平山 貴視 院長、平山 清花 副院長の独自取材記事
うつぼ公園ひらやま内科・内視鏡クリニック大阪
(大阪市西区/阿波座駅)
最終更新日:2025/06/13

緑豊かな靭公園が近い「うつぼ公園ひらやま内科・内視鏡クリニック大阪」。これまで神戸赤十字病院や愛知県がんセンターなどで消化器疾患の診断・治療に数多く診療してきた平山貴視院長と、市中病院で数多くの内視鏡検査を実施してきた平山清花副院長が、「早期発見・早期治療に寄与したい」という思いから2025年4月に開業した。クリニックでは珍しい膵臓疾患を専門に扱う外来も掲げ、院長の専門である膵臓疾患の診療も行う。今回、2人にこれまでのご経歴や、開業への思い、同院の診療内容について詳しく聞いた。
(取材日2025年5月29日)
がんの早期発見につながるクリニックを
まずは院長のご経歴から伺います。

【貴視院長】子どもの頃に医師という職業に興味を持ち、「自分も手術をしてみたい」と思ったことがきっかけで医師をめざすようになり、福岡大学医学部へ進学しました。消化器内科が専門ですが、卒業後に勤務した大学の付属病院で入局したのは外科でした。九州では内視鏡手術は外科が担当するのですが、その時に低侵襲で手術が行える内視鏡にすごく魅力を感じたんです。外科治療と内視鏡治療は、まったく患者さんの負担が異なるんですよね。また、外科手術はどちらかというと進行がんを対象にしていますが、もし内視鏡の検査で早く発見できて、もっと早く治療できれば、外科の先生の手を煩わすこともないし、患者さんにそんなに大きな侵襲を与えることもないのではとも感じました。そこで内視鏡を追求していくのであれば消化器内科を専門にしたほうがいいと思い、外科から消化器内科に転科しました。
院長は愛知県がんセンターでも研鑽を積まれていますね。
【貴視院長】はい、愛知県がんセンターでの経験は私の分岐点となりました。胆道や膵臓をくまなく観察できる超音波内視鏡が出始めた頃で、それが同センターで使えることから胆膵疾患に興味のある医師が日本全国から集まり、膵臓がんの早期発見にみんなで取り組みました。患者さんと向き合う中で感じたのは、やはり膵臓がんは早期発見がしにくい病気なんだということ。そして治療の選択肢は昔に比べれば増えてはいるものの、治療をしても再発や転移をしてしまう症例も多く、いかに早期発見が大事なのかを痛感しました。この思いが、自分のクリニックを開くにあたって膵臓を専門に診る外来を掲げるチャレンジにつながっています。医師としてできることは何かと考えた時に、まずは原点に戻り、早期発見にこだわることではないだろうかと思ったんです。
副院長のご経歴についてもお聞かせください。

【清花副院長】私が小さい頃、祖父母が入院することが多く、よくお見舞いにいっていたことから、将来は医療系の道へ進めたらいいなと考えていました。医療従事者の中でも、自分で判断して患者さんに治療できる医師になりたいと、神戸大学医学部へ進学。消化器内科を専門に選んだのは、内視鏡治療という技術を知ったからです。市中病院で消化器内科医として勤務し、さまざまな疾患・治療を経験しましたが、特に大阪市立総合医療センターでは、炎症性腸疾患(IBD)をはじめ大腸疾患を中心に研鑽を積みました。出産後は日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医として多くの内視鏡検査・治療に携わりました。その中で、がん治療においては、院長と同じく早期発見の大切さを痛感。治せる病気は治せるうちに発見し、しっかり治療につなげていきたいと感じていました。
専門性を生かし、膵臓疾患に特化した外来を開設
開業に至った思いをお聞かせください。

【貴視院長】理由は2つあります。まず開業医というのは、例えるなら「交番」みたいなもの。地域で困り事やトラブルがあった時に相談するのが交番。開業医は病気に関する交番で、患者さんにとっての医療の入り口となります。ここで病気を早期発見し、病気に苦しむ方を一人でも減らしたいという気持ちで開業を決意しました。2つ目は、先ほどもお話しした膵臓疾患の早期発見をめざす専門の外来を開設するためです。検診で、膵嚢胞や胆嚢ポリープ、膵管拡張などが指摘されても、多くの方はどこに行っていいかわかりません。かかりつけ医に相談しても、膵臓の診療には専門性が必要なので、ほぼ病院に送られます。すると画像検査を病院で行い、その後経過観察も病院で続けていくことになり、結果待ち時間が非常に長くなっている状況です。そこで大きな検査は病院で、それ以外のフォローや経過観察はクリニックで、という病診連携の流れをつくりたいと思ったのです。
膵臓疾患を専門に診る外来ではどのような診療をするのでしょうか?
【貴視院長】膵臓がんの罹患数は大腸がんや胃がんなどに比べると少ないものの、膵臓がんの死亡率は非常に高いんです。それは、初期に気づきにくく、腹部の痛みや体重減少、黄疸などの自覚症状が現れた時点で進行していることが多いからなんです。いかに早期でがんを見つけるかは、膵臓がん診療の大きな課題です。家族に膵臓がんの患者さんがいる場合や、体に少しでも気になる症状があれば、早期の診断を受けることをお勧めします。当院では血液検査で血液中の膵酵素、アミラーゼやリパーゼの値を測定し、膵臓の炎症や機能低下の兆候を確認します。また、腫瘍マーカーを使って膵臓がんのリスク評価も行います。腹部エコー(超音波検査)では、膵臓の形状やサイズ、腫瘍の有無を画像で確認し、疾患が疑われる場合は、症状や体調に合わせて適切な検査を実施します。
こちらのクリニックで行う内視鏡検査の特徴を教えてください。

【清花副院長】恥ずかしさや痛みへの不安から、内視鏡検査に対してハードルを感じている人も少なくありません。当院ではご希望に応じて女性医師または男性医師を選ぶことができます。また胃・大腸いずれも鎮静下で行い、「痛みの少ない検査」に意識して取り組んでいるのも特徴です。現在、大腸がんに関しては罹患率が増え続けていると注目されていますが、早期に見つけることができれば治癒も期待できる病気です。しかし進行がんになってしまうと悲しい結果になることも。当院では検査のハードルを少しでも下げて、気軽に受けていただけるような体制を取っていますので、ご相談いただければと思います。
生活習慣病の先にある隠れた疾患の発見につなげる
内視鏡治療や肥満や便秘に特化した外来にも力を入れていますね。

【貴視院長】はい、内科・消化器内科、肝臓・胆嚢内科、生活習慣病、膵臓疾患を専門に診る外来の他、肥満や便秘に特化した外来も設けています。例えば、糖尿病などの生活習慣病は、膵臓がんや大腸がんのリスク因子でもあります。そこで当院では肥満や便秘の悩みで来られた患者さんに対しても、外来で診療・治療を行いながら、その先にある膵臓がんや大腸がんなど深刻な病気の発見につなげていきたいと考えています。生活習慣病の場合、薬でコントロールをしつつ、1年に1回でもいいのでエコーや内視鏡検査を受けていただけたらと思います。
診療をされる上で大切にされていることは?
【清花副院長】患者さんが何を求めて受診されたのかは、常に気にしています。こちらとしては検査をしたほうがいいと思っていても、まだそこまで決断できないという方には、必要なことはしっかりお伝えして、気持ちが傾いたときには受けてもらいたいと思います。
【貴視院長】地域の患者さんの健康寿命が延びていくような関わり方ができたらなと考えています。例えば、高血圧症の患者さんの場合、できるだけ薬は飲みたくないという方も多いのですが、放置したままだとそれが動脈硬化につながり、動脈硬化から心血管系のリスクが高まります。ですから薬でコントロールしてリスクの軽減を図ることも、早期発見と同様、とても重要だと思っています。そういった点も、当院を訪れた患者さんにお話しして、適切な予防や治療につなげていきたいですね。
今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

【清花副院長】仕事や子育てに忙しい現役世代こそ、病気になるわけにはいきません。「何もない」を見つけるためにも気軽に受診していただけたらと思います。
【貴視院長】自動車を所有している人は、国からの指示で定期的に「車検」を受ける必要がありますが、人の検診に関して厳しく管理されてはいません。ですから、健康を維持していくためにはやはり一人ひとりがご自身の体を管理していくことが大切です。当院が、病気や健康についていつでも気軽に相談できる場所になることで、皆さんの健康維持にご協力とできればうれしいですね。