大腸がんの早期発見・治療で
死亡者ゼロをめざす大腸内視鏡検査
里村消化器内科・胃と大腸内視鏡クリニック
(さいたま市南区/武蔵浦和駅)
最終更新日:2025/09/01


- 保険診療
日本人の死因別ランキングで常に上位の大腸がん。誰にとっても他人事ではないともいえるだろう。一方で、予防のための手法が確立されている珍しいがんでもある。その特色を生かすためにも「何の自覚症状がないうちにこそ大腸内視鏡検査を受けてください」と警鐘を鳴らすのが「里村消化器内科・胃と大腸内視鏡クリニック」の院長である稲田宥治(いなだ・ゆうじ)先生だ。AIを搭載した先進機器を駆使して、大腸がんの前段階である大腸ポリープの早期発見に努め、大腸がんによる死亡者をなくしたいと日々尽力している。総合病院で研鑽を積んできた稲田院長に、大腸内視鏡検査の重要性などについて詳しく聞いた。
(取材日2025年8月8日)
目次
大腸がんを予防するためにも、40歳を過ぎたら一度は受けたい大腸内視鏡検査
- Q大腸がんの初期症状を教えてください。
-
A
▲便の変化は、体からの大切なサイン。気づいたらすぐ相談を
大腸がんに初期症状はほぼありません。何らかの症状を自覚したときにはある程度進行していると考えられます。注意したいのは、半年で5%以上の体重減少、血便や便の形状の異常などです。茶色い便に鮮血が着いているときは痔由来かもしれません。一方、便全体が赤黒いならがんが疑われます。いずれにせよ、血便は放置せず必ず医師に相談してください。また、水様便や細い便しか出ないときも、がんによって腸管が狭くなっている可能性があります。もし、すでにがんで腸が詰まっているなら、自己判断で下剤の服用を続けていると腸に穴が開くこともあり危険です。便秘が習慣化しているときも念のために大腸内視鏡検査を受けることをお勧めします。
- Q大腸内視鏡検査はいつ受けるべきでしょうか。
-
A
▲家族歴があれば、20~30代でも検査の検討を
大腸がんを予防するには、何の症状も出ていないうちにこそ内視鏡検査を受けてほしいです。大腸がんは大腸ポリープが5年、10年という時間をかけてがんになっていくという特色があります。すべての大腸ポリープががん化するわけではありませんが、疑わしいものをいかに早期発見できるかが勝負です。そのためには一般健康診断の検便だけでは不十分で、大腸内視鏡検査が欠かせません。大腸がんのリスクは40代から高くなるので、40歳を過ぎたら検討していただけたらと思います。ただ、大腸ポリープは20代、30代ですでに発生している例も珍しくありません。大腸がんの家族歴があるなら、早めに大腸内視鏡検査を受けてみてもいいでしょう。
- Q大腸ポリープは検査しながら切除もできると聞きました。
-
A
▲患者一人ひとりに合わせ、無理のない検査計画を提案している
大腸ポリープはそれ自体が放置すると大腸がんに進行する可能性がある病変なので、病理検査などを経なくても検査と同時に切除が可能です。当院でも1cm以下の大腸ポリープは検査時に切除することができます。内視鏡の先端からスネアというワイヤーを出して大腸ポリープの根元に引っかけて切除するという術式になります。ポリープができやすい体質の方もいて、10個、20個と見つかるときもありますが、すべてを取る必要はありません。小さいものはただちにがん化することはないので、大きいものから切除して、経過観察のために毎年大腸内視鏡検査を受けていただくようにご案内しています。
- Q大腸がんは早期発見できれば内視鏡での手術もできるのですね。
-
A
▲1cm以下の大腸ポリープならその場で切除可能
まれに1cm以下の大腸ポリープでもすでにがん化しているケースもありますが、小さければ検査と同時にクリニックでの切除も可能です。また、大きいがんでも大学病院などで内視鏡的粘膜切除術(EMR)で対応できる例もあるので、当院でも迅速に紹介するようにしています。ただ、ある程度進行してしまうとどうしても開腹手術が必要です。直腸がんならば人工肛門にせざるを得ないなど、患者さんの負担も大きくなります。全身に転移していてもはや手術ができず緩和ケアしかできない……という状況に陥らないためにも、定期的な大腸内視鏡検査を習慣化してほしいと願ってやみません。
- Qこちらの大腸内視鏡検査の特色を教えてください。
-
A
▲検査前の準備も快適に。患者目線で設計された「下剤バー」
まず「絶対に見逃さない」というのがポリシーです。腸の形状や伸びやすさは個人差が大きいので、AI搭載の先進機器を繊細に操作してひだの裏に隠れているような大腸ポリープも見落とさないようにしています。苦痛や不安の軽減に有用な鎮静剤の使用も可能です。鎮静剤を選択しなかった方には、何をしているのか丁寧に声かけをしながら検査を進めるようにしています。また、下剤への苦痛や不安を感じる方も多いので、院内に「下剤バー」を設けているのも当院ならではといえるでしょう。電車を見下ろすソファー席のすぐ後ろにはトイレが2つ。そのほか、トイレつきの個室も3室も用意しているので、気軽に利用していただければと思います。