大腸内視鏡検査は不安で当然
怖さを取り除く工夫で寄り添う
里村消化器内科・胃と大腸内視鏡クリニック
(さいたま市南区/武蔵浦和駅)
最終更新日:2025/09/03


- 保険診療
大腸内視鏡検査を受けなければと思いつつ、怖さや不安から後回しにしている人もいるだろう。しかし、それではせっかくの早期発見・早期治療のチャンスを逃しかねない。大腸がんはその前段階である大腸ポリープのうちに切除することが予防につながる。「だからこそ、勇気を出して大腸内視鏡検査を受けてください」と言葉に力を込めるのが「里村消化器内科・胃と大腸内視鏡クリニック」の院長を務める稲田宥治(いなだ・ゆうじ)先生だ。総合病院での勤務経験で培った豊富な経験と知見を生かし、AI搭載の先進機器を駆使し「見逃しのない検査」を追求し続けている。リゾートホテルのような雰囲気の院内で「リラックスして自分をメンテナンスしてほしい」と語る稲田院長に、同院の大腸内視鏡検査の流れを解説してもらった。
(取材日2025年8月8日)
目次
検診・治療前の素朴な疑問を聞きました!
- Q大腸内視鏡検査を受けるべきタイミングを教えてください。
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A
できれば、何の症状もないうちに受けていただければと思います。大腸がんは大腸ポリープががん化してできるという特性があります。従って大腸ポリープの段階で切除しておくことが予防する上で重要なのです。「血便が出た」「細い便ばかり出る」といった何らかの症状が現われ始めたときは、すでに大腸がんが進行しているケースも少なくありません。そうなる前に、例えば40歳でまだ大腸内視鏡検査の経験がないなら、早めに受けてほしいと思います。家族歴があるなら、もっと早くに検討しても良いでしょう。すべてががん化するわけではない大腸ポリープですが、20代、30代ですでにいくつもできている方も多いですからね。
- Q大腸内視鏡検査が重要とわかっていても躊躇する人は多いのでは?
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A
大腸内視鏡検査は被ばくの心配も不要ですし、患者さんの体への負担の少ない検査です。そうとはいっても心理的なハードルの高さを感じている方も多いでしょう。そもそも2リットルもの下剤を飲むのは大変ですよね。そこで、当院では「下剤バー」を作るなど独自の工夫を取り入れています。駅や電車を見下ろすおしゃれなバーのような空間で下剤を飲めるようにしているのですが、院内は無線LANが利用でき、仕事をしたり動画を視聴したり自由にお過ごしいただいています。2席ずつパーティションで区切っているので、パートナーやお友達と来て励まし合える造りです。また、検査への不安が強い方のために鎮静剤もご用意しています。
- Q大腸内視鏡検査を行う上で気をつけていることは何ですか?
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A
患者さんは勇気を出して検査を受けに来てくださっているのですから「絶対に見逃さない」という気持ちで取り組んできました。確かなスキルを身につけたかったので勤務していた総合病院で内視鏡検査はもちろん、総合診療科で患者さんを包括的に診られるよう研鑽を積みました。また、見落とし減らすためにAI搭載の先進機種を導入しました。1cm以下の大腸ポリープなら検査と同時に切除できますが、無理はしません。難しいケースは迅速に大学病院を紹介し、病診連携も大事にしています。当院の目標である「早期発見で大腸がん死亡者をゼロに」を達成するためにも、大腸内視鏡検査をより身近に感じてもらえるよう努力を続けていきたいです。
検診・治療START!ステップで紹介します
- 1問診と事前説明
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普段飲んでいる薬や既往歴について質問される。ポリープを切除する場合に備え、抗血栓薬を飲んでいる場合は、事前に服用の調整が必要となることもある。下剤の種類、鎮静剤の使用について希望があればこの時に伝えよう。下剤服用にあたっては、すでにがんによる腸管狭窄が起きていないかなども注意が払われる。問診と事前説明を検査当日に行うことも可能。安心して検査に臨めるよう、検査内容について詳しい説明が行われる。
- 2下剤を飲む
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検査前日は消化の良いものを食べ、21時までに食事を済ませておく。同院では食事の注意点をまとめたリーフレットを用意。検査食も選択できる。検査当日は、自宅または院内で下剤を服用。3時間ほどで飲み終わる。飲むペースは早すぎても遅すぎてもいけないので、院内で看護師に声かけしてもらいながら服用するのも良いだろう。同院では液体の下剤を推奨。ただ、飲むのが難しい場合は2リットルの水と飲む錠剤タイプも選択できる。
- 3検査
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更衣室で検査着に着替える。鎮静剤を使用する場合は点滴の針を看護師に入れてもらう。医師が来たら鎮静剤を投入。胃の内視鏡検査も同時にする場合はその前に咽頭や鼻腔への局所麻酔も行う。検査の所要時間は、ポリープを切除したとしても長くて30分程度。胃の内視鏡検査は5分ほどで済むので、同日検査でも所要時間に大差はない。ベッドサイドに必ず看護師がつき、スムーズに検査が進むように体位を変えるなどサポートを行う。
- 4リカバリールームで休憩
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鎮静剤を使ったときはストレッチャーに横たわったままリカバリールームに移動。プライバシー配慮のためカーテンで仕切られているので落ち着いて過ごせる。30分から1時間ごとに看護師が見回りに来て血圧、脈拍、呼吸、体温、血中酸素飽和度などのバイタルサインをチェック。眠気が取れて歩けるようになったら、私服に着替えて診察室へ。
- 5検査結果の説明
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検査後の注意事項などを聞いた上で、結果説明のための予約を取る。鎮静剤には健忘作用があり、しっかりと聞いていても次の日はすっかり忘れていることも珍しくない。そのため、同院では検査結果の説明は特に問題がなかった場合も含めて必ず後日に行うシステムだ。次回は何年後の検査が望ましいかなども話し合う。1cm以上の大腸ポリープや大腸がんが見つかった場合は、治療を行うために大規模病院を紹介してもらう。