自覚症状に乏しい膵臓疾患
専門の医療機関の受診で早期発見へ
うつぼ公園ひらやま内科・内視鏡クリニック大阪
(大阪市西区/阿波座駅)
最終更新日:2025/06/25


- 保険診療
沈黙の臓器ともいわれる膵臓。膵臓疾患の中でも膵臓がんは「サイレントキラー」と呼ばれており、自覚症状なく静かに進行。さまざまながんの中でも早期発見が難しく、死亡率が高いといわれる恐ろしい病気だ。「うつぼ公園ひらやま内科・内視鏡クリニック大阪」は、クリニックでは珍しい膵臓の疾患に特化した外来を設けている。これまで神戸赤十字病院や愛知県がんセンターなどで消化器疾患の診断・治療に数多く診療してきた平山貴視院長が、専門性とこれまでの経験を生かし「早期発見・早期治療につなげたい」という思いで立ち上げた。今回、平山院長に膵臓疾患の特徴や膵臓の疾患に特化した外来で行う診療内容などについて、詳しく話を聞いた。
(取材日2025年5月29日)
目次
膵臓疾患を早期発見し、スムーズな治療へつなぐために専門の医療機関への受診を
- Q膵臓疾患にはどのようなものがありますか?
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A
▲検査結果の画像なども使用しながら患者への説明を行っている同院
膵臓の役割の大きく分けて2つあります。まず1つ目は、膵臓から分泌する膵液で食べ物の消化を助けること。うまく機能しないと膵液の分泌不足に寄り消化不良や下痢を起こし、十分な栄養を摂取できなくなります。逆に膵液が過剰に分泌されると、膵液は膵臓自体を消化し始めて膵炎を発症します。慢性疾患の状態が続いたり、膵管が拡張していたり、膵石が形成されたりすると非常に強い痛みを感じます。2つ目の役割は、膵臓はインスリンを分泌して血糖値を下げること。この機能が低下すると、インスリンの分泌が十分に行えないために血液中を流れる血糖が増える糖尿病を発症。高血糖の状態が続くと、意識障害や血管の病気のリスクが増えます。
- Q症状を放置するとどうなりますか?
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A
▲放置するとがん化するリスクが高くなるため、早期発見が重要
慢性的な膵炎が続くとがん化するリスクが高くなります。がんの罹患数の上位は大腸がんや乳がん、胃がんなどが占めています。しかしその一方で、がんによる死亡者数では膵臓がんが上位に挙がってきます。罹患者数と死亡者数がほぼ同じであることから、治療が難しく、がん全体の中でも生存率が低いことがわかります。そのために、いかに早期でがんを見つけるかが膵臓がん診療の大きな課題です。膵臓疾患の早期発見のためには、症状がなくても、また症状がないうちから検査を受ける、これしかありません。家族に膵臓がんの患者さんがいる場合や、また加齢が原因でも起こるため40歳を超えたら、一度検査を受けていただけたらと思います。
- Q受診したほうがいいタイミングを教えてください。
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A
▲少しでも気になる症状があれば、早めに受診し検査の実施を
肝臓と同じく、膵臓は「沈黙の臓器」といわれています。初期症状がほとんど出ないため、問診や触診だけでは発見できないというところが膵臓疾患の難しいところなんです。また食欲不振や軽度の胃の不快感という症状があっても、それらを患者さんが病気と自覚できないため、受診や検査が必要だと感じにくいのではないでしょうか。特に上腹部や背中にかけての痛み、無理なダイエットなどしていないのに急激な体重減少、目や皮膚が黄色くなる黄疸などがある場合は、病院に行って診てもらったら、すでに進行してしまっていたというケースが少なくありません。体に少しでも気になる症状があれば、早めの受診が必要です。
- Qこちらのクリニックでできる検査について教えてください。
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A
▲検査結果をもとに、必要があれば近隣の病院にも紹介を行っている
血液検査や画像検査、腫瘍マーカーの測定などを行います。まず血液検査では、消化を助けるアミラーゼやリパーゼの値を確認して、炎症や機能低下の兆候を見つけ、腫瘍マーカーを使って膵臓がんの可能性を評価します。腹部エコー検査では炎症の有無や、膵菅拡張や膵嚢胞の有無を確認します。進行が懸念される場合には、より精密な検査や治療ができる医療機関への紹介もスムーズに行います。当院では、近隣の日本生命病院や住友病院などの病院と提携しています。また、病院で手術など治療を受けた後、患者さんの希望によって当院で経過観察を行っていくことも可能です。
- Q予防法などはあるのでしょうか?
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A
▲日頃の生活習慣を整えることが、膵臓疾患予防において重要になる
膵臓疾患は生活習慣に大きく影響を受けます。例えば、糖尿病は膵臓がんや大腸がんのリスク因子でもあります。ですから予防をするためには、膵臓に負担をかけない食生活や、禁煙、アルコールの制限、適度な運動など健康的な生活を心がけることが非常に重要です。当院では高血圧症、脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病に対しても幅広く診療を行っており、生活習慣病の先にあるがんの発見にも寄与したいと考えています。また、膵臓がんには、そのほかのがんと同様に遺伝的背景や加齢が原因であることが指摘されているため、家族に膵臓がんに罹患した人がいる場合や、40歳以上を超えたら検査を受けることが何よりの予防法です。