東儀 圭則 院長の独自取材記事
とうぎ内科・循環器内科クリニック
(奈良市/大和西大寺駅)
最終更新日:2025/04/08

大和西大寺駅のすぐそばにある「とうぎ内科・循環器内科クリニック」は、今年4月1日開業の新しいクリニック。院長の東儀圭則先生は、京都大学医学部を卒業後、京都大学医学部附属病院、静岡県立総合病院、枚方公済病院、近畿大学奈良病院などで、主に内科と循環器内科の診療に従事してきたベテランドクターだ。「循環器内科医である前に、内科医でありたい」というポリシーのもと、専門外の医療についても幅広い知識を持つ東儀院長。診療や治療では、患者の話にじっくりと耳を傾けることはもちろん、患者の家族にも寄り添いながら、包括的な健康をサポートしていくことをめざしている。長年にわたり大学病院で経験を積んできた東儀院長に、開業あたっての抱負や診療内容などについて詳しい話を聞いた。
(取材日2025年3月27日)
専門外の分野でも幅広い知識を生かして取り組む
開業までの経緯を教えてください。

私は広島県出身で、親族に医師が多い家系で育ったので、医師になるのは自然な流れでした。京都大学を選んだのは、修学旅行で京都に憧れを持ったからです。卒業後は同大学病院から恩師の勧めで関連病院の静岡県立総合病院へ移り、2012年からは近畿大学奈良病院へ移りました。当時はカテーテルなどの手技が好きだったのですが、年齢とともに患者さんのお話を傾聴することに興味を持つようになり、そこへ3人目の子どもが生まれたこともあって開業に踏み切りました。その子が成人するまで働くなら独立したほうが良いと考えたんです。開業した友人のクリニックでも少し働いていたのですが、そこで患者さんと温かいコミュニケーションを持つことができた経験も開業への後押しになりました。
先生はなぜ内科と循環器内科を専門に選ばれたのですか?
外科の場合は手術が治療のピークであることが多く、しかも当時はほかの診療科と連携することも少ない時代でした。それよりも一人の患者さんの治療を継続して担当したいという思いから内科を、その中でも老年内科を選択しました。そこで恩師となる先生と出会い、診療面だけではなく、人を育てる力や広い視野を持つことを学びました。その後手技が得意だったことから循環器内科を選択しました。循環器内科と聞くとあまりイメージが湧かない方もいらっしゃるかと思いますが、生活習慣病などの身近な疾患とも関わりが深い分野です。何か不安なこと、気になることがあった際には、来院をハードルに感じず、気軽にご相談に来ていただけたらと思います。
先生の診療方針やポリシーを教えてください。

医師は、自分の専門以外の医療について知識がない場合も少なくありません。大きな病院では特に、専門的で高度な医療を提供するがゆえに、患者さんが些細に思うことを医師には聞きにくいときもあると思います。だからこそ当院を患者さんが日々のお悩みや相談をしに来る場所にしたいと考えているのですが、その際に「専門外のことはわかりません」という対応をしないように気をつけたいと思っています。患者さんが些細だと思っていることでも、それが実は大きな問題につながっていることもあります。「循環器内科医である前に、内科医でありたい」というのが私のポリシーで、幸いなことに病院時代の経験も豊富ですから、そうした幅広い知識を生かした診療を行っていきたいと考えています。
健康寿命を延ばすために心臓リハビリテーションを導入
こちらではどんな診療や治療が受けられますか?

一般内科では風邪や花粉症、喘息などのアレルギーなど日常生活の中で比較的遭遇しやすい症状の継続的な治療とコントロールだけでなく、高度医療機関から依頼を受けての継続治療なども行います。循環器内科では「心臓」と「血管」の病気の専門的な診療と治療、再発の予防などを行います。病名としては高血圧症や糖尿病、脂質異常症、狭心症、心筋梗塞、心臓弁膜症、心不全などが対象になります。また、心臓と血管の病気は生活習慣病とも密接に関係していますので、それらの早期発見・早期治療のための生活習慣病検診も対応し、治療とコントロールを行っていきます。ほかにも基本的な健康診断、各種予防接種も受けられます。さらにカウンセリング室を設けて、栄養指導や薬剤指導なども行う予定です。
心臓リハビリテーションに注力しているそうですね。
誰しも大病をすることはあると思いますが、その後の回復に必要なのが身体機能の向上です。特に食べること、歩くことはどの分野でも健康寿命を充実させてくれます。特に心臓に疾患を抱えた方は負荷や制限がかかりがちなので、快適な生活にスムーズに復帰していただくための「心臓リハビリテーション」で、体力や自信の回復、再発の防止をめざしていただきたいと考えています。具体的には、それぞれの状況に応じた運動療法、栄養指導、生活指導、薬の管理も含めた総合プログラムです。理学療法士、看護師、薬剤師、心理士、検査技師、作業療法士、健康運動指導士などがチーム体制で、患者さん一人ひとりに指導を行っていくのですが、心臓疾患や動脈硬化の危険因子の改善、心筋梗塞や突然死の予防に役立つだけでなく、心臓リハビリテーションに健康寿命の延伸に有用だというデータも出ていますので、ぜひ取り組んでいただきたいですね。
クリニックの強みはどんな点にありますか?

私が大学卒業後に入局した老年内科には、循環器内科・消化器内科・腎臓内科が併存していたので幅広い知識を身につけることができました。その経験から、局所的な見方では気づきにくい異常や症状を発見し、診療や治療を行うことができると自負しています。だからこそ専門外のことでもアドバイスができますし、トータルで一人の患者さんの健康を診て的確な診断ができるということにもつながっています。それが一番の強みですね。当院で対処できない場合でも相談すべき診療科を紹介することができます。また薬剤師である妻が薬についての疑問にも答えられる体制を整えていく予定なので、それも強みになっていくと思います。
チーム医療で地域の健康を守るクリニックをめざす
どんな患者さんにいらしてほしいですか?

開業するにあたって、近畿大学奈良病院時代の患者さんや、週1回だけ勤務していた友人のクリニックで担当していた患者さんがお祝いに花を贈ってくださったり、ここに足を運んでくださったりして、とても感謝しています。特に友人のクリニックで担当していた患者さんの中には、かなり遠い場所にお住まいがあるにもかかわらずこちらにも通院してくださるそうで感激しています。今後も当院を信頼してくださる患者さんを増やしていきたいです。この周辺には学生さんや次世代層の方もたくさんお住まいなので、そうした方々にも来院していただいて、地域の内科医として皆さんの健康を守っていきたいと考えています。
ところで、休日はどのように過ごされているのでしょう。
私には3人の子どもがいるのですが、一番下が1歳とまだ小さいので、育児に費やす時間が多いですね。妻も働いていますから役割分担を考えながら家事もなるべく手伝うようにしています。幸い、趣味が料理なので(笑)、少しは役立っているように思います。特に凝ったものは作れませんが、私の母直伝のジャージャー麺などはあまり家庭で作らないメニューということもあって喜ばれています。また子どもたちが大根やニンジンが好きなので、筑前煮もよく作ります。そうした料理を囲んでの家族だんらんのひとときに、とても癒やされています。
今後の展望とメッセージをお願いします。

目の前の患者さんの人生はもちろん、その方のご家族の人生まで視野に入れた診療を実現していきたいと思っています。クリニックとしては、いわゆるこわもてな、ハードルの高い循環器や心臓の専門医院ではなく、若い学生さんや社会人の方々も気楽に相談に来られる場所にしたいですね。注力したい分野はやはり心臓リハビリテーションで、そのための施設や設備、スタッフも整っています。運動を続けることは健康寿命を延ばすことにつながるので、栄養指導、生活指導も含めたチーム医療で地域に貢献していきたいと思っています。また院内スタッフとの連携だけでなく、外部との連携体制も整えていく予定です。カウンセリング室も設置してありますので、気軽に相談にいらしてください。