市川 晋也 院長の独自取材記事
白楽内科循環器クリニック
(横浜市神奈川区/白楽駅)
最終更新日:2025/06/04

東急東横線の白楽駅から徒歩5分の場所にある「白楽内科循環器クリニック」。院長の市川晋也先生は循環器内科を専門とし、総合病院や急性期病院で急性心不全や不整脈といった心血管疾患の治療に携わってきた。その経験を地域の人々に還元したいと2025年4月に開業し、発熱や腹痛などの身近な症状から心臓や血管など循環器の病気、高血圧や糖尿病などの生活習慣病まで幅広い診療を行っている。特に循環器疾患を合併することが多い糖尿病の治療や管理に力を入れており、採血後3分で結果が出る糖尿病の迅速検査や胸部エックス線のAI診断システムなど先進の設備も導入。「患者さんだけでなく他院の医師からも信頼してもらえるクリニックをめざしたい」と話す市川先生に、患者や診療に対する思いを聞いた。
(取材日2025年5月14日)
基幹病院などで培ってきた経験を地域医療に生かしたい
クリニックを開業した理由を教えてください。

これまでは、主に急性期病院で循環器内科の医師として、心筋梗塞や急性心不全、不整脈など心臓や血管の病気の診療に携わってきました。大きな病院で診る患者さんは、生活習慣病から動脈硬化が進んだ方や心臓病を合併した方などが多く、そのような状態になる前に、もっと早い段階で生活習慣病の治療や管理を行う「予防医学」の重要性を強く感じていました。そういう思いから、これまで積み重ねてきた診療経験を地域医療に還元したい、クリニックでも大規模病院と変わらない水準の医療を地域の方々にお届けしたいと考え、2025年4月に開業しました。
どのような患者さんが多く受診していますか?
白楽という町は、神奈川大学の最寄り駅があったり、近くに六角橋商店街という古くからの商店街があったりと、若い方々も昔からこの地域で生活しているご高齢の方々もいらっしゃる、活気のある町です。当院は循環器内科を診療していることもあり、受診される方は高血圧や心臓病など循環器の病気に対して不安を抱えている方や、検査を希望される方が多いですね。開業前に想像していた以上に、循環器を専門とする医師を求めて受診される方が多いな、と感じています。他にも、風邪や腹痛など日常的な症状や健診の数値の異常など、幅広い年代の方からさまざまな症状や疾患について、ご相談をいただいています。
検査機器などの設備も充実しているとお聞きしました。

エックス線撮影した画像をAIが自動解析し、精度の高い診断ができるようサポートする胸部エックス線AI診断や、糖尿病の指標であるHbA1cの値を採血後3分で迅速測定できる測定器、心電図や心エコー、動脈硬化の程度がわかる血圧脈波検査装置、心筋梗塞や血栓のマーカーの評価ができる測定器など、幅広い検査に対応するために先進の機器を導入しています。不要な検査は行いませんが、患者さんのご希望がある場合や、必要と判断した場合にはご提案させていただき、院内で迅速に検査を行える環境を整えています。
心血管疾患予防のために糖尿病の迅速検査や治療に注力
特に力を入れている診療はありますか?

高血圧症や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病、特に糖尿病の検査や治療・管理に力を入れています。糖尿病は、適切にコントロールができていないと動脈硬化が進行し、将来的に心筋梗塞や狭心症、心不全、閉塞性動脈硬化症といった心臓や血管の病気を合併するリスクが非常に高くなるといわれています。そのため、循環器の医師として、いかに合併症を予防するかという観点で糖尿病の治療・管理をすることはとても重要だと考えています。患者さんの年齢や病状によって、必要な治療や管理は異なりますので、生活背景や患者さんのお気持ちも考慮しながら、適切と考えられる治療や管理を患者さんとご相談しながら考えています。
生活習慣病の治療は継続することが大事であり、かつ、難しいといわれますね。
予防医学の難しさは、きちんと予防されているときにはそのメリットを感じられないことですよね。予防できずに病気が悪化して初めて「もっとしっかり治療しておけば」と感じるものだと思うので。ですから当院では、例えば心電図や心エコーなどの検査画像を見ながら「こういうリスクが考えられるので、しっかり治療を続けた方がいいですよね」とお話するなど、「なぜ治療が必要か」を、根拠を示しつつお伝えするようにしています。生活習慣病は長く付き合っていかなければならない病気ですので、「薬を飲み始めたらもうやめられないのか」と思う方も多いかもしれませんが、治療経過が良い場合にはお薬の中止をご提案することもあります。また、最初に「この治療はいつまで続けるのか」など、先の見通しも含めてお話しし、患者さんに理解・納得していただくことでモチベーションを維持できるよう努めています。
地域の基幹病院などとの病診連携も大事にしているとお聞きしました。

はい。開業時から考えているのが、「他院の医師から信頼してもらえる医療を提供できるクリニックになりたい」ということ。自分自身の経験からも、総合病院で緊急入院してくる患者さんを診る医師はとても大変だと思うのです。そういう先生方に敬意を払うためにも「手に負えないから丸投げ」ではなく、クリニックとしてできる限りのことをして、その上で入院が必要、あるいはより詳しい検査が必要、という場合に、相手の先生が診療する上で困らないようしっかりした紹介状とともに紹介することを心がけています。そして、退院後、クリニックにお戻しいただく時にも「白楽内科循環器クリニックに任せれば大丈夫」と安心していただけるクリニックでありたい。そのことを常に念頭において診療しています。患者さんにも、基幹病院の先生が「あそこなら大丈夫」というクリニックなら安心して通っていただけると思いますから。
患者とのコミュニケーションを大切に信頼関係を築く
患者さんと接するときに心がけていることはありますか?

「初めまして」の時にはしっかり自分の名前をお伝えしてごあいさつする、お待たせしたら「お待たせしてすみません」とお伝えするなど、ごく基本的な礼儀やコミュニケーションを忘れないようにすることでしょうか。体調が悪いときは、気持ちに余裕がなくなることもあると思います。そういう時に、初めて会った医師が自分と目も合わせずにいきなり治療の話を始めたら、その医師を信頼する気持ちにはなれないですよね。少しでも気持ちをほぐしていただけるよう、笑顔でお迎えして不安なく診察を受けられる環境を整えたい。そういうところから患者さんと信頼関係を築いていけるよう意識しています。
他に、診療において心がけていることがあれば教えてください。
クリニックに滞在している間の患者さんの待ち時間をなるべく短くしたいと考えています。例えば、受付から医師の診察まで、あるいは医師の診察が終わってから会計までの待ち時間は、患者さんにとっては無駄な時間ですので、できるだけ短くしたい。そのため、当院では時間予約制に加え、初診の方への受診前のウェブ問診、保険証や医療証などの事前アップロードなど、受付をスムーズにしていただけるシステムを導入。患者さんの貴重な時間は医師との診察にあてていただいて、それ以外の時間は短縮できるよう診療の効率化も図っています。
今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

今後も、ごく当たり前のことではありますが、患者さんのお話をしっかり聞いて丁寧に診察をするという診療を日々積み重ねていき、患者さんや地域の病院の先生方と信頼関係を深めていけるよう、研鑽を積んでいきます。また、糖尿病や高血圧症、脂質異常症などの生活習慣病の治療や管理については、今後も力を入れていきたいと考えています。とくに糖尿病については、その合併症を多く診てきた立場だからこそ、循環器の医師が糖尿病を診る重要性を強く感じています。将来の合併症を予防するためにも、ぜひご相談ください。