近い理想的な姿が今のクリニックでようやく実現しつつあるという感じです。
ご自身の健康管理はどのように行っていますか?
もう20年以上も一家で長岡京市内に住んでいて、近所には歴史的に有名な天王山があります。そのハイキングコースを週に1、2回、早朝30分ほどかけてウォーキングしています。朝であれば日差しも優しく、清々しくて快適ですよ。皆さんも健康管理は大切にしてください。適度な運動やバランスの良い食事、十分な睡眠がなければ体調を崩してしまいます。内臓や筋肉だけでなく、歯のメンテナンスも忘れないようにしましょう。こうしたポイントをお伝えし、皆さんにできる限り健やかに暮らしていただくことが私たちの一番の目標です。
今後の展望や、地域の皆さんへ向けたメッセージをお願いします。

すでに高齢者施設などからの依頼で往診や床ずれの治療などに出かけていますが、将来的には内科を含めた総合的な訪問診療にも対応していきたいと考えています。診療体制に関しては今の姿が私にとっては一つの結論で、あとはクオリティーを高めたり円滑化を進めたりしながら少しずつブラッシュアップしていければと思います。患者さんが増えてくれば新たな課題も出てくると思いますが、今はとにかく、なるべく大勢の皆さんに当院のことを知っていただきたいですね。悪くなったものを治すことをめざすだけでなく、悪くならないためにはどうすればいいか。それを一緒に考えていきましょう。きっとお力になれると信じています。