吉田 正太 院長の独自取材記事
橿原脳神経外科クリニック
(橿原市/金橋駅)
最終更新日:2025/05/15

イオンモール橿原内にある「橿原脳神経外科クリニック」。医療を取り巻く環境の変化が激しい中、10年先のことを考え、38歳の若さで開院するのは吉田正太院長だ。さまざまな社会課題を解決し、適正な医療を提供し続けるには、「医療の集約化・効率化」が必要であり、その実現に向けての第一歩として、自らのクリニックをスタートさせた。脳神経外科は、重篤でなければ受診しにくいイメージを持つ人もいるが、少し頭痛がする、子どもが頭をぶつけたなど、日常的な疾患・事故でも、気軽に通ってほしいと吉田院長は言う。医療の理想像やそれに向けてクリニックがめざす役割など、先を見据えたビジョンを力強く語ってくれた。
(取材日2025年4月2日)
これ以上後遺症で苦しむ人を増やさないため開業を決意
医師になったきっかけを教えてください。

医師の家系だから医師にという人も多いかもしれませんが、両親はもちろん親族にも医師はいないんですよ。実は高校生の頃にはやっていたコミックがきっかけです。そのコミックがドラマ化され、主役の俳優が心臓外科医を演じる姿がかっこ良くて、自分もそうなりたいと、医学部に挑戦しました。ただ、医学部に多く進学実績を持つような私立の高校とかではなく普通の公立高校だったので、周囲に医学部をめざす友達も、医学部進学に関する情報もない環境でした。結果的に4回浪人をして、ようやく今の大阪公立大学医学部に入学しました。入るまでは苦労しましたが、それからは結構スムーズに医師になりましたね。途中、「そろそろ諦めたら?」なんて言いつつも、長く浪人させてくれた両親には感謝しかありません(笑)。
脳神経外科を選ばれた理由はなんでしょうか?
最初はコミックと同じ科を考えていたんですが、いろいろな科を回る中で、心臓疾患では、外科手術より循環器内科医によるカテーテル治療が多く用いられるようになってきていることを知ったんです。脳の場合はカテーテル治療も脳外科医が行うのを見て、興味がこちらに移ったというのが正直なところです。それと、脳の手術は、術後の後遺症が残るケースが多くあります。つらい思いをされている多くの患者さんを目の当たりにしても、後遺症に対してできることは限られていて完全になくすのは難しい。できれば後遺症になる手前で止められたらという想いが湧いてきたのも、この科を選んだ理由の一つです。
もしかして、開業しようと思われた理由も同じですか?

そうですね。脳神経外科医になっての体感は、残念ながら手術をしても大半は後遺症が残るということ。それなら病気を発症する前に何とかできたらとの想いが開院につながりました。あと、誤解を恐れず言うと、外科のメインの仕事は「手術」なのですが、必ずしも手術が必要なケースばかりではないのではないかと感じることがありました。一方で外科の医師の場合は別の問題もあり、本来の仕事である手術よりも雑用が多いという面があります。外来業務は緊急度は高くないものの仕事量としてはありましたから、中には外科にいるのに手術がほとんどできないという医師もいました。それなら一層、手術担当と外来担当を完全に分けるなど、医療を集約化・効率化するのが理想的ではないかなと考えるようになったことも、開業につながりました。
悩む人の多い頭痛専門の外来にも対応
医療の在り方も考慮されての開業なのですね。

外科の世界って本来もっと厳しいものであっていいと思っています。変に聞こえるかもしれませんが、手術が上手な医師が出世する。ドラマとかでも、やはり特別優れた技術を持つ医師が活躍していますよね。本来そういった人だけが手術に集中して、腕を上達させるほうが効率が良いのではないでしょうか。それが適正医療の維持、質向上のためには理想的だと個人的には思います。そのためなら僕は喜んで外来業務をやるので、優秀な外科医は病院で手術のことだけを考えてほしいと感じます。また日本は病院が多いので1つの病院に脳外科医が数人しかおらず、頻繁に当直が回ってくるという面もあります。アメリカの病院のようにセンター化することで、そういった事態も回避できるのかなとも思いますね。
この場所を選ばれた理由を教えてください。
こちらのイオンモールが増床し、クリニックのゾーンができるとのお話をいただきました。開業するのはもう少し年がたってからと考えていたのですが、ショッピングモール内ということに魅力を感じました。続けて通院される患者さんはもちろんですが、2、3ヵ月に1回とか年に1回の検査のみの人でも、ここなら買い物がてら来てもいいと思ってもらえるかなと考えたんです。予約を入れていただいていても、どうしても待ち時間が発生してしまうこともあるでしょうが、楽しみながら待っていただけるかなとも考えました。もちろん少しでも待ち時間をなくせるよう、予約している順番になったら、患者さんにスマホで連絡をするシステムやクレジット決済できるサービスの導入など、デジタルツールも積極的に活用しています。
頭痛専門の外来があるのはうれしいですね。

日本では、脳神経外科って重篤な病気といったイメージが刷り込まれている気がします。また「頭痛」は脳神経外科の疾患に関連することも多いのですが、身近な症状だからか、普通に内科を受診するケースが多いんですね。一般的な内科には検査機器がないことが多いので、頭痛の原因について、適切に診断することは難しいと思います。そんな患者さんの受け皿になれればと、頭痛専門の外来を設けました。慢性的に頭痛で悩んでいる人って思った以上に多くいると思っています。いつもの頭痛だと思っていたら脳腫瘍によるものだった、硬膜下出血だったというケースもあるので、やはり専門の科で診てもらうことが大切だと思います。大きな病院はハードルが高いかもしれませんが、こういうクリニックなら気楽に来院していただけるのではないでしょうか。
頭の強打・外傷など子どもも積極的に診療
こちらではお子さんも診られるのですか?

もちろんです。次世代を担う子どもたちの受診を歓迎します。脳神経外科のイメージが偏っているのか、お子さんを連れてくるのをためらう親御さんが多いかもしれませんね。ですが、頭を強打したとか、ケガをしたとか、遠慮なく来ていただきたいです。ただ検査をすることだけが正解ではないんです。知らない方が多いと思いますが、小さなお子さんに対して放射線を用いるCT検査などを行うと、悪性脳腫瘍が発生するリスクが少ないですがあります。もちろん検査が必要な場合もありますので、被ばくの恐れのないMRI検査を行うなど責任を持って判断します。
先生ご自身健康維持のために取り組まれることはありますか?
運動です。運動といっても家で筋力トレーニングをしているくらいですが。運動は頭痛予防にもなるという調査結果もあるんです。また、なるべく糖質を取らないようにしています。糖を分解するときにインスリンが出るのですが、インスリンが分泌されている状況は長寿遺伝子に良くないといった論文が出ています。低血糖状態になるまでやりすぎはしませんが、間食とかは控えるようにしていますよ。
これからの展望をお聞かせください。

僕がめざしているのは医療の集約化なので、この地域のみならずこの周辺、さらにもっと広い範囲の人たちに、「頭のことで何か気になることがあればあそこへ行くといいよ」と勧めてもらえるようなクリニックにしていきたいです。後は時代の流れに取り残されないよう日々柔軟に進化していけるクリニックにしたいですね。検査の種類によっては病院を紹介することになりますが、MRIなど検査機器も充実させていますし、今後も必要であれば取り入れていき、ある程度の検査には対応できる体制を整えたいです。
読者へのメッセージをお願いします。
アジア人は脳の血管の病気が多いといわれています。それは、頭の血管が狭くなりやすい因子をアジア人が持っているのが原因だからとも。特に日本人の場合は、くも膜下出血が多い傾向にあります。遺伝的素因の部分も大きく、すごく摂生していてもなるときはなってしまいます。また、生活習慣に問題がなくても、若い40歳とかの方でも、脳梗塞になるケースはあります。ですので、ある程度の年齢になったら、やはり年に1回程度は、検診を受けていただきたいなと思います。また、当院は頭痛専門や生活習慣病の外来、頭部の外傷など幅広く対応しています。「これくらいで受診するのは大げさでは?」などと思わず、気になることがあればお気軽にご相談ください。